49歳男性。5年前に特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断で Helicobacter pylori 除菌とプレドニゾロンで治療され,血小板数4×10
4μLであった。2か月続く歩行障害と構音障害があり,頭部MRIで広範な白質病変を認め,精査でHIV感染が判明し当院に入 院した。指標疾患(HIV脳症,サイトメガロウイルス網膜炎)からAIDSと診断した。 Antiretroviral therapy (ART)開始後に短期間で血小板数は 6 × 10
4 から 13 × 10
4μL 程度に増加しHIV 関連血小板減少症と診断した。本患者はITPとして 5 年間治療され,AIDS 発症後にHIV感染が判明した診断遅延例であった。ARTの進歩でHIV感染者の予後は改善しており,AIDS発症前の早期診断が重要である。 血小板減少はHIV感染初期から認める検査値異常であり,診断機会を逃さないために HIVスクリーニングを行うべきである。
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