1) 普通系小麦5種, 即ち
T. vulgare, T. compactum, T. Spelta, T. sphaerococcum 及び
T.
Macha を母とし
T. Timopheevi を父として交雑を行い, 各組合せより夫々 2; 26, 31, 7, 及び12個体の成熟 F
1 植物を得た.
2) 供試した普通系小麦5種と
T. Timopheevi との交雑能力を授粉小花数に対する雑種生成歩合を以て判定した結果,
T. Spelta が最高で
T. compactum これにつぎ, 以下
T. sphaercoccum,
T. Macha, の順となり
T. vulgare が最低を示した.
3) 各組合せとも花粉母細胞成熟分裂第一分裂中期では一価染色体が著しく多く現われ, これと対応して二価染色体は減少し, しかもその大半は末端でゆるく結合していた. 多価染色体はIV価まで, 組合せによつてはV価までみられ, 特に三価染色体の出現が頻繁であり, Emmer 系との五倍雑種に見られる基本接合型 14
II+7
I は各組合せを通じて一度も観察されなかつた.
4) 第一分裂, 第二分裂共に後期では遅滞染色体や染色体橋が頻繁に見られ, 花粉四分子期には小核を多数有するが外形は殆んど正常な四分子が形成され, 異常分子は極めて稀である.
5) F
1 の穂の形態は普通系の親に近似し, 花粉稔性は極めて低率で葯は裂開せず高度の不稔を示したが,
vulgare を除く他の四種との組合せでは稀に自然放置で稔実した穂もあつた。各組合せの F
1に夫々の両親で戻交雑した結果, いずれの組合せからも僅少の稔実粒を得た.
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