日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
17 巻, 1 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
原著
  • 髙橋 駿, 内田 香介, 辻 博晶, 高辻 浩二, 向井 康博, 小山 正剛, 小林 大晋, 森西 洋一, 松木 泰憲, 牟田 直
    2021 年 17 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    【目的】カンピロバクター腸炎の検査結果,経過を分析して診断と治療に資することを目的とした。 【方法】2014 年から 2019 年に便培養でカンピロバクター属菌が陽性で,入院加療した 42 症例(男性 38 例。年齢 21.9 ± 4.6 歳)を後方視的に検討した。 【結果】原因食物は鶏の生食もしくは加熱不足が 16 例と最多であった。便顕微鏡検査でグラム陰性らせん状桿菌が 31 例(73.8%),好中球が35 例(83.3%)にみられた。クラリスロマイシン(CAM)単剤投与群で,治療介入から主症状消失までの期間(カッコ内は抗菌薬なし)は発熱 0.5 日(0.8 日),腹痛 2.3 日(1.9 日),下痢 2.6 日(1.6 日)と下痢は有意に遷延していた。 【結論】食歴や症状からカンピロバクター腸炎を鑑別診断に挙げるべきで,便顕微鏡検査が早期診断に役立つと考えられた。また,主症状に対するCAMの有益性は乏しかった。
  • 前田 正, 財 裕明, 福井 悠人, 柏木 克仁, 鹿嶋 直康, 竹内 泰三, 鈴木 健志, 小松 史哉, 佐藤 高広, 熊手 絵璃, 竹本 ...
    2021 年 17 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】血清抗HP抗体検査が偽陰性を示し,胃がん検診や臨床現場において問題となることがある。本研究ではPCR法によりHPの存在を直接確認し,血清抗HP抗体価と比較。抗体価のカットオフ値やPCR法の有用性を検討した。 【方法】上部消化管内視鏡による胃がん検診受診者 31 名を対象とし,胃粘膜所見の観察に続き,各受診者より十二指腸液を採取。PCR法によりHP遺伝子の有無を確認し,抗HP抗体検査のカットオフ値を 10.0 U/mL,現在ABC検診で提唱されている 3.0 U/mLに設定した場合の判定結果と比較検討した。 【結果】PCR法では 13 例にHP genomic DNA(gDNA)が確認された。カットオフ値を 10.0 U/mL,3.0U/mL とした診断では,それぞれ 11 例,14 例が陽性であり,PCR法との一致率はそれぞれ 87.1%,93.6%であった。 【結語】カットオフ値を 3.0 U/mL に設定した場合,PCR法との一致率は上昇した。PCR法は免疫応答の個人差や菌量の減少など判断に難渋する状況では,診断手法の一つとして更なる活用を試みる価値がある。
  • 青鹿 佳和, 風間 啓至, 桜井 彩奈, 小野 拓哉, 小笠原 知子, 石川 元直, 中野 聖子, 中村 美佐子, 小川 哲也, 佐倉 宏, ...
    2021 年 17 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    発熱外来におけるCOVID-19症例の臨床的な特徴を調べるため,外来患者 622 例(2020 年 3 月 30 日から 5 月 3 日までの第 1 波 237 例,6 月 8 日から 8 月 30 日までの第 2 波 385 例)をレトロスペクティブに解析した。まずは,全てのSARS-CoV-2 PCR陽性群と陰性群の臨床的特徴を比較した。その結果,陽性群では,陽性者との接触歴,1 週間以内の 38 ℃以上の発熱,咳,嗅覚・味覚障害が有意に多かった。特に,COVID-19の特徴と言われている嗅覚・味覚障害は全陽性者の 36%に認められたが,60 歳以上の高齢者では認められなかった。次に,第 1 波と第 2 波の陽性群の臨床背景の違いを調べたところ,第 2 波の方が明らかに年齢が若く,発熱から受診までの期間が短かかった。最後に,有熱期間が長いPCR陰性者の中から様々な全身疾患が診断される者もおり,陰性者のフォローアップも重要と考えられた。
症例報告
  • 田中 雄大, 上山 貴嗣, 高瀨 慶一郎, 加勢田 富士子, 永楽 訓三, 藤本 弥生, 野村 秀幸, 林 純
    2021 年 17 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 72 歳男性,上行結腸癌に対して右半結腸切除術後で,アルコール性肝硬変に対して無治療経過観察中であった。来院 5 日前より腰痛,倦怠感が出現し,その後の定期往診時に意識レベルの低下を認めたため,当院へ救急搬送となった。血液検査で著明な炎症反応上昇を認め,熱源精査目的の腹部 CT 検査で腸管より右腸腰筋内に連続する長径 5 cm の線状高吸収構造と,先端周囲の腸腰筋内に限局性液体貯留を認めた。魚骨の消化管穿通に伴う腸腰筋膿瘍の診断で,抗菌薬加療を開始した。魚骨の長径,解剖学的位置,腸腰筋膿瘍形成を考慮し,手術による魚骨摘出と膿瘍ドレナージが必要と判断し,手術可能な病院へ転院となった。術後経過は良好で現在症状再燃なく経過している。アルコール多飲歴など誤飲のリスクが高く,腹部手術歴があり消化管通過障害が懸念される場合は異物誤飲による消化管穿孔を念頭に精査加療を行うべきであると考えられた。
  • 山方 俊弘, 若栗 大朗, 上原 和幸, 須崎 真, 小野寺 直子, 小野寺 麻加, 松田 直人, 兵働 英也, 小原 俊彦 ...
