日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
9 巻, 1 号
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総説
  • 佐々木 陽典, 瓜田 純久, 佐藤 高広, 前田 正, 石井 孝政, 渡辺 利泰, 宮崎 泰斗, 原 規子, 本田 善子, 島田 長人, 中 ...
    2015 年 9 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2015/10/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は 2014 年 6-7 月に全国 70 大学病院を対象に実施したアンケートにより大学病院総合診療科の診療実態を明らかにすることである。 70 施設中 56 施設( 80 %)から回答が得られ,総合診療科を有する 52 施設のうち,入院設備のある施設は 27 施設( 51.9 % ),外来のみ 25 施設 ( 48.1 % )で,入院設備のある施設のうち病床数 20 床未満の施設が 74 %だった。 外来では再診を行う施設が 48 施設( 94.1 %),初診のみが 3 施設( 9.4 %)で,紹介状が必要な施設が 14 施設(27.5 % ) ,不要な施設が 37 施設(72.5 % )だった。 月蔵器別にみると,感染症やリンパ節腫脹等は大半の施設が診療しており,各領域のCommon diseasesも多くの施設が診療していた。 診療担当率の高い疾患には①臓器横断的アプローチを要する疾患,②Common diseases,③全人的/社会的アプローチを要する疾患,といった要素があることが考察された。
原著
  • 江原 弘貴, 草野 展周, 萩谷 英大, 近藤 英生, 谷本 光音, 大塚 文男
    2015 年 9 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2015/10/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    P.aeruginosa感染症に対して適切な治療を行うためには,メタロβラクタマーゼ(MBL)など抗菌薬耐性株の分離状況と抗菌薬感受性の把握が重要である。 我々は,2002 年から 2011 年に入院患者から得られた呼吸器(喀痰・咽頭)検体と尿検体において,P.aeruginosaの抗菌薬感受性状況とMBL産生株の分離状況を解析した。 その結果,前後 5 年間でMBL産生株の分離数は減少傾向であり,尿検体由来の全P.aeruginosa株におけるIPM・GM・LVFXへの感性率が増加していた。 blaIMP - 1 fragmentを持つMBL 産生株においては,いずれの抗菌薬においても感性率の有意な変化は認められなかった。 非MBL産生株においては,両検体由来株に対するGMと尿検体由来株に対するLVFXの感性率が増加していた。10 年間の検討で,P.aeruginosaの抗菌薬感受性は抗菌薬の種類および検体由来臓器によって異なる変化を辿ることが確かめられた。感染症の第一線に立つ病院総合診療医は,抗菌薬と由来臓器の両要素を鑑みて適正治療を考慮する必要があるといえる。
  • 岩室 雅也, 甲斐 華恵, 宮部 欽生, 河合 良成, 大塚 文男
    2015 年 9 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2015/10/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    尾道市立市民病院で内視鏡治療を行った消化管異物 33 例( 男性 12 例,女性 21 例,平均年齢 74.6 歳),のべ 37 件について検討した。 異物の内訳は,魚骨( 8 件),プレス・スルー・パッケージ(PTP)( 7 件),残渣塊( 7 件),義歯・歯科治療材料( 4 件) ,肉片( 4 件) ,その他( 7 件)であった。 存在部位は食道( 25 件),胃( 7 件),喉頭(4 件),大腸( 1 件)であり,自覚症状はつかえ感( 10 件),疼痛(10 件)が多かった。 基礎疾患としては消化管手術の既往を 7 例に,消化管悪性疾患の併存を 3 例に認めた。 37 件全例で消化管異物に対して内視鏡的治療が実施され,36 件で内視鏡的治療が成功した。 18 件で軽度の粘膜傷害や出血がみられたが,いずれも保存的治療で軽快した。 他の重篤な偶発症は認めず,外科手術を要した症例はなかった。
  • 秋元 悠, 那須 淳一郎, 岩室 雅也, 神崎 洋光, 堤 康一郎, 喜多 雅英, 川野 誠司, 原田 馨太, 加藤 博也, 平岡 佐規子, ...
    2015 年 9 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2015/10/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    当院の原発性小腸癌患者 34 例の治療成績を解析した。 原発部位は十二指腸 29 例,空腸 3 例,回腸 1 例,空腸または回腸 1 例,臨床病期はStageI 11 例,StageIl 5 例,Stagelll 6 例,StageIV 12 例。 治療内容は,StageIでは内視鏡的切除 5 例と手術 6 例,StageⅡ/StageⅢでは全例手術,Stage Ⅳでは化学療法のみが 3 例,化学療法 + 原発巣切除が 3 例,原発巣切除 + 転移巣切除が 4 例,緩和治療が 2 例で,5 年生存率はStage I/Ⅱが 80 %,StageⅢが 33 %,StageⅣが 39 %であった。
症例報告
  • 朝長 元輔, 徳富 潤, 倉田 毅, 藤原 元嗣, 内藤 優香, 多胡 雅毅, 相原 秀俊, 大串 昭彦, 百武 正樹, 京樂 格, 山下 ...
    2015 年 9 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 2015/10/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    症例は先天性水頭症のため脳室心房シャントを有する 32 歳男性。 発熱と下肢浮腫を主訴に来院した。3 年前のシャント入れ替え術後より断続的に発熱が出現するようになり,抗菌薬治療を受けた既往がある。 3 ヶ月前より発熱と下肢浮腫が出現し,精査加療目的に当科に紹介され入院となった。 低アルブミン血症と高度の尿蛋白を認め,浮腫の原因はネフローゼ症候群と診断した。 ネフローゼ症候群の原因として,慢性シャント感染に伴うシャント腎炎を疑った。 血液培養でProbionibacterium acnesを検出し,ペニシリンGで治療を開始した。 解熱したが下肢浮腫は改善しないためシャント部分入れ替え術を施行した。 シャント内髄液よりProbionibacterium acnesが検出され,シャント感染が証明された。 シャント抜去後より下肢浮腫は改善し,血清アルプミン値も上昇した。 退院 1 年後の現在も発熱やネフローゼ症候群の再燃を認めていない。
  • 穴田 雅英, 舛形 尚, 谷内田 達夫, 米山 弘人, 正木 勉, 千田 彰一
    2015 年 9 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2015/10/31
    公開日: 2024/01/21
    ジャーナル フリー
    肝膿瘍は発熱,悪寒戦慄,腹痛が 3 大症状とされているが,今回我々は健康な若者で発熱や悪寒戦慄を伴わない肝膿瘍の一例を経験した。 本例は若年男性であり,過去にリスクの高い同性間での性的接触があったため我々はまずアメーバ性肝膿瘍を疑い治療を開始したが,最終的にはKlebsiella pneumoniaeK. pneumoniae)による化膿性肝膿瘍と診断した。本例では化膿性肝膿瘍の典型的な臨床像とは異なっていたものの,画像診断では肝膿瘍に典型的な所見であった。起炎菌として,患者背景からは赤痢アメーバが最も疑わしいと考えられたが,膿瘍ドレナージにより,肝膿瘍の起炎菌として一般的なK. pneumoniaeが検出された
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