日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
15 巻, 3 号
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原著
  • 峰村 健司, 平塚 義宗, 小林 弘幸
    2019 年 15 巻 3 号 p. 137-146
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    説明義務違反が争点となり,2008 年から 2017 年に判決された医療訴訟判決の分析を行った。一般的には,裁判所の判断ではあらゆる危険性についての説明を求められてはおらず,患者が自身の受ける医療について選択をする上で必要な情報を与えれば良いとしているようである。しかし,求められる説明の程度は判決によって差があり,類似の事例であっても裁判所の判断が異なることがある。裁判官ごとの傾向による差として表れている可能性もある。診療科別に見ると,形成外科事例と脳神経外科事例では説明義務違反の認定率が有意に高かっ た。裁判の判決では,その裁判ごとの条件によって説明義務違反の認定傾向も異なるため,医療者が個々の判決から学ぶことができる事柄には限界がある。最高裁判所判例や他の判決で示された説明義務の規範を念頭に,患者の立場に立って,患者の自己決定権を保障できるような説明を心がけることが求められると考える。
症例報告
  • 大木 公介, 加藤 禎史, 野下 育真, 柳田 賢一朗, 坂中 博昭, 武岡 宏明, 堀端 謙, 鍋島 茂樹
    2019 年 15 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は 67 歳,男性。生来健康。X年 3 月中旬より 39 ℃台の発熱と咽頭痛が出現し近医を受診した。扁桃炎の診断で抗菌薬の内服加療を受けたが,アフタ性口内炎,両手掌と足底の膿痂疹,右肩関節と仙腸関節の仏痛が続発し同月 30 日に当科に入院した。血液検査で白血球数は 13,100/μLと増加しており,血清CRP値は 14.59 mg/dLと高値,赤沈は 89 mm/hと亢進していた。血液培養は陰性で入院時に提出した両手掌・足底の膿痂疹の培養も陰性であった。掌蹠膿疱症と診断されたが,その後MRIで肩鎖関節炎が,ガリウムシンチグラフィで右肩周囲および胸椎へのガリウム集積が認められたため骨炎の存在が疑われた。以上よりSAPHO症候群と診断しプレドニゾロンによる治療を行った。扁桃炎に続発する掌蹠膿疱症に関節炎を合併した症例ではSAPHO症候群を鑑別に挙げて骨病変の評価を行うことで,早期の診断・治療につながると考えられた。
  • 岩室 雅也, 安部 真, 河原 祥朗, 岡田 裕之
    2019 年 15 巻 3 号 p. 153-156
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル フリー
    症例は食道びらんの精査希望で紹介受診した 78 歳の男性。びらんは頚部食道に内視鏡の抜去時のみにみられ,びらん周囲の粘膜は壁外性に圧排されていた。3 年間に 4 回の内視鏡検査と 3 回の生検を実施したが,内視鏡所見に変化なく生検結果はいずれもgroup 1 であった。頚部CT検査で頚椎前面に骨棘形成を認め,食道 が圧排されていたことから,頚椎の骨棘により偏倚した食道と内視鏡が接触して食道びらんを形成したと考えられた。
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