森林立地
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63 巻, 2 号
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論文
  • 山田 毅, 長倉 淳子, 平井 敬三
    原稿種別: 論文
    2021 年 63 巻 2 号 p. 31-38
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー

    再生可能エネルギーの一つとして,木質バイオマス発電が注目され,特に大型発電所等の稼働増加により,大量に発生する燃焼灰の処理が課題となっている。木質バイオマスの燃焼灰はカリウムやカルシウムなどの養分を含んでおり,生産が急増しているコンテナ苗の育苗培地に資材および肥料として利用できれば,灰の有効利用と育苗コストの削減につながる可能性がある。それには,育苗期間だけでなく植栽後の苗の成長についても明らかにする必要がある。そこで,木質燃焼灰の混合率が異なる培地で育成したスギおよびヒノキコンテナ苗を苗畑に植栽し,3成長期間の成長を追跡した。その結果,スギの成長は灰混合率が5%,10%区は0%区と同等の成長を示した。25%区は,苗畑植栽時点では0%,5%,10%区より成長が劣ったが,植栽3成長期間後には,他区と同等に成長した。ヒノキの成長は,5%区では0%区と同等であった。10%,25%区では植栽時の枯死率が高かったが,0%区と同等に育った個体もあった。コンテナ苗培地への燃焼灰の混合率をスギ10%,ヒノキ5%を上限とする範囲内で育苗すれば,植栽後の苗の成長は確保されることが明らかになった。

短報
  • 高尾 真世, 小林 元, 山越 麻由, 城田 徹央, 岡野 哲郎, 白澤 紘明, 荒瀬 輝夫, 木下 渉, 野溝 幸雄, 酒井 敏信
    原稿種別: 短報
    2021 年 63 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2022/01/13
    ジャーナル フリー

    亜高山帯常緑針葉樹林において,応力波伝播速度と穿孔抵抗の測定によるオオシラビソとシラビソ立木の腐朽診断を行い,亜高山帯林における立木の材質腐朽の発生要因について考察した。応力波伝播速度は,材質腐朽および凍裂の生じた個体において低い値を示すものが多かった。また,凍裂の生じていない個体においては,樹幹直径方向の腐朽部の長さの比率が大きくなるにつれて低下した。応力波伝播速度のヒストグラムは正規分布もしくは左裾広がりの分布型を示し,オオシラビソ,シラビソ共に林分の標高が高くなるにしたがってより遅い階級に分布する本数密度が増加した。このことから,オオシラビソとシラビソにおいては,林分の標高が高くなるにしたがって材質腐朽木と凍裂木の本数密度が増大するといえた。凍裂木の多くが辺材腐朽していたことから,凍裂による樹幹の割裂部も木材腐朽菌の侵入経路の一つとして考えられた。凍裂木と辺材腐朽木は標高の高い林分で多く見られたことから,高標高林分においては,凍裂も材質腐朽を発生させる大きな要因と考えられた。

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