背景:臍帯血移植は凍結細胞を用いるため,凍結臍帯血の造血機能評価は重要である.しかしながら,液体窒素に保存された造血前駆細胞の造血機能がどの期間保持されるかは明らかでない.
方法
1.Validationの23件(凍結期間1年2カ月∼5年)から有核細胞数,生細胞率,CD34測定及びCFU-GM数より凍結前,解凍後のバッグ大室,バッグ小室,セグメントの評価を行った.
2.Validationと移植出庫前セグメント解凍検査(凍結期間1カ月∼8年)より凍結期間による造血機能の影響を検討した.
結果
1.検体別の造血機能検査比較
凍結前またはバッグ大室,小室と比べセグメントの造血機能検査値は低値傾向にあったが,各検体間で良好な相関を認めた.
2.凍結期間別造血機能検査比較
生細胞回収率で5年以上保存群が有意(p<0.05)に低値を示したが,CD34陽性細胞,CFU-GM数では各保存期間群に差を認めなかった.
考察:臍帯血移植申込時の造血機能評価として,セグメントからバッグ内生細胞数や機能推測の妥当性が示された.今回検討の保存期間で造血前駆細胞の造血機能減少は認めなかったが,今後も継続的な検討が必要である.
抄録全体を表示