森林立地
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45 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 谷口 真吾, 尾崎 真也
    原稿種別: 論文
    2003 年 45 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    兵庫県氷ノ山山系におけるブナ・ミズナラの結実変動と氷ノ山山系周辺地域の人里におけるツキノワグマ目撃頭数の関係を検討した。ブナ・ミズナラ堅果の結実は、ブナまたミズナラのどちらか、あるいは両者がともに良好な年は、ツキノワグマの目撃頭数は調査期間の5カ年月年の平均値よりも少なく、逆にブナ、ミズナラ堅果の結実が不良な年は、目撃頭数が多い傾向であった。このことは、ツキノワグマの秋の人里への出没回数は、ブナ・ミズナラの結実変動に大きく左右されることを示しているといえる。
  • 長尾 忠泰, 原田 洋, 目黒 伸一
    原稿種別: 論文
    2003 年 45 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    川崎市の埋立地に造成された約6haの環境保全林で,リターフォール量を定期的に7年間調査した。林内に調査区(10m×10m)を2区(非間伐のA区,間伐のB区)設定した。B区の伐採率は立木本数40%であった。年間の全リターフォール量はA区では平均7.64t・ha^<-1>(5.73〜8.51t・ha^<-1>),B区では平均6.68t・ha^<-1>(4.81〜8.49t・ha^<-1.)であった。また,年リターフォール量の中で,落葉の占める割合はA区では63.0〜85.8%,B区では73.4〜85.6%で最も高かった。A区においてはタブノキが落葉量の34.2〜59.8%を占め,次いでスダジイ,ホルトノキの順となり,B区では,タブノキが48.5〜73.0%,次いでホルトノキ,スダジイの順になっている。本数を40%間伐しても,落葉量は3年後には非間伐区とほぼ同じ値になった。落枝量は,B区よりA区で多く,B区は年度による変動が大きかった。生殖器官は,主にスダジイの花とアラカシの堅果であった。リターフォール量の季節変化は,5月に急激に増大し,晩夏の9月まで高いという天然生の照葉樹林と同様な特徴を示した。また間伐しても,落下季節パターンには影響がないことが明らかになった。落枝量は,落葉量のような明瞭な季節変化を示さず,台風や強風によって増大した。
  • Cahyono Agus, Oka Karyanto, Suryo Hardiwinoto, 喜多 智, 生原 喜久雄, 戸田 浩人, 峰松 ...
    原稿種別: 論文
    2003 年 45 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    熱帯地域でのマメ科植物の被覆が短伐期育成林の土壌の化学性質に及ぼす影響について調査した。3種のマメ科植物,Crotalaria anagyroides (CA),Mucuna chochuchinensis (MC),Calopogonium caeruleum (CC)を6年生で皆伐したGmelina arborea Roxb (yemane)の伐採地に植栽した。植栽4ヶ月後にマメ科植物のバイオマスを,6ヶ月後に表層土壌(0〜10cm)の化学性を調査した。全バイオマスはCAで4.7Mg ha^<-1>,MCで4.3Mg ha^<-1>,CCで3.8Mg ha^<-1>,根のバイオマスは3種とも1.7Mg ha^<-1>であった。バイオマス中の養分量は,Nで67〜78kg ha^<-1>,Kで27〜33kg ha^<-1>,Caで15〜23kg ha^<-1>,Mgで2〜3kg ha^<-1>,Feで0.3kg ha^<-1>であった。表層土壌中(0〜10cm)のha当たりの全養分量は、マメ科植物および無処理に違いが見られなかった。CAおよびMCの交換性CaおよびMg量は無処理区の約2倍,交換性Alは約半分であった。CCと無処理との間には交換性Caに違いは見られなかった。熱帯地域ではマメ科植物を年2回栽培が可能なので,マメ科植物による地表面の被覆は短期育成の施業林において土壌改良としての効果が期待される。
  • 酒井 寿夫, 森澤 猛, 仙石 鐵也
    原稿種別: 論文
