日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
17 巻, 5 号
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原著
  • 峠岡 康幸, 伊藤 洋行, 福代 有希, 稲田 順也
    2021 年 17 巻 5 号 p. 464-469
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    レジオネラ肺炎は頻度が低く,診断が困難であるので初診時にレジオネラ肺炎の見落としをいかに少なくできるかは市中肺炎の死亡率を減らすための課題のひとつである。レジオネラ肺炎の診断予測スコアについて近年複数の報告があるが,国内での知見は十分ではない。今回は我々が経験したレジオネラ肺炎症例(12 例)を対象に,過去に報告された 2 種類の診断予測スコアの結果を比較した。市中肺炎入院症例を非レジオネラ肺炎群とした。患者背景ではレジオネラ肺炎群は非レジオネラ肺炎群と比べると男性に多く,血清LDH値,AST値,ALT値,CRP値が有意に高値であり,Na値が有意に低値であった。6 項目予測スコアを用いた初診時の評価では 75%の症例が,4 項目予測スコアでは66.7% の症例がレジオネラ肺炎の可能性をつよく疑うべき症例であると判断できた。プライマリ・ケア担当医のスクリーニングとしてレジオネラ肺炎の診断予測スコアは有用であると考えられた。
  • 國友 一史, 宮武 亜希子, 堀北 雅子, 直江 貢, 網本 圭志, 藤本 夏奈, 森本 幸司, 高橋 昌弘, 大村 智也, 西岡 奨太, ...
    2021 年 17 巻 5 号 p. 470-476
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    療養病床入院中の高齢者は種々の要因により誤嚥性肺炎を反復することが多い。我々は反復性肺炎発症を抑制 するため,Mechanical InExsufflation(MI-E)または Mechanical Assisted Coughing(MAC)/ 機械による咳介助を介した積極的気道クリアランス法としてカフアシストを実施した。2014 年 6 月から約 5 年間に,連続する 3 ヶ月間に 2 回以上の肺炎を発症した 69 例に,カフアシストを実施し,実施前 3 ヶ月間,実施中 3 ヶ月間,実施後 3 ヶ月間の肺炎発症件数を比較した結果,実施中 3 ヶ月間,および実施後 3 ヶ月間とも有意な発症件数の減少を認めた。これらの結果は積極的気道クリアランスへの介入が誤嚥性肺炎の発症を抑制できる可能性を示した。
  • 町田 健治
    2021 年 17 巻 5 号 p. 477-485
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス(以下 COVID-19)感染流行下における尿路感染症の発生状況を検討するために,2018 年 4 月から 2021 年 3 月の 3 年間に尿路感染症で当院入院治療を行った患者を後ろ向きに調査した。流行期(2020 年度)において,肺炎の入院患者数は減少したが,尿路感染症による入院患者数は不変であった。当 院救急外来受診者総数は,COVID-19流行期に減少していたが,救急外来からの入院となる割合は 2 割弱と変化なく,全入院患者数に占める尿路感染症での入院の割合も変化なかった。当院の医療圏での役割を考えると,尿路感染症の発症頻度は,COVID-19流行期において通年と変化なかったものと考えられる。
症例報告
  • 安藤 絵莉子, 宇根 一暢, 川端 紳悟, 池田 守登, 中布 龍一
    2021 年 17 巻 5 号 p. 486-491
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    過去に耐糖能異常を指摘されていた 64 歳女性。来院 1 週間前にバイク走行中に転倒し,直後は歩行可能であったが徐々に体動困難となり,発熱と意識レベル低下を伴い当院搬送となった。来院時より quick SOFA は 2 点と敗血症を疑う状態であり,両大腿部に左優位の仏痛の訴えがあった。視診上の皮膚変化や握雪感はないものの画像上では左大腿部にガス像を認め,皮膚軟部組織感染症が疑われた。また,血液検査でコントロール不良の糖尿病が判明した。来院から 14 時間後の造影 CT で対側へ炎症及びガス像の進展があり,緊急デブリードマン手術を施行し,培養から ESBL 産生大腸菌が検出された。インスリン治療を並行しながら合計三度のデブリードマン手術を行い,状態は安定後第 40 病日にリハビリ目的に後方支援病院へ転院となった。基礎疾患などの患者背景を把握し早期の診断と適切な治療を行い,下肢切断を免れ良好な予後を得られた 1 例を経験した。
  • 伊藤 国秋, 稲垣 剛志, 下村 暁, 秋山 純一
    2021 年 17 巻 5 号 p. 492-498
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は生来健康な 40 代女性。遷延性咳嗽と鼻炎・鼻閉を主訴に前医を受診した。その後腹痛と水様便が出現し,症状の増悪に加え呼吸困難も併発したため当院へ救急搬送された。CTで肺炎と消化管壁の浮腫状変化,少量の腹水を指摘されて入院した。呼吸困難は加療で軽快したが,消化器症状の原因が内視鏡検査や生検でも特定されず,患者は強い腹痛により入退院を繰り返した。臨床経過と初診時以降の持続的な好酸球増多,画像所見から好酸球性胃腸炎が疑われたが,複数回の生検でも消化管壁の有意な好酸球浸潤を証明できず,現行の診断指針を満たさなかった。しかし試験的なプレドニゾロンの投与を開始後,腹痛は緩徐に改善した。好酸球数は消化管壁の部位や臨床病状に左右されるため,特に筋層や漿膜下層に炎症が及ぶ場合には,通常の粘膜生検での病理学的診断が困難である。よって,臨床症状に応じて早期のステロイド導入を必要とする例が存在すると考えられた。
