日本臨床皮膚科医会雑誌
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34 巻, 6 号
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論文
  • 川島 眞, 宮地 良樹
    2017 年 34 巻 6 号 p. 732-741
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    要旨
     本邦の痤瘡診療のさらなる向上のための啓発が求められていることから,現状を把握するために一般人を対象として、痤瘡およびその治療に関する知識,受療行動について実態調査を実施した。
     インターネットの一般モニターを対象に調査を実施し,10歳代から50歳代の2,434名(男性1,226名,女性1,208名)から有効回答が得られた。痤瘡に罹患した経験がある人は男性で79.0%,女性で82.5%,全体では80.7%であった。現在,痤瘡の症状がある人では面皰主体である人を含め,男女共に80%以上が軽症であった。
     医療機関の受診率は男性で14.6%,女性で18.6%,全体で16.8%であった。受診後の通院継続率は,男性が65.9%に対して,女性では33.3%しか継続していなかった。医療機関を受診しなかった理由としては,自然治癒を期待して待つとの回答が半数以上を占めていた。
     受診時に処方された内服薬は,内服抗菌薬が男性で65.8%、女性で43.1%と最も多く、次いでビタミン剤,漢方であった。外用薬はほとんどの受診者に処方されていたが,外用抗菌薬は男性で63.2%,女性で49.7%であった。外用抗菌薬と同時に処方された外用薬は,アダパレンが男性で34.2%,女性で14.9%,過酸化ベンゾイルが男性で21.1%,女性で5.4%であった。一方,外用抗菌薬が単独で処方されていたのは,男性で23.7%,女性で48.6%であった。受診時の総合満足度は,非常に満足が男性9.2%,女性10.8%であった。
     今回の調査から,痤瘡患者の受療行動は必ずしも積極的とはいえず,また,医療機関側でも内服抗菌薬の選択や耐性菌回避のための併用療法,維持療法の導入などを勧めた尋常性痤瘡治療ガイドラインが必ずしも遵守されていない現実が示された。また,患者および医療従事者に向けても新しい痤瘡治療薬や維持療法の重要性に関する情報提供が必要と考えた。
  • 佐藤 友隆, 原田 和俊
    2017 年 34 巻 6 号 p. 742-752
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    目的:外用抗真菌薬のアドヒアランスと治療継続状況を把握するために,爪白癬のレセプト調査および患者アンケート調査を実施した.
    方法:レセプトデータを用いて経口抗真菌薬および外用爪白癬治療薬の治療継続率を調査した.また,インターネットアンケートにより爪白癬治療の実態と患者意識を調査した.
    結果および考察:爪白癬のレセプト調査および患者アンケート調査から,経口薬は外用薬よりも治療継続率が高い傾向が伺われた.治療満足度は総じて高く,治療効果については経口薬に,副作用の少なさについては外用薬において,より満足度が高い傾向が見受けられ,治療の期間について外用薬に対する満足度が低い傾向がみられた.治療結果に関する患者アンケート調査では,医師が治癒したと判定した割合は経口薬でより高い傾向があり,一方,患者自己判断による治癒前の中断は外用薬で高い傾向がみられた.治療を中断した患者の半数近くが後悔しており,その割合は経口薬よりも外用薬で高い傾向にあった.治療を中断した理由は,多忙ゆえの通院の困難さが最多であったが,効果に対する不満や治療期間の長さも上位を占めた.治療継続には患者自身が効果を実感すること,治療ゴールや治療にかかる期間,薬剤の使用方法についての医師からの説明が必要なことが明らかにされた.
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