目 的
本研究では,不妊治療を受ける日本人女性のQuality of life(QOL)の現状を把握すること,およびQOLに影響する要因について明らかにすることを目的とした。
対象と方法
医学中央雑誌web版Ver.6,PubMed,CINAHL,Psycinfoを用いて,「不妊症(治療)」「不妊症–女性(治療)」「生活の質」「Infertility」「Infertility, Female」「Quality of Life」のキーワードを掛け合わせて原著論文に限定し,文献検索を行った。適格基準・除外基準を基に論文のスクリーニングを行い,不妊治療を受ける日本人女性のQOLの現状とQOLに影響する要因についての記述を抽出した。
結 果
文献検索の結果,13件の論文が抽出され,不妊治療を受ける日本人女性のQOLに影響する要因を明らかにするために用いられていたQOL尺度は7種類であった。FertiQOLの6つの下位項目では,「感情」「治療環境」において低いスコアを示していた一方,「関係」において高いスコアを示していた。SF-12とSF-36では,「社会生活機能」においてSF-12とSF-36でスコアに大きな差がみられていた。WHO/QOL-26では,「身体領域」のスコアが最も低かった文献があった一方,「身体領域」「心理領域」「社会関係」「環境領域」のスコアに大きな差がみられなかった文献もあった。「不妊治療中のQOL」では「家族関係のQOL」が最も点数が高かった。また,QOLに影響する要因は【個人要因】,【治療に関する要因】,【精神的要因】,【社会的要因】であった。パートナーからの愛情や関わり,不妊治療への信頼がQOL向上に影響を与えていた。
結 論
不妊治療を受ける日本人女性のQOLを測定する尺度として,いくつかの健康関連QOL尺度が用いられていた。QOL尺度によってQOLスコアが低い下位項目と高い下位項目は異なっていた。パートナーの愛情や関わり,不妊治療に対する信頼がQOLを向上させることから,パートナーシップ支援や患者に寄り添った丁寧な説明やケアを行うことが必要である。
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