  • 松本 衣里, 大屋 清文, 柏木 秀行, 山下 沙織
    2021 年 17 巻 5 号 p. 499-504
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 78 歳男性。臨床病期Ⅳ B の胃癌に対し,抗癌剤治療を経て,免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを投与された。治療開始から 4 ヶ月後に,倦怠感と嘔気で前医に入院し,上部消化管内視鏡や頭部・腹部CT 検査では症状の原因は不明で,癌進行に伴う悪液質として看取り目的に当科に紹介となった。症状や血液検査所見より副腎不全を疑い,ACTH・コルチゾール基礎値はいずれも低値であり,CRH負荷試験でACTH無反応であったこと,臨床経過から,ニボルマブによるimmune-related Adverse Events(irAE)として知られる ACTH単独欠損症と考えた。ヒドロコルチゾンの内服治療開始後,ADLは改善し自宅退院した。irAEとしての副腎不全は,悪液質との鑑別に難渋することがあり,疑い例は内分泌機能評価が重要である。また,薬剤中止の数ヶ月後に出現することもあり,がん治療医以外も理解を深める必要がある。
  • 浅岡 るう, 西山 誉大, 福島 曜, 牛田 宣
    2021 年 17 巻 5 号 p. 505-510
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    今回,我々は自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia:AIHA)を合併した好酸球性多発血管炎の稀な一例を経験したので,報告する。症例は 76 歳の男性で,労作時呼吸困難を主訴に来院し,慢性心不全の増悪と診断され入院となった。今回の入院の 5 ヶ月前に気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患の診断がなされていた。入院後に冠動脈狭窄部位の血行再建術を施行したが,重度の貧血(Hb 6.7 g/dL)を伴い,呼吸困難が悪化した。血液検査の結果により,直接・間接 Coombs 試験がともに陽性で,ハプトグロビンの減少,および網状赤血球数の増加を認めたことから,AIHAと診断された。AIHAの診断と同時に,好酸球性多発血管炎の診断基準を満たしていた。AIHAの診断後,ステロイド投与および赤血球輸血を施行し,呼吸不全と貧血はすみやかに改善した。これまでの文献で報告された AIHAに好酸球増加症を合併した 6 例を踏まえて,本症例について検討した。
  • 太田 依璃子, 白幡 康弘, 鈴木 聡
    2021 年 17 巻 5 号 p. 511-514
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は,60 歳台男性で,休日に急激な右上腹部痛にて当院救急外来を初診した。既往歴として同県他医療圏での胸部,腹部大動脈瘤に対する治療歴があったが,詳細は不明であった。腎機能障害あり,単純CT施行され,肝細胞癌破裂の診断となった。ショック状態で緊急IVRが試みられたが,腹腔動脈は,Y型人工血管の末梢から吻合されていることが判明し,IVRの適応外と判断された。肝臓外科医らが,救急外来から主治医となり,すぐに緊急開腹手術に移行し,肝切除行い,救命し得た。同じネットワーク圏内では,緊急のカルテ閲覧は可能であるが,他医療圏間では,休日,夜間の対応は困難な状況である。手術の準備,輸血の用意など,スムーズに行われたが,結果的に不必要なIVRを行った時間的ロスは生じた。地域間の電子カルテネットワークの更なる連携が必要と考えられた。
  • 粟国 克己, 山城 惟欣, 山内 祐樹
    2021 年 17 巻 5 号 p. 515-520
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 61 歳女性。アルコール性肝硬変,糖尿病,統合失調症,便秘症などの既往歴あり。当院受診の約 1 年前ごろより前医にてアルコール性肝硬変,甲状腺機能低下症の診断で内服治療開始となったが,途中で通院を自己中断し心療内科のみ受診していた。当院受診 4 - 5 か月前より傾眠がちで時々記憶が飛ぶことがあった。次第に悪化してきたため前医を受診し高アンモニア血症を認め入院加療目的にて当院へ紹介となった。内科的治療を行うも高アンモニア血症を繰り返すため腹部造影CTを施行したところ,門脈大循環シャントを認めた。治療としてシャント閉塞術を行ったが,再発や合併症が認められた。内科的治療に抵抗性の高アンモニア血症では腹部造影CTなどによる積極的な腹部精査を行う必要がある。さらに門脈大循環シャントの治療を行うにあたり,再発や合併症の出現に注意する必要がある。
  • 吉田 泰徳, 本城 聡, 藤嶋 伶, 室屋 洋平, 沖崎 進一郎, 小笠原 純子, 田中 彗, 高畑 丞, 知念 直史, 布川 貴博, 舩冨 ...
