日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
9 巻, 2 号
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原著
  • 浦 和也, 村田 昌之, 山嵜 奨, 武田 倫子, 加勢田(光本) 富士子, 居原 毅, 林 武生, 迎 はる, 志水 元洋, 豊田 一弘, ...
    2016 年 9 巻 2 号 p. 1-5
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    ニューモシスチス肺炎(PCP)を発症した後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の抗レトロウイルス療法(ART)開始時期については,早期開始によるAIDS関連死の減少が報告されているが,一方で免疫再構築症候群(IRIS)の危険性も高くなるため,ART開始時期についての議論が続いている。 今回,当科で治療を行ったAIDS関連PCP 18 例について,IRIS発症率とART開始時期について後方視的検討を行った。 年齢中央値 39 歳,男性 17 例,初診時 HIV-RNA, CD4中央値は,それぞれ 5. 38 log copies/mL,25/uL, AIDS指標疾患合併数(中央値)2 個,PCP治療開始からART開始までの期間(中央値)は 28 日であった。PCP-IRISは 18 例中 4 例( 22 % )に発症し,IRIS発症群は非発症群に比し,高齢( 49 vs 37 歳),BMI低値( 18.6 vs 19. 9 kg/m2 ),初診時CD4低値(12 vs 28/uL ), AIDS指標疾患合併数が多い( 2. 5 vs 1. 5 個) 傾向が認められた。 そして,PCP治療開始からART開始までの期間(中央値)は,IRIS発症群 19.5 日に対し,非発症群 40.0 日と短い傾向にあった。 AIDS関連PCPのART開始時期は,年齢が高く,免疫不全が進行している場合は,PCP治療開始後 28 〜 35 日のART開始によりIRISを回避できる可能性が示唆された。
総説
  • 藤本 眞一
    2016 年 9 巻 2 号 p. 6-8
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    私の臨床経験から考えた総合診療のあり方を述べた。 種々の内科学の視点から経験した臨床研究の成果を紹介した。 些細な臨床的な疑問に基づく研究からであっても最先端の科学研究へとその視野は広がっていく。 幅広い内科学の視点とリサーチマインドをもった総合診療医の養成が望まれる。
  • 徳田 安春
    2016 年 9 巻 2 号 p. 9-11
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    超高齢社会となった日本では,多臓器疾患併存の患者像か通常となっている。 内科系の疾患では,高血圧,糖尿病,脂質異常症,慢性閉塞性肺疾患,狭心症,慢性腎臓病などの併存が多い。 また,白内障,難聴,整形外科的疾患(ロコモテイプ症候群など),慢性皮膚障害,など特殊診療科領域の併存もよくみられる。 さらには,認知症,抑うつ,不安神経症,アルコール依存症などの精神心理的疾患の併存もかなり多い。 このような患者では,それぞれの疾患に対して長期薬物療法がおこなわれることが多く,ポリファーマシー(Polypharmacy)となる。 ポリファーマシーは薬剤間相互作用のリスクを局め,高齢による腎機能・肝機能の低下に加え, 脂肪体重割合の増加,血清アルプミン濃度の低下なども加わり,薬剤の副作用の可能性が高まる。 一方,多診療科併診では,他科処方薬への注意が散漫になることがあり,危険な飲み合わせからの副作用出現や薬剤カスケードをきたすおそれがある。 病院総合医は,このような患者一三診療においては,最善努力の薬剤歴(Best PosSible Medication History)を心がけて,不必要な薬剤の脱処方(De-prescribing)を行い,最終的な薬剤調停(medication reconciliation)を行う役割が求められる。
  • 田妻 進
    2016 年 9 巻 2 号 p. 12-17
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    総合病院における総合診療の役割は幅広い。 Walk-inの初期診療を担う場合や受療者の家庭環境・社会的背景に踏み込んだ家庭医療を実践する場合など多彩である。 さらに,医療施設の設備や陣容によって診療内容が規定される側面もあるため,総合診療には厳密な定義は設定しにくい。 本稿では第 11 回日本病院総合診療医学会学術総会(奈良)シンポジウム 1『総合診療と専門診療〜どこまで診るか?どう診るか?』における講演要旨として,病院総合診療における初期診療の実態から浮かび上がってきた “ 病院総合診療医に求められる消化器系診療スキル ”について私見を交えて解説した。
  • 舛形 尚, 千田 彰一
    2016 年 9 巻 2 号 p. 18-22
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    総合診療が扱うべき疾患として,発熱性疾患(不明熱,急性感染症),臓器横断的疾患,精査 (体重減少,リンパ節腫脹,原発不明癌など)は十分認識されていることに対して,循環器疾患はやはり専門性が高い疾患を多く含むため総合診療部門で診療されることは少ないと思われる。2014 年東邦大学総合診療・救急医学講座瓜田純久教授当番のもとで開催された第 14 回全国大学病院総合診療部協議会で佐々木陽典先生が発表された「全国大学病院総合診療部が対応している疾患」のアンケート結果によれば,外来診療での「循環器疾患の診療あり」と回答した施設の比率は,高血圧において高く(約 73 % ),不安定狭心症(約 14 % )において低い結果であった。入院診療では「循環器疾患の診療あり」と回答した施設の比率は,慢性心不全において高く(約60 % ),不安定狭心症において低い(約 10 % )結果であった。心房細動は高齢者において高頻度な疾患であるため外来・病棟ともに 診療あり」と回答した施設が 30 %程度であった。 このアンケート調査が示すように,高血圧や慢性心不全は疾患頻度も高く日常よく遭遇する疾患であるため総合診療医が診る機会が多いと思われる。しかし,狭心症のような虚血性心疾患は急速に病態が変化する場合もあるため,総合診療医は高血圧や慢性心不全を診療するときに常に虚血を合併あるいは虚血に起因する病態に留意しながら診療を行い,虚血の診断や除外のために循環器専門医と良好な連携を保ちながら診療にあたっているのが現状と思われる。このような循環器専門医との連携は総合診療医が働く施設や環境で大きく異なるため,循環器疾患をどこまで診るかについては様々なケースがあると思われる。
  • 木村 眞司
    2016 年 9 巻 2 号 p. 23-26
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
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