1.
Ae. squarrosa×
H. villosa の雜種では1個乃至5個の核を有する巨態花粉粒が見出される。之等は1-2個の發芽乳を有して居る。第一成熟分裂及第二成熟分裂の後に隔膜が全然形成されないか又は不完全に形成される事によつてこの如き巨態の花粉粒が出來るのである。すべての花粉粒は退化して不稔である。
2.
Ae. caudata×
Ae. speltoides の雜種にも屡々巨態花粉粒が見出される。その發生は第一及び第二成熟分裂の一方又は兩方の退行現象に依るものの如くである。この巨態花粉粒は1-4個の發芽孔を有する。巨態にして正常なる内容即ち1個の營養核と2個の精子核とを有する花粉はその大きさより見てテトラプロイドであらう。兩親に對し直徑に於て60-70%大である。之等の花粉には發芽能力を有するものがある。
Ae. speltoides を母としと
Ae. caudata×
speltoides の花粉をかけた所が, 數粒の種子を得た。この種子は甚しく皺のよつたもので發芽力皆無であつた。恐らく4
xの花粉が1
xの卵を受精したため胚乳の形成が不良であつたためであらう。
3. 大形の花粉の形成は外的條件によつて支配される。
4. 染色體數は巨態花粉粒では4
xを最大とし2
xのものその他があるであらう。4
xの花粉は2個の成熟分裂が共に退行現象をうけたものであつて, 2
xのものは第一分裂の退行現象によるものが大部分であらう。
5. 發芽孔は恐らく母細胞の古い細胞膜上に出來るものであらう。
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