チャの栽培面積は57千ha,荒茶生産量は10万tが計上されており,茶園は平担地と傾斜地にほぼ同率に存在する。傾斜地茶園については,傾斜15°以下が全体の33%,15°以上が20%,さらに200m以上の高地にある茶園が32%を占めることから,生産力に及ぼす気象的影響はみのがすことはできない。まだ,茶の品質は,新葉中の全窒素含量やアミノ酸およびアミド(とくにテアニン)含量が高いほど質がよいといわれ,これらの含量は摘採時期が遅れるほど減少し続けるので,いわゆる硬葉摘みになれば収量は当然多くなるが,製品の品質は極端に粗悪になる。一方,芽の若いうちに摘む「みる芽摘み」によって,収量は少いが高品位の茶を作ることで経済性を高める経営方法もあって,農家により収益性の高い方法が選ばれているのが現状である。しかし,一般には,茶園の収量は芽重×芽数から成り立つため,10a当たり収量と所得の間には明らかに相関がみられる。このようなことから,茶園土壌の生産力を考える場合には,品種,樹齢,仕立方法,栽培管理,茶葉の摘採方法などの条件もまたみのがすことはできない。そのうえ,一般に茶葉生産に関する地力要因については,土壌の母材的特性を考慮しても,土壌の化学性,物理性,微生物的諸性質の評価が,他の畑作物や永年作物の土壌の場合と異なってくることは明らかである。
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