    2021 年 17 巻 5 号 p. 521-527
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    44 歳男性。10 年前に 2 型糖尿病を指摘されたが,3 年前に治療を自己中断した。頭痛,嘔気,食欲不振,体重減少あり当院を受診。入院時黄疸あり,随時血糖 278mg/dl,HbA1c 14.8%,T-Bil 4.8 mg/dl,AST 900U/l,ALT 936U/l とコントロール不良の糖尿病と肝機能障害を認めた。造影CTで肝や胆嚢に異常なし。 IgA-HEV及びHEV-RNAが陽性で,肝機能障害の原因は急性E型肝炎と診断した。強化インスリン療法を導入,肝機能障害は安静,無投薬で改善,臨床症状も消失したため退院した。E型肝炎の感染経路は不明だった。急性E型肝炎は近年,米国や欧州など先進国でも報告例が多い。本邦でも感染者数が増加,ウイルス性肝炎では最多の疾患となった。肝障害をみた際には生肉の摂食歴を確認すること,また原因不明な肝障害は積極的に急性E型肝炎の検査提出を検討すべきと思われた。
  • 中村 重徳, 増田 輝幸, 石森 正敏, 棚橋 重聡
    2021 年 17 巻 5 号 p. 528-532
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 55 歳,女性。咽頭痛,物の飲み込み難さを自覚。扁桃周囲に腫れがあり,画像検査で左傍咽頭間隙に 36 mm 大の分葉状の腫瘤を認め,切除。病理は甲状腺乳頭癌の転移。頸部エコーにて甲状腺左葉に 7 mm 大の低エコー結節(細胞診は乳頭癌疑い)と左頸静脈外側に嚢胞化した病的なリンパ節を認め,甲状腺全摘(+左D2郭清)を行った。病理は甲状腺乳頭癌,同頸部リンパ節転移であった。術後に131I(100 mCi)を投与したが,甲状腺床や他部位への集積は認めなかった。左傍咽頭間伱への転移の経路は不明であるが,頸部手術の歴が無く,広範な頸部リンパ節転移を認めなかったことから,甲状腺から直接,外側咽頭後リンパ節(ルビエールリンパ節)を経由し転移が生じた可能性が考えられた。傍咽頭間伱転移は甲状腺手術後の経過中に発見されることが多いが,今回の例は傍咽頭間伱での腫瘤が初発症状であり,極めて稀な例であり報告した。
  • 川谷 洋平, 堀 隆樹
    2021 年 17 巻 5 号 p. 533-539
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    植込み型心電図モニター(ICM)は発作頻度の低い不整脈の診断に有効である。その植込み術は局所麻酔下に施行されるが,当院では鎮痛効果を高めると同時により安全な手技にするために超音波画像ガイド下に膨潤局所麻酔(TLA麻酔)および手術を行っている。手技の詳細とNumerical Rating Scale(NRS)で評価した術中仏痛についての報告である。症例 1;79 歳女性。失神と塞栓源不明脳塞栓症精査のためICM植込みを行った。手術時間 11 分,術中仏痛は NRS 1。症例 2;58 歳男性。失神精査のためにICM植込みを行った。手術時間 7 分,術中仏痛は NRS 2。6 ヶ月後に失神再発があり,それに一致して上室性頻拍が記録されていた。失神の原因と診断した。症例 3;62 歳男性,失神精査のため植込み術を行った。手術時間 7 分,術中仏痛は NRS 1。いずれの症例も仏痛が十分に抑えられており,合併症はなかった。
  • 高橋 潤, 高橋 祥也, 荒木 有宇介, 高橋 寛
    2021 年 17 巻 5 号 p. 540-545
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 73 歳男性。14 年前に胃癌に対して幽門側胃切除術,13 年前に肝転移に対して肝部分切除術を実施した。術後順調な経過であったが,1 年前の 12 月に左頚部,左鎖骨上窩のリンパ節腫脹を認めた。精査の結果,胃癌再発として翌 5 月から抗がん剤治療を開始した。8 月に入り四肢の痺れなどを認め,頭部CTやMRIな ど各種検査を実施したが原因を特定できなかった。9 月に入り歩行困難や意識障害もみられたため,当科へ紹介され腰椎穿刺で癌性髄膜炎の診断に至ったが,2 週間後に永眠された。癌性髄膜炎の発症は稀であるが,発症するとQOLの低下は著しく予後不良である。早期の診断で予後の改善や症状緩和が得られた報告もあり,癌の経過中には癌性髄膜炎を来たす可能性を常に念頭に置きその病態を疑うことが重要であると思われる。画像検査で異常が認められない時も,違和感がある場合は診断を確定する努力を怠らない態度は大切である。
