日本臨床皮膚科医会雑誌
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33 巻 , 5 号
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論文
  • 常深 祐一郎
    2016 年 33 巻 5 号 p. 630-636
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
    ジャーナル フリー
    爪白癬に適応のある外用薬が発売されて1年半が経過した時点において,各薬剤の処方割合や病型ごとの薬剤選択などについて実態を調査した. 調査方法  全国皮膚科医のうち,最近1か月間に爪白癬患者に対して10人以上薬物治療を行った病院皮膚科医(HP)137名,開業皮膚科医(GP)203名より回答を得た.調査はインターネットで行った.調査時期は2016年3月2日~3月8日までの1週間とした. 結果および考察  月あたりの平均薬物治療患者数は,42.1人であった.爪白癬の病型は遠位側縁爪甲下爪真菌症(distal and lateral subungual onychomycosis,以下DLSO)が最も多く46.39,次いで全異栄養性爪真菌症(total dystrophic onychomycosis,以下TDO)18.99,楔型17.59,表在性白色爪真菌症(superficial white onychomycosis,以下SWO)10.99,近位爪甲下爪真菌症(proximal subungual onychomycosis,以下PSO)6.49の順であった.治療薬としては経口薬(外用薬併用を含む)治療13.5名(32.09),外用爪白癬治療薬18.4名(43.79),適応のない従来の外用薬9.5名(22.59)であり,外用爪白癬治療薬がHP,GP共に最多であった.また,各治療薬の評価できる項目は,経口薬は「臨床効果が高い」,外用爪白癬治療薬は「安全性が高い」,適応のない従来の外用薬は「安全性が高い」,「薬価」であった.DLSOの重症とTDO以外で病型別の第一選択薬は外用爪白癬治療薬であった.本来は病型や重症度によって治療を選ぶべきであるが,安全性が高いという理由から外用爪白癬治療薬が多く選択されていると推察される.一方,治癒に至った患者割合については経口薬>外用爪白癬治療薬>適応のない従来の外用薬と評価されていることから,治療効果は経口薬が優れていることは認識されているが,効果よりも安全性を重視する傾向がみられる.しかし,治療の目標は治癒であるから,病型や重症度ごとに効果の高い治療薬を選択することを意識しなければならない.
  • 常深 祐一郎, 川島 眞
    2016 年 33 巻 5 号 p. 637-646
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/22
    ジャーナル フリー
    目的  高齢者施設における入居者の皮膚の乾燥や痒み,ならびに貼付剤による皮膚障害の有無やその対処についての実態を把握する目的で調査を行った. 方法  医療従事者向けポータルサイトの会員のうち高齢者関連施設の入居者の診療に携わる医師1,000名を対象としてインターネットによるアンケート調査を実施し,集計・分析を行った. 結果及び考察  210名から有効回答を得た(回答率21.09).特養・老健・療養病床が130名,有料老人ホーム41名,高齢者向け住宅18名,養護老人ホーム14名であった.診療科は,一般内科が121名で最も多く,精神科18名,循環器科13名,外科13名であった.皮膚科医は3名と少なかった.医師が診察している施設入居者のうち皮膚の乾燥や痒み(乾皮症)を有する割合は37.09と,先行研究の報告に比べて低い数値であり,見逃されている可能性がある.保湿剤によるスキンケアは,診察患者の39.79に実施されており,乾皮症の有症率とほぼ同じであった.高齢者施設では乾皮症と認識されれば何らかの保湿剤が用いられていると考えられる.しかし,乾皮症と認識されなければ保湿剤が用いられないことを意味し,十分なスキンケアが行われていない可能性が高いことが推察された.診察患者における貼付剤の使用率は17.59であった.貼付剤使用による皮膚症状の発現率は22.7%で,そのうち32.6%が貼付剤の使用を中断・中止を経験していた.貼付剤による皮膚症状は,乾皮症に対するケアにより軽減できることが示されており,乾皮症に対する日常的なスキンケアを実施することは,貼付剤による皮膚症状の軽減にも有用である.一方で医師が入居者の乾皮症を認知したきっかけは看護師からの申告が7割以上であった.高齢者施設では常勤医あるいは非常勤医の多くが皮膚科医ではないこともあり,医療スタッフとの連携を強化し看護師,介護士,入居者ならびにその家族に対する教育や啓発がより重要となる.
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