P.aeruginosa感染症に対して適切な治療を行うためには,メタロ
βラクタマーゼ(MBL)など抗菌薬耐性株の分離状況と抗菌薬感受性の把握が重要である。
我々は,2002 年から 2011 年に入院患者から得られた呼吸器(喀痰・咽頭)検体と尿検体において,
P.aeruginosaの抗菌薬感受性状況とMBL産生株の分離状況を解析した。
その結果,前後 5 年間でMBL産生株の分離数は減少傾向であり,尿検体由来の全
P.aeruginosa株におけるIPM・GM・LVFXへの感性率が増加していた。
blaIMP - 1 fragmentを持つMBL 産生株においては,いずれの抗菌薬においても感性率の有意な変化は認められなかった。
非MBL産生株においては,両検体由来株に対するGMと尿検体由来株に対するLVFXの感性率が増加していた。10 年間の検討で,
P.aeruginosaの抗菌薬感受性は抗菌薬の種類および検体由来臓器によって異なる変化を辿ることが確かめられた。感染症の第一線に立つ病院総合診療医は,抗菌薬と由来臓器の両要素を鑑みて適正治療を考慮する必要があるといえる。
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