日本臨床皮膚科医会雑誌
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31 巻, 4 号
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論文
  • 栗原 佑一, 宮川 俊一, 松本 奈央子, 畑 康樹, 土岐 岳子
    2014 年 31 巻 4 号 p. 477-480
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー
     78歳女.初診4か月前に右環指を屋外でネズミに咬まれた.咬傷が難治で滲出が持続した.抗菌薬内服と抗真菌薬外用で改善せず,前腕および上腕に結節を形成した.前腕の結節からの生検を実施し,病理学的に巨細胞を混じた肉芽腫の形成がみられた.マイコセル斜面培地での滲出液培養で白色湿性のコロニーを形成し,カンジダを疑わせた.巨大培養,スライド培養でSporothrix schenckiiと同定した.臨床像と合わせてリンパ管型スポロトリコーシスと診断した.ヨウ化カリウム内服で瘢痕治癒し再発なし.ネズミ咬傷後に生じるスポロトリコーシスは稀であるが,深在性真菌症や人畜共通感染症として注意が必要と考えた.
  • 扇谷 咲子, 高木 敦, 池田 志斈
    2014 年 31 巻 4 号 p. 481-485
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー
     症例1:37歳女.妊娠中に両側乳頭部の丘疹と結節.症例2:30歳女.両側乳頭部の無症候性の褐色変化や肥厚.2例とも臨床所見と病理組織学的所見よりnevoid型の hyperkeratosis of nipple and areolaと診断した.Nevoid型のhyperkeratosis of nipple and areolaは,妊娠可能な年齢の女性に多くみられる乳頭や乳輪部の乳頭腫症や過角化を特徴とする比較的稀な疾患である.しかし病因は明確では無く,治療法も確立されていない.1923年にTauberによって報告されたが,その後1938年にFranckelがhyperkeratosis of nipple and areola(以下HNA)として3型に分類した.今回,我々はその2例を経験したので報告し,臨床症状,組織病理学的特徴,鑑別診断について述べる.
  • 清原 祥夫, 三井 司, 堂元 貴弘
    2014 年 31 巻 4 号 p. 486-493
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー
     手洗いは院内感染予防において,最も基本的な看護技術の一つであり,米国疾病予防管理センター(CDC)が2002年に発表した「医療現場における手指衛生ガイドライン」にも,その詳細が記載されている.そのため,医療従事者である看護師の手洗いは高頻度であり,手洗い頻度の増加に伴い手湿疹(以下手荒れ)が問題となっている.また手荒れは,皮膚細菌叢を変化させ,黄色ブドウ球菌などの病原菌を常在化させやすくするとも報告されており,手荒れ防止のためのハンドケアは医療従事者のQOLを高めるだけでなく,院内感染コントロールの観点からも重要であると考えられる.そこで静岡県立静岡がんセンターと公益財団法人静岡県産業振興財団(ファルマバレーセンター)とサンスター株式会社で共同開発した,セラミド2,セラミド5配合のプロズチョイス®ハンドクリームについて,看護師と同程度の手荒れを有する一般被験者に対し,手荒れ改善効果,保湿性および安全性を評価し,市販品と比較した.その結果,プロズチョイス®ハンドクリーム,市販品ともに,手荒れ改善効果について使用開始より4週で90%(27人/30人)の被験者に有用性がみとめられた.また保湿性と安全性についても同等であった.使用感に関して,継続使用希望については同等であったが,使い心地を示す項目については,市販品よりもプロズチョイス®ハンドクリームの方が有意にスコアが高かった.  以上の結果から,プロズチョイス®ハンドクリームは市販品と同程度の手荒れ改善効果,保湿性,安全性を有しながら,使用感では市販品よりも受容性が高いことが示唆された.これらより,プロズチョイス®ハンドクリームは看護師をはじめとする手荒れリスクの高いターゲット層のハンドケアにおいて,有用であると考えられる.
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