    2003 年 45 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    長野県の御岳山(標高2,120m)で降水および降雪のpH,ECと溶存成分濃度を測定した。7年間のpH,ECの加重平均値はそれぞれ5.04,5.7μS/cmであった。溶存成分濃度は他の山岳地域と比較して低いレベルにあった。降雪期(12〜3月)におけるECは降雨期(6〜10月)に比べて高かったが,これはすべての溶存成分の濃度が12〜1月に高いためであった。御岳において,降雨期と降雪期の溶存成分濃度を比較すると,海塩起源の比率が高いと考えられるNa^+,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,Cl^-,ss-SO_4^<2->のそれぞれの濃度は降雪期の方が明らかに高かった。一方,非海塩起源のNH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->の濃度も高い傾向にあった。したがって,降雪期における溶存成分濃度の増加は,海塩とそれ以外のものを起源とする複合的な要因によるものと推定された。降雪期にNa^+,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,Cl^-,ss-SO_4^<2->の濃度が高い傾向は、比較した5つの観測地点(輪島,八方尾根,立山,犬山,名古屋)でも見られた。しかし,御岳におけるこれらの成分の濃度比(降雪期/降雨期)は、日本海側の輪島,八方尾根,立山ほど高くなく,太平洋側の犬山,名古屋と同程度であった。一方,御岳ではNH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->の濃度比(降雪期/降雨期)も高くなっており,同じ傾向が日本海側の輪島と八方尾根で明らかに見られた。御岳における降雪期のNH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->濃度増加は,藤田ら(2001)が西日本で観測した現象(降水中のnss-Ca,NH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->濃度が10〜3月に濃度が高くなる現象)と非常に似ていた。
  • 館野 隆之輔, 両角 早千恵, 武田 博清
    原稿種別: 論文
    2003 年 45 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    冷温帯落葉広葉樹林において,湿生から乾生までさまざまな立地に生育する主要樹種13種について被食葉面積を明らかにした。13樹種の被食葉面積の平均値は3.9%,最小値および最大値はそれぞれ1.9%と6.8%であった。湿生樹種の葉の窒素濃度は、乾生種より高い傾向が見られたが,葉の総フェノール量や比葉面積(SLA)は,生育する土壌条件との関係は見られなかった。葉の性質の中で,窒素濃度のみが,被食葉面積と有意な正の相関関係が見られた。本研究の結果は既存の研究とも一致し,冨栄養な環境に適応した種は,貧栄養な環境に適応した種よりも,葉食性昆虫による摂食を受けやすいことが示唆された。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    原稿種別: 論文
    2003 年 45 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    ヒノキおよびスギ人工林化による養分動態特性の変化が土壌養分特性を変化させる機構を明らかにすることを目的に,落葉広葉樹天然林(広葉樹林)と同一斜面に隣接した広葉樹林を伐採して造成されたヒノキおよびスギによる人工林(針葉樹林)において,リターフォールの乾重および元素含有量,林害雨,林内雨による養分供給量,および生態系外へ流亡した養分量を調査し,斜面位置ごとに広葉樹林と針葉樹林間で比較した。斜面上部のヒノキ林では広葉樹林に比べて土壌深0-30cmにおける全C量は約0.6倍で,リターフォールによるC供給量は約0.9倍であることから,ヒノキ林の土壌では有機物が無機化されやすく,蓄積しにくい可能性が示唆された。斜面下部のスギ林では広葉樹林に比べて土壌深0-30cmにおける全C量はほぼ同じであったが、リターフォールによるC供給量は約0.8倍であることから,スギ林の土壌では有機物が無機化されにくく,蓄積しやすい可能性が示唆された。斜面上部のヒノキ林ではAo層を通過して鉱質土壌に供給されるK^+量は広葉樹林の約0.4倍であった。斜面下部のスギ林ではAo層を通過して鉱質土壌に供給されるCa^<2+>量は広葉樹林の約2.1倍であった。土壌深0-10cmの交換性K量と土壌深0-30cmの交換性Ca量は鉱質土壌に供給されるK^+,Ca^<2+>量と有意な正の相関関係にあった。このことから,鉱質土壌に供給されるK^+,Ca^<2+>量が土壌の交換性塩基量に影響を及ぼしていた。
  • 藤本 浩平
    原稿種別: 記録
    2003 年 45 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
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