    2021 年 17 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例 1 は 78 歳女性。不明熱の精査加療目的で当院へ転院搬送。精査中,血球貪食症候群を合併して急激に全身状態が増悪し,ヒドロコルチゾンを投与するも第 8 病日に永眠された。病理解剖の結果,血管内リンパ腫(Intravascular lymphoma;IVL)と診断した。症例 2 は 79 歳女性。2 ヶ月前より出現した体重増加と労作時呼吸困難の精査目的で入院。67Gaシンチグラフィーによる肺への異常集積および皮膚生検・骨髄生検の所見により,第 14 病日に肺IVLと診断した。酸素吸入と安静のみで全身状態改善し,第 35 病日に退院となった。IVLの臨床症状は非特異的で,その経過も多彩である。通常の検査で診断困難な症状・病態に遭遇した場合はIVLも鑑別に挙げ,ランダム皮膚生検や骨髄生検を積極的に検討すべきである。
  • 本多 正直, 岩屋 智加予, 牟田 和正, 柳瀬 俊彦, 牟田 和男
    2021 年 17 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 58 歳女性。主訴は心窩部痛。検診で高LDL-chol値を指摘,ピタバスタチンの開始となる。約 3 か月後に心窩部痛が出現。仏痛消失なるも腹痛の再発あり。翌日受診し肝障害認め入院。黄染なく心窩部に軽度の圧痛あり。発熱なし,白血球数正常,AST 624 U/l,GGT 348U/l,T-Bil 4.2 mg/dl,CRP陰性。腹部エコー・CTは胆嚢結石あるも胆管の拡張や胆管結石なし。入院時から薬剤中止,翌日腹痛と肝機能は改善傾向。肝機能も 38 日後に正常化。診断として発熱,炎症所見,胆管の拡張なく肝機能障害のみにて急性胆管炎の診断基準の確信は満たさず。この薬剤の肝障害は 0.48%,ビリルビン上昇 0.02%,胃腸障害 0.8%の報告があり当症例の薬物性肝障害診断基準スコアの点数は満たし薬物性肝障害の可能性はある。しかしながら再発した腹痛は胆嚢結石の胆管への陥頓による胆管の炎症の可能性が考えられた。
  • 湯川 奈緒子, 大高 行博, 高橋 正樹, 栗原 勇希, 益田 敬明, 大舘 幸太, 堀口 昇男, 佐藤 浩子, 小和瀬 桂子, 田村 遵一 ...
