森林立地
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40 巻, 2 号
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  • 大貫 靖浩, 佐藤 保, 藤本 潔, 稲垣 昌宏
    原稿種別: 論文
    1998 年 40 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    天然生常緑広葉樹林が分布する,宮崎県の綾リサーチサイトにおいて,実生の発生・生残を規定する地形・土壌要因を明らかにするために,100m×120m調査区域に規則配置した263地点において表層土壌の堆積・侵食量調査,および表層土壌の物理特性の測定を実施した。表層土壌の堆積・侵食量は,微地形単位と斜面の傾斜によって異なり,傾斜の緩い頂部斜面では堆積が卓越する地点が認められるなど侵食量が少なかったのに対し,急傾斜の谷頭急斜面・谷頭凹地では特に降水量が多かった時期に侵食量が多かった。堆積・侵食量の経時的変化について検討した結果,斜面下部に位置する谷頭凹地や麓部斜面では,降水量の多寡によって堆積・侵食量の変動が大きく,下部谷壁斜面では常に侵食傾向にあるが,頂部斜面・上部谷壁斜面・谷頭急斜面では春季〜秋季にかけては侵食作用が,秋季〜春季には堆積作用が卓越することが明らかになった。表層土壌の物理特性と微地形単位との関係を検討した結果,土壌の透水性に影響を与える低水分張力域孔隙率は,統計的な差異は認められなかったものの,尾根部の頂部斜面や上部谷壁斜面で比較的高い地点が多く,土壌の保水性に寄与する高水分張力域の孔隙は上部谷壁斜面と谷頭凹地で多かった。物理特性間の関係では,現場含水率と高水分張力域孔隙率は比例関係にあったが,低水分張力域孔隙率とは逆比例関係にあった。表層土壌の物理特性と侵食量との関係を検討した結果,低水分張力域孔隙率が高いほど侵食量が少なくなることが明らかになった。
  • 沖津 進, 百原 新
    原稿種別: 論文
    1998 年 40 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    本州中部八ケ岳白駒池付近の成熟した亜高山針葉樹林で,岩礫地におけるチョウセンゴヨウとその混交樹種の生育立地を調査した。全体での胸高断面積割合はコメツガが45%に達して最も優占し,シラベ・オオシラビソ,ダケカンバ・ネコシデやトウヒが続いた。チョウセンゴヨウは8%で,出現は単木的であった。岩礫の分布量が少ない立地では,コメツガが優占するものの,シラベ・オオシラビソ,ダケカンバ・ネコシデ,トウヒが優勢に混交していた。チョウセンゴヨウは殆ど分布しなかった。岩礫の分布量が多い立地ではコメツガが優占し,チョウセンゴヨウがそれに次いだ。シラベ・オオシラビソ,ダケカンバ・ネコシデは出現が極めて制限された。岩礫の分布量が多い立地では,乾燥条件などによりシラベ・オオシラビソ,ダケカンバ・ネコシデの出現が極めて制限されるため,チョウセンゴヨウの定着の機会が増加すると推察された。
  • 藤本 潔, 酒井 寿夫, 森貞 和仁, 古澤 仁美, 中嶋 敏祐, 布施 修, 小林 繁男
    原稿種別: 論文
    1998 年 40 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    1984年の長野県西部地震に伴い発生した御岳岩屑流は,森林域にも多大な被害をもたらした。この岩屑流発生から10年目の植生発達状況と立地環境との関係を明らかにするため,岩屑流堆積物が薄く堆積する標高約2000mの小三笠山北側の緩傾斜地(田の原)と,厚さ数10mの岩屑流堆積物で埋積された標高約950mの王滝川谷底部(氷ヶ瀬)にトランセクトを設け,地形断面測量,堆積物の粒径分析および植生調査を行った。波長数10〜100m程度,振幅10m程度の波状起伏がみられる田の原では,流水の影響を受けやすい谷部で粒径2mm以下の細土含有率や細土中のシルト・粘土含有率に顕著なばらつきがみられ,細土がほとんど存在しない箇所で出現種数・被度とも低い値を示すものの,細土含有率が5%程度以上ある地点では,微地形条件に関わらず,これらは同様の値を示した。氷ヶ瀬では岩屑流堆積面が現河床を含め3段に段丘化しており,岩屑流堆積後,河川による侵食作用を被ることなく安定した地形環境下にあった上位面が出現種数・樹高・被度のいずれも最も高い値を示した。これらの結果は,流水による侵食プロセスが初期植生発達過程に大きな影響を及ぼしていることを示す。岩屑流発生後,同じ期間を経ていると考えられる田の原と氷ヶ瀬上位面を比較すると,樹高およびそれぞれの種の被度百分率の合計値のいずれも標高の低い氷ヶ瀬上位面の方が高い値を示した。
  • 横井 秀一, 山口 清
    原稿種別: 報告
    1998 年 40 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
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