日本臨床皮膚科医会雑誌
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36 巻 , 3 号
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論文
  • 田蒔 舞子, 飛田 泰斗史, 山﨑 佳那子, 石倉 久嗣, 尾﨑 享祐
    2019 年 36 巻 3 号 p. 383-387
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
    68歳,女性.初診約1ヶ月前から両眼瞼の腫脹を認め,顔面の発赤腫脹も生じ始めたため,当科へ紹介受診した.顔面は全体に腫脹しびまん性の紅斑を呈し,両手には鱗屑を付着する紅斑を認めた.草むしりなどの雑用という職歴から接触皮膚炎を疑い,ステロイド外用剤と抗ヒスタミン薬を処方した.1週間後の再診時,顔面の腫脹は著明に増悪し,両側頚静脈が怒張していた.上大静脈症候群を疑って,造影CTを施行したところ,縦隔に5cm大の腫瘤を認め,腫瘤は上大静脈に浸潤し,上大静脈内腔は高度に狭窄していた.また多発肺転移を疑う結節が散見された.縦隔腫瘍に伴う上大静脈症候群と診断した.直ちに放射線治療を行い,顔面の腫脹は改善した.解剖学的に生検が困難だったためカルボプラチンとパクリタキセルの化学療法を行い,腫瘍縮小後,縦隔腫瘍切除術を施行した.組織検査より乳癌の縦隔転移と診断した.その後,縦隔で再発し,初診から7ヶ月後に永眠した.顔面の腫脹に頚部,上肢などの表在静脈の怒張を伴った場合は,上大静脈症候群を考え,確定診断のために造影CTを行う必要がある.上大静脈症候群の原因が縦隔腫瘍の場合,オンコロジック・エマージェンシーとして急死の可能性もあり,放射線治療を始めとした早急な対応が必要である.上大静脈症候群は,皮膚科を受診する可能性も稀ながらあり,念頭になければほとんど診断は不可能であるため,皮膚科領域でも忘れてはならない病態であると考え報告する.
  • 牧 伸樹, 石田 昭雄, 出光 俊郎
    2019 年 36 巻 3 号 p. 388-394
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
    目的:当院は340床を有する慢性期病院であり,重症心身障害児・者160床,筋ジストロフィー80床,神経難病94床,結核6床からなる.各病棟でのフットケア・爪ケアの対策に役立てるため入院患者の爪真菌症罹患状況を調査した. 方法:対象期間中の入院患者全員を診察し,手足の爪真菌症が疑われる患者の真菌鏡検を行った.菌糸,仮性菌糸,胞子等を確認できた場合と既に診断がついて治療中のケースを爪真菌症と診断した. 結果・考察:329名中98名を爪真菌症と診断した.足の爪真菌症は94名(28.5%),手の爪真菌症は33名(10%)であった.爪病変の病型別では全異栄養性爪真菌症が多く,手の爪に病変がある場合は足の爪にも病変がある割合が高かった(87.8%).手の爪真菌症が疑われた際は足の爪の確認が必要である.
  • 佐藤 俊次
    2019 年 36 巻 3 号 p. 395-400
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     今回,帯状疱疹の抗ウィルス治療薬と帯状疱疹後神経痛(以下,PHN)への移行において,使用薬剤による相違があるかどうかを確認する目的で,さとう皮膚科にて抗ウィルス薬による内服治療をした過去3年間495例の帯状疱疹患者の発症年齢,時期およびPHNに移行した患者についての解析を行った.全症例514症例からバラシクロビル(以下,バルトレックス®)顆粒にて内服治療した帯状疱疹患者19名は除いた.その結果,対照薬剤であるバルトレックス® 3000 mg/日群ではPHN移行が6.3%(10/159)であったのに対して,ファムシクロビル(以下,ファムビル®)1500 mg/日群では4.9%(8/164),また,アメナメビル(以下,アメナリーフ®)400 mg/日群では5.2%(9/172)でありファムビル®およびアメナリーフ®内服による治療群においてバルトレックス®治療群と同等の効果が確認された.このため,服薬回数が1日1回で患者の腎臓機能に応じた用量調節を考慮する必要のないアメナリーフ®による治療の有用性が確認された.
  • 長谷川 舞, 植木 理恵, 扇谷 咲子, 明石 顕, 野々垣 香織, 平井 周, 中川 裕太
    2019 年 36 巻 3 号 p. 401-407
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     68歳男.初診の2週間前より咽頭痛があり近医処方の抗菌剤を含む4種類の薬剤内服後,体幹・四肢に多発する瘙痒のない赤い皮疹が出現した.当科初診時,手掌を含む略全身に米粒大までの紅色丘疹が多数散在していた.咽頭は発赤・腫脹し軟口蓋に直径3mm大の乳白色の粘膜疹が散在していた.両側頸部に無痛性で弾性硬のリンパ節を触知した.陰部,肛門に皮疹はみられなかった.抗菌剤内服後に全身に皮疹が出現したことから薬疹を最も疑い,血液検査を行ったところ胆道系酵素優位の肝機能障害を示した.肝炎ウイルスマーカーは,B型肝炎のみ既感染パターンで,その他は陰性だった.抗核抗体,抗ミトコンドリア抗体も陰性で,腹部単純CT検査でも肝胆道系に器質的疾患を疑う所見もなかった.梅毒血清反応強陽性であったため,再度詳細な問診を行うと不特定の性交渉歴があった.全身の皮疹は丘疹性梅毒,軟口蓋の粘膜疹は梅毒性アンギーナと考え,第2期顕症梅毒と診断した.腹部丘疹の病理組織像は,真皮上層の血管周囲にリンパ球と形質細胞の浸潤があり,梅毒と矛盾しなかった.アモキシシリン内服による駆梅療法を開始後,皮疹は消退傾向となり,梅毒血清反応抗体値も速やかに低下した.トランスアミナーゼも低下し始めたが胆道系酵素が横ばいのためアモキシシリン増量し肝庇護療法を追加したところ,肝機能は速やかに正常化した.臨床経過からは梅毒性肝炎の併発,あるいは,第2期顕症梅毒に薬剤性肝障害が合併した可能性も考えられた.梅毒感染者が急増している現在,咽頭痛,皮疹,リンパ節腫脹,肝機能障害などをみた場合は常に梅毒を考慮する必要がある.
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