  • 角田 浩, 中川 孝, 稲沢 慶太郎, 上原 周悟, 森下 城, 筒井 美穂, 松尾 英史, 南家 俊介, 横道 弘直, 高橋 広喜
    2021 年 17 巻 5 号 p. 546-550
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 71 歳女性。糖尿病のため当院外来通院中であったが,低血糖による意識障害を呈して当院に入院し,入院後に,血糖値が正常範囲内にもかかわらず意識消失発作を繰り返した。意識消失発作は,起立時や長時間の座位後に起こり,24 時間血圧測定で低血圧を認めた自律神経障害に伴う起立性低血圧を疑い,精査加療目的で他院へ転院した。神経学的診察に加えて,頭部CTとMRI,心筋シンチ,心エコーを施行したが,パーキンソン病やレビー小体型認知症および心疾患を示唆する所見は認めなかった。数分の座位で収縮期血圧が 50-60 mmHgに低下し,補液による水分負荷を要した。原因不明の重症起立性低血圧と診断し,脱水対策と薬物療法を行った。改善まで長期入院が予想されたため,当院へ再転院となった。転院後,弾性ストッキングの着用を試みたところ,着用後意識消失発作は消失し,24 時間血圧測定で低血圧も改善した。介護老人保健施設を経て,自宅へ復帰した。
  • 田中 利昌, 吉田 絵理子, 安藤 慎之介, 関川 泰隆, 長谷川 修
    2021 年 17 巻 5 号 p. 551-555
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    汎下垂体機能低下症を基礎疾患にもつ 72 歳男性が,妻を看取った直後に血圧上昇に伴う痙攣から始まる可逆性後頭葉白質脳症(PRES;posterior reversible encephalopathy syndrome)を発症した。本例では,妻の看取りという急性の精神的ストレスをきっかけに急激な血圧上昇をきたしたと考えられ,頭部MRIのT2強調画像および FLAIR法で PRES に典型的な画像所見を呈した。PRES は予後良好な病態と考えられているが,診断や治療が遅れると後遺症を残す可能性があるため,早期の段階から PRES を想起し画像検査を積極的に行い,治療を開始することが重要であると考えられた。精神的ストレスによる急激な血圧上昇が原因となった PRES 例の報告は稀である。
総説
短報
特別寄稿
  • 中村 浩士, 本村 和久, 長谷川 高志, 原田 昌範
    2021 年 17 巻 5 号 p. 578-583
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    世界で総合診療医に求められているのは「人口の高齢化」「慢性疾患の増加」「医療費の高騰」そして「新型コロナウイルス肺炎を含む感染症パンデミック・災害医学」の 4 つの課題への対応である。これらの課題を解決するには,「地域社会と医療・医学のデジタル化」が有用なツールとなることに疑う余地はない。それには診療 の対象となる患者の生体情報を的確に捉え提供出来るセンサの開発が急がれる。とりわけ,認知症や精神疾患患者,小児や高齢者などコミュニケーション困難者の情動と痛みをデジタル化できるセンサが開発されれば,データマイニングも可能となり理想的なオンライン診療に近づくことが出来る。さらに専用アプリケーションや次世代型通信機器を用いることで当事者,家族間だけでなく病院や職場,学域までも超えた多職種連携と地域かかりつけ医師や人工知能(AI)まで同時多数接続(分離型プラットフォーム)が 1 台の端末でも簡単かつより安全に構築可能である。このように,IoH(Internet of Human)-デバイスと次世代通信機器/システムを併用することで,サイエンスと地域レジリエンスの両立を基盤としたデジタル地域包括ケアシステムによる新しい生活様式と持続型社会(SDGs)の実現は今後もさらに加速されるかもしれない。
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