    2021 年 17 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)は,高齢者に多い圧痕浮腫を伴うリウマトイド因子陰性の対称性滑膜炎である。今回我々は,dipeptidyl peptidase(DPP)- 4阻害薬の一つであるシタグリプチンの長期服用中にRS3PEを発症した 2 例を経験した。いずれも中高齢女性で,内服 開始後 5 年程度を経て発症に至った。DPP-4阻害薬に関連したRS3PEでは,自験例を含む 21 例の検討において性差はなく,内服開始から 3 年以上経過して発症した長期服薬例も認められた。シタグリプチンはDPPに対する基質選択性が低く,他のDPP-4阻害薬に比べoff-target効果による副次的作用を生じやすいと推測される。
  • 佐野 正彦, 若松 真央, 高橋 雄介, 岩田 史歩子, 鈴木 義夫, 長谷川 修
    2021 年 17 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    高齢者の急性好酸球性肺炎の 2 症例。当初は発熱,呼吸困難,肺の間質性陰影がみられ,新型コロナウイルス感染症の疑いで入院した。SARS-CoV-2 のPCR検査は陰性であったが,症状,画像所見ともに改善しなかった。末梢血液で,当初は好中球優位の増多がみられたが,発症 10 日目頃から好酸球分画が上昇してきた。急性好酸球性肺炎を疑い,気管支鏡検査で確定診断となった。ステロイド投与後速やかに改善が得られた。本疾患は,早期の診断と治療により重症化を予防し,治癒しうる疾患である。喫煙開始直後の若年者に多いが,喫煙していない高齢者でも,多発斑状すりガラス影がみられた場合は急性好酸球性肺炎の可能性を考慮する必要がある。現時点では,病歴と血液や画像所見のみでSARS-CoV-2 と明確に鑑別することは困難であり,SARS-CoV-2 のPCR検査が必要である。
  • 笠井 英裕, 松井 茂, 華山 博翔, 關 沙英美
    2021 年 17 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    脂質異常症歴 14 年の 59 歳女性。突然発症の記憶障害を主訴に来院した。発症 27 時間後の頭部magnetic resonance imaging(MRI)拡散強調画像(diffusion-weighted imaging;DWI)で,左海馬から海馬台に点状の異常高信号域を認め,apparent diffusion coefficient map(ADC map)では同部位に低信号域を認めた。Magnetic resonance angiography(MRA)では異常を認めず。日常生活における記憶障害は発症から 24 時間以内に消失し,一過性全健忘(transient global amnesia;TGA)と考えられたが,Wechsler Memory Scale-Revised(WMS-R)で,言語性記憶障害の遷延が認められた。脳血管疾患鑑別のため,頸動脈超音波検査を行い,左頸動脈分岐部に 1.6 mmの低輝度の粥腫を認めた。このため,海馬から海馬台の急性期脳伷塞と診断,抗血小板薬治療を行ない,神経学的脱落症状はなく,第 5 病日に退院した。TGAにおける記憶障害消失の評価には一定の基準はないが,WMS-R等の詳細な検討で記憶障害の遷延を認める場合,脳血管障害を鑑別に入れ,梗塞が疑われた場合,適切な治療を行うことは,脳伷塞の再発防止に寄与すると考えられる。
  • 三田 礼子, 宇野 礼奈, 西尾 真理
    2021 年 17 巻 1 号 p. 64-71
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    患者はアスベスト曝露歴,胃腺癌,胃印環細胞癌,肺腺癌の既往のある 82 歳男性。術後の定期フォローのCT検査で左肺下葉の腫瘤を指摘されたため呼吸器内科へ紹介された。3 回の胸水細胞診およびCTガイド下胸膜生検を施行されたが診断に至らず,呼吸不全,呼吸困難および左胸部痛のため入院となった。臨床的に肺癌と診断され緩和ケア病棟へ転棟となり,酸素吸入やオピオイドにより症状は緩和されたが,1 週間後に呼吸不全で死亡された。病理解剖の結果左肺下葉腫瘤において異型の目立つ紡錘形細胞がびまん性に増殖しており,免疫組織染色の結果も合わせてpleomorphic carcinoma/spindle cell carcinomaと診断された。過去の癌も本腫瘍もアスベスト曝露に関連すると考えられた。本腫瘍のみならず四重複癌も極めてまれであり,本腫瘍およびアスベストに関連した四重複癌につき若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 太田 梓, 村田 昌之, 谷合 啓明, 林 真
    2021 年 17 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 60 代男性。喫煙・飲酒の嗜好があり,急性心筋伷塞の既往があった。入院 2 日前より意識障害があり,1 日前より発熱,下痢があり,意識障害が改善せず,当院へ救急搬送された。来院時,発熱,Glasgow Coma Scale(GCS)9 点の意識障害,血圧低下が認められ,敗血症の診断で入院となった。頭部及び体幹部CT,髄液検査で異常なく,メロペネムが開始された。来院時の血液培養,便培養よりEdwardsiella tardaが検出された。メロペネム開始後も高熱が持続し,第 3 病日に脳伷塞を発症した。メロペネム投与で炎症所見の改善なく,入院 18 日目のCT検査で,梨状筋膿瘍が認められた。ドレナージが困難であったが,メロペネムにクリンダマイシンを併用した後は,炎症所見が改善し,膿瘍が縮小傾向となり,GCSは 12 点へ改善した。
