[背景]高齢化社会を背景に,病院や施設では,認知症の対応に苦渋し,その重要性が見直されている。
医療と福祉が一体化した中間施設としての介護老人保健施設(老健)においては,認知症周辺症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)への対応は,医療介護従事者の過剰な負担や在宅での家族の介護困難を招き,認知症患者自身の意にそぐわない結末となることが多いのが現状である。
[目的]BPSDの軽減を図る多様な対応を試み,入所者の ADL を改善し,介護の軽減と在宅復帰率を上げることを目的とした。
[方法と結果]施設独自の在宅復帰サポートパスを導入し,問題点を可視化した。脳活性化リハビリテーションにより改訂長谷川式簡易知能評価スケー ル(Hasegawa Dementia ScaleRevised:HDS-R)の上昇と認知症行動傷害尺度(Dementia Behavior Disturbance Scale:DBD)の減少を認めた。精神科連携による睡眠導入剤の見直しで昼夜逆転が改善された。以上より,在宅復帰率は 36.8%から 52.3%と上昇した。
[結語]BPSDへの取り組みは質の高い医療と福祉を提供することにつながると考える。
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