日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
18 巻, 5 号
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原著
  • 辻 将大, 中川 史生, 宮嵜 健史, 木村 麗新
    2022 年 18 巻 5 号 p. 318-324
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/11/04
    ジャーナル フリー
    【背景および目的】当院での超高齢者の急性期脳塞に対するrt-PA静注療法の治療成績について検討した。 【方法】2013 年 4 月〜 2018 年 9 月までに当院で急性期脳塞の入院治療を行った患者を対象に,75 歳未満を准高齢群,75 歳以上 90 歳未満を高齢群,90 歳以上を超高齢群とし,性別, 時間経過,入院時 NIHSS,画像所見,症候性頭蓋内出血,発症前後の mRS,脳塞病型を診療録から後方視的に抽出した。3 群間を統計学的に比較検討した。 【結果】3 群間の発症 3ヶ月後 mRS は統計学的有意差を認めたが,Adjusted mRS は有意差を認めず,3 群間の症候性頭蓋内出血の発症にも有意差を認めなかった。 【結論】超高齢者の急性期脳塞に対してもrt-PA静注療法は治療方法の一つとして検討されるべきである。
  • 公文 龍也
    2022 年 18 巻 5 号 p. 325-331
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/11/04
    ジャーナル フリー
    尾状葉は肝門にあり,左右両葉にまたがるという特異な局在から注目されてきた。現在では,公文1)2)3)が提唱した 3 区域に分類するのが国際的にも一般的である。消化器外科医にとっては,なじみの深い尾状葉であるが,内科診療医や放射線診断医も含めると,余りよく知られていないのが現状である。今回,肝表面から容易に認識でき,また画像診断でも容易に描出される Spiegel 葉の脈管構造を検討したので,報告する。尾状葉は小暮の報告では Spiegel 葉 と paracaval portion は Spiegel 葉の肝静脈で区域分けされるとされているが,今回の著者の検討ではそうでない症例もあった。8 症例なので全例写真で全て提示する。
  • 大槻 拓矢, 家 研也, 廣瀬 雅宣, 本橋 伊織, 土屋 知也, 相原 茉里, 櫛渕 澪, 八木橋 国博, 奥瀬 千晃, 松田 隆秀, 大 ...
    2022 年 18 巻 5 号 p. 332-339
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/11/04
    ジャーナル フリー
    A-DROPによる肺炎重症度と Goddard 分類による気腫性変化の重症度を併用した新たな肺炎重症度分類(AG-DROP)を作成し,その予後予測能を検証した。地域基幹病院において胸部CTで気腫性変化を認めた肺炎患者 181 名の診療録より,患者背景及び A-DROP,Goddard 分類,入院中死亡を調査した。Goddard 分類での 2 名の医師の評価者間一致率を確認の上で平均 8 点以上の中等症以上の気腫性変化に対し,A- DROP に 1 点を加える 6 点満点の AG-DROPを作成した。入院中死亡予測の ROC 曲線下面積(95% CI)は A-DROP 0.69(0.60-0.78)に対しAG-DROP 0. 71(0. 61-0. 80)と向上し,AG- DROPの入院中死亡に対する粗オッズ比は 1.78(1.22-2.59)であった。AG-DROPは気腫性変化のある患者の肺炎予後予測に有用な可能性がある。
  • 川谷 洋平, 齊藤 寛文, 堀 隆樹
    2022 年 18 巻 5 号 p. 340-348
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/11/04
    ジャーナル フリー
    【緒言】ペースメーカ植込み術(PMI)において皮下組織の可及的深部に植込むことが適当とされるが,通常の局所麻酔では皮下組織の深部の鎮痛効果は不十分なことも多い。そこで著者らは PMI に TLA 麻酔を採用している。 【方法】2020 年 12 月から 2022 年 3 月の間にPMIを施行した患者を対象とし,TLA 麻酔で施行した手術の術中痛を Numerical Rating Scale にて評価した。 【結果】合計 22 例が対象となり,19 例が TLA 麻酔下に胸筋筋膜下ポケットへの PMI が施行された。3 例は術前評価で全身麻酔が選択されたため検討から除外した。年齢は中央値 83 歳 (範囲 53-90 歳)。術中痛は中央値 1(範囲 0-5)。手術時間は中央値 65 分(範囲 51-81 分) であり,標準的な手術時間であった。 【結論】TLA 麻酔はPMIに適した麻酔方法で ある。
  • 松岡 徳浩, 水谷 卓雄, 川上 浩司
    2022 年 18 巻 5 号 p. 349-357
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/11/04
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)入院患者の各種検査値と予後の関連性を検討することを目的とした。COVID-19 を発症して当院に入院し,臨床検査値を得た患者 94 例(男性 49 例,女性 45 例)を対象に,入院以降の臨床検査値,生存状況を後方視的に調査した。生存群と死亡群の入院時の臨床検査値の群間差,生存または死亡を予測する検査項目とカットオフ値とその精度を解析し,死亡要因を多変量解析した。入院時のZnが 54 μg/dL 未満の場合,または入院後にDダイマーが 8.68 μg/mL 以上となる場合に死亡リスクが高かった。COVID-19 患者の退院を検討する際には,厚生労働省が示す退院基準に加え,ZnおよびDダイマーを注視する必要がある。
症例報告
短報
特別寄稿
  • 端山 雅之, 長谷川 修
    2022 年 18 巻 5 号 p. 379-382
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/11/04
    ジャーナル フリー
    当院は 2014 年度まで急性期 2 病棟で運営してきた。2015 年度に周辺地域の医療ニーズ分析を行い,主要な病院機能を「ポストアキュートの受け入れ」と「在宅医療支援」と位置付けた上で,急性期 1 病棟と地域包括ケア 1 病棟に転換した。急性期病院との連携および在宅機能の強化を図った結果,法人外からの入院が増加し,2017 年度以降全入院の30%程度を維持するとともに,概ね90%を超える病床稼働率を保っている。また 2020 年に発熱外来を設置して,延べ 2,000人の新規患者を受入れた結果, 減少した外来患者数が 1 日当たり 154人にまで回復してきた。在宅患者へのコロナワクチン接種や地域ケアプラザへのあいさつ回りにより,そこからの訪問診療依頼が増えた。住民のニーズに沿った取り組みを行い,適切に広報する。その上で,次代を担う人材をしっかり育成し,地域から愛される病院となることが役割と考える。
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