禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
vol.13 巻, 05 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 山本 直子, 柚木 靖弘, 依田 健志, 山中 義之, 藤本 壮八, 松村 友里, 井上 雅子, 坂東 多恵子, 勝山 博信, 高尾 俊弘
    2019 年vol.13 巻05 号 p. 1-5
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/28
    ジャーナル オープンアクセス
    要 旨
    背景と目的:我が国では、高齢化が進む中、健康寿命延伸に向けた運動器症候群(以下ロコモとする)の予防が注目され ている。ロコモの代表的な要因は骨粗鬆症であり、骨粗鬆症の予防と早期発見への取り組みは重要な課題である。骨粗鬆 症の原因となる生活習慣の一つには喫煙があり、多くの研究から喫煙者における骨密度低下や骨折リスク増加が認められ ているが、喫煙指数と骨密度の関連については未だ明らかとなっていない。そこで我々は、女性における喫煙指数と骨密 度の関連を検討することで、喫煙指数から導き出される骨密度低下リスクを評価し、さらに骨粗鬆症予防啓発に用いるこ とを視野に入れて本研究を開始した。
    対象と方法: 2008 年4 月1 日から2017 年3 月31 日までに川崎医科大学附属病院の人間ドックで骨密度検査を実施した女 性で、喫煙歴の記載漏れがある者を除外した328 名のうち、現在喫煙者19 名、過去喫煙者16 名を分析対象とした横断研 究である。健診データより年齢、BMI、閉経の有無、Ca、IP、HbA1c、eGFR、Alb、喫煙指数、骨密度を使用した。骨密度 は DXA 法で測定した腰椎と大腿骨頸部のT スコアを用いて種々の因子とともに検討した。
    結果:現在喫煙者の年齢は49.9±11.7(SD)歳、BMI は20.5±3.8(SD)㎏/㎡、過去喫煙者の年齢は51.4±9.6(SD) 歳、BMI は20.4±2.9(SD)㎏/㎡であった。重回帰分析の結果、喫煙指数と腰椎T スコアの偏回帰係数は-0.65 (p=0.01)であり、女性の喫煙指数と腰椎Tスコアには有意な負の関連が認められた。喫煙指数と大腿骨頸部T スコアの 偏回帰係数は-0.43(p=0.06)であり、有意ではないが関連する傾向がみられた。
    結論:女性の喫煙指数と腰椎骨密度には有意な負の関連が認められ、大腿骨頸部でもその傾向が認められた。現在の喫煙 の有無に関わらず喫煙の累積状況にも着目し、喫煙指数が高い女性に対しては特に積極的に禁煙の必要性を伝え、骨密度 検査を勧める必要性があることが示唆された。
  • 阿部 道生, 松川 吉博
    2019 年vol.13 巻05 号 p. 6-16
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/28
    ジャーナル オープンアクセス
    要 旨
    背景:大きな健康リスクである受動喫煙は、医療機関、教育機関では特に問題である。医療系学部、教育系学部をもつ総 合大学として、学生および教職員の喫煙状況の把握を目的として喫煙率の調査を行なった。
    方法:鶴見大学構成員に対する喫煙率の調査を自己記入式の無記名アンケートによって行なった。アンケートの回収は、 学生については、年度始めのオリエンテーション時に、教職員については健康診断の際に行なった。
    結果: 2003 年から2018 年までの調査の結果、学生の平均喫煙率は当初の13%から2018 年には4.5%に減少した。教職員 の平均喫煙率も当初の23.1%から2018 年の13.5%へと減少していた。学生の喫煙率では、文学部、短期大学部よりも歯学 部の喫煙率が高く、歯学部内では低学年よりも高学年の学生の喫煙率のほうが高い傾向が見られ、教職員では、附属病院 の20 歳代から30 歳代、歯学部の30 歳代から40 歳代の喫煙率が高かった。
    結論:学生、教職員ともに特定の集団において高い喫煙率が確認された。特に、臨床に携わる学生、教職員に対する禁煙 教育や啓蒙活動が必要と考えられた。鶴見大学では、2020 年からの敷地内全面禁煙が決定されており、それによるさらな る喫煙率の低下が期待される。今後は敷地内全面禁煙が学内および学外環境への影響を調査、検討していく。
feedback
Top