森林立地
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63 巻, 1 号
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論文
  • 前田 綾子, 酒井 敦, 杉田 久志
    原稿種別: 論文
    2021 年 63 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー

    高知県本山町白髪山のヒノキが優占する天然林において,樹種構成と立地の関係を調べ,温帯性針葉樹が定着するマイクロサイトを明らかにした。緩傾斜地に設置した9つの調査コドラートで,樹高1.5 m以上の全ての樹木の胸高直径および樹高1.5 m未満のすべての針葉樹の樹高を測定し,針葉樹が定着している基質(根株,倒木,岩,マウンド,地表)を記録した。調査地をDCAにより序列化したところ,ヒノキとツガが優占する群とケヤキ,トチノキ,カツラなどの落葉広葉樹が混生する群に大きく分かれ,前者は岩塊地に,後者は土壌が厚い場所に出現する傾向が見られた。ヒノキ稚樹(樹高 < 1.5 m)は倒木や古い根株に偏って分布していたが,それより大きい個体は根株にのみ集中して生えていた。ヒノキの成木は30%が地面より高い位置で定着しており,そのうち半分がタコ足状になっていた。ツガの稚樹は岩や根株の上に定着し,成木はヒノキと同様に古い根株に生えていた。ゴヨウマツは本数が少ないが,成木も稚樹も古い根株に偏って定着していた。モミは地表に偏って稚樹が生えていたが,中間サイズの木がなく更新が制限されていた。岩塊が露出した場所やスズタケが密生している場所では,古い根株や倒木の上がヒノキ,ツガ,ゴヨウマツの定着マイクロサイトとして機能していると考えられる。

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