日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
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40 巻, 6 号
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論文
  • 深田 義仁, 青山 和弘, 小林 尚史, 福積 聡, 山崎 一人, 佐藤 友隆
    2023 年 40 巻 6 号 p. 732-736
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男.約30年前より右外踝部に紅斑があり3年前の外的刺激後から徐々に増大し結節状となった.出血を伴うようになったため紹介初診した.ダーモスコピーでは辺縁に乳白色の網目状構造で覆われた紅色胞巣状構造があり,結節部に関しては一部白色無構造領域とhair-pin vesselesが見られた.エクリン汗孔癌を疑い,病変辺縁の紅色局面と中央の結節より生検した.紅色局面部は周囲との境界が明瞭で一様な細胞が腫瘍胞巣を形成し腫瘍胞巣内に表皮内汗管様の管腔構造を認め,結節部は核異型,構造異型を伴う同様の腫瘍細胞の充実索状増生を認めた.YAP1::MAML2 融合遺伝子の有無は汗腺系腫瘍の分類に有用であることが知られている.自験例もRT-PCRでYAP1::MAML2 融合遺伝子を検出し結節部をエクリン汗孔癌と診断した.自験例は7年前に当科を受診し,同一病変の生検を受けてエクリン汗孔腫と診断され切除予定であったが,受診が途絶えていた.その際の検体についてもRT-PCRを施行しYAP1::MAML2 融合遺伝子を検出した.  以上より,エクリン汗孔腫からエクリン汗孔癌が生じた症例と考えられた.直径の大きいエクリン汗孔腫はエクリン汗孔癌の発生母地となる可能性があり,大きなエクリン汗孔腫は積極的な切除が望ましいと考える.
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