  • 原田 環, 芳村 大介, 徳田 竹千代, 藤村 龍太, 田中 綾子, 水本 綾, 林 大祐, 宇津 貴
    2021 年 17 巻 1 号 p. 78-86
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    48 歳女性,主訴は食欲低下と動作緩慢。高度な高カルシウム血症と急性腎不全を認め,輸液負荷やエルカトニンを投与したが高カルシウム血症が遷延した。ゾレドロン酸を投与した翌日,急性期反応の発熱後にショック状態となった。副腎クリーゼを疑い,ヒドロコルチゾンを投与したところ,速やかに循環動態は安定し,高カルシウム血症も改善した。下垂体機能低下を認め,造影MRI検査によりリンパ球性下垂体前葉炎(lymphocytic adenohypophysitis:LAH)と診断した。慢性甲状腺炎を合併しており,入院時には甲状腺中毒症を認めていた。高カルシウム血症の遷延は,一過性の甲状腺中毒症を契機に潜在性副腎機能不全が顕性化した影響が大きいと考えられた。甲状腺中毒症と副腎不全の合併は重篤な高カルシウム血症を生じる病態であることが知られており,LAHはこの病態をきたしうる疾患として認識すべきと考えられた。
  • 近藤 啓介, 大倉 佳宏, 山口 治隆, 鈴記 好博, 前田 拓也, 石田 創士, 西條 康代, 上原 久典, 谷 憲治
    2021 年 17 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    患者は 50 歳代,男性。1 ヶ月前から左乳頭下部から臍左上にかけて幅 4 - 6 mmの硬結が徐々に尾側に向かって伸びてきたため,当院総合診療部を受診した。皮膚生検を施行し,モンドール病の診断を得た。患者は 2 ヶ月前より腰痛や肩こりの改善を目的として自宅で懸垂器具を使用していた。モンドール病は女性に好発し男性発症は稀である。今回,懸垂器具の使用による筋の過伸展がその誘因と考えられた男性発症のモンドール病を経験したので報告する。
  • 村本 啓, 前田 幸佑
    2021 年 17 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    稀とされる特発性縦隔気腫の再発例を経験したため報告する。症例は 17 歳,男性。16 歳時に特発性縦隔気腫の既往がある。今回,野球の試合中に胸痛を自覚し当院を受診した。胸部X線およびCT検査で縦隔・皮下気腫像を認め,明らかな基礎疾患がないことから特発性縦隔気腫の再発例と診断した。入院下に安静のみで胸痛は改善し,第 6 病日には胸部X線で皮下気腫の消失を確認した。特発性縦隔気腫は痩せ型の若年男性に好発する,比較的予後良好な疾患である。再発例は自験例を含め本邦で 11 例報告されており,大部分は痩せ型の若年男性である。初回発症から再発症までの期間は数週から数年と幅広く,再発時の誘因が初発時と同一とは限らない。記載のある限りではいずれの症例も安静のみで改善しており,再発例に特異的な治療内容は報告されていない。
  • 神垣 充宏, 伊藤 博之, 熊田 純子, 門田 紘樹, 中野 誠, 田中 美和子, 青木 信也, 津賀 勝利, 國田 哲子, 松浦 秀夫, ...
    2021 年 17 巻 1 号 p. 96-103
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 60 歳,女性。アルコール多飲歴あり。約 1 ヵ月前から倦怠感,食思不振があった。入院 2 日前,発熱で近医を受診。肝障害,血小板減少などを認め当院に紹介入院となった。CT上は肺炎,肝腫大を認め,血液検査上は著明な炎症反応,肝腎障害,播種性血管内凝固(DIC)などを認めた。抗生剤治療,DIC治療などを行ったが,発熱,肝障害は遷延した。TP 9.9 mg/dl,IgG 5320mg/dl,ANA × 640 などの著明な高値と,サイ トメガロウイルス(CMV)抗体の陽性も認めた。アルコール性肝障害,CMV肝炎等も念頭に診療しつつ,自己免疫性肝炎(AIH)疑診として,ステロイドを開始。肝生検ではAIHの確診はできなかったが,肝障害は徐々に改善した。5 ヵ月後,ステロイド減量により肝障害が再燃し,再度の肝生検でAIHと確診できた。アルコールをはじめ肝障害を来しうる他の要因が除かれ,確診に至ったと考えられた。
総説
  • 榊原 隆次
    2021 年 17 巻 1 号 p. 104-111
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    認知症と排泄障害について,認知症疾患とは,認知症の方の夜間頻尿と尿失禁とその対処法,認知症の方の便秘とその対処法,について述べた。夜間頻尿は一般に,白質型多発性脳伷塞やレヴィー小体型認知症などの脳病変に由来することが多く,進行すると機能性尿失禁が重畳する。便秘は,レヴィー小体型認知症の末梢神経病変に由来する場合がある。すなわち,夜間頻尿と便秘は,認知症と独立してみられる症状のことが多く,ある程度の治療介入が可能な症状である。これらは,生活の質を悪化させるのみならず,緊急入院の引き金となるので,これらを避けるために,日頃からの治療管理が重要と思われる。
総合診療のキー画像
短報
feedback
Top