本研究では,樹木あるいは林分の風倒抵抗性に対する樹形の効果について検討するため,北海道中央部で2004年に風倒被害のあった地域の針葉樹人工林で,被害の発生と樹形の関係について調査した。カラマツ,トドマツ,エゾマツ人工林を対象に,風倒後2〜4年後に,被害林と無被害林で調査し,形状比,樹冠長率(樹冠長と樹高の比),相対風心高(風心高と樹高の比)について検討した。カラマツ人工林とトドマツ人工林では,平均形状比は被害林分と無被害林分で分離し,無被害林分で小さかった。樹冠長率と相対風心高の結果から,カラマツ人工林とトドマツ人工林の無被害林分では,被害林分よりも樹冠が大きい傾向が明らかだった。エゾマツ人工林でも,形状比,樹冠長率,相対風心高については類似した傾向が認められた。これらの結果は,樹形と風倒抵抗性には明確な関係があることを示し,形状比が小さく樹冠の大きい樹木がより風倒抵抗性が高いといえる。また風倒被害の発生と樹形の関係は,ある閾値を境に被害確率が急激に変化する関係と考えられた。風倒確率を低減させるためには,林分管理が必要であり,樹形は林分密度に強く影響されるので,人工林の風害リスク管理には密度管理が重要である。
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