超音波検査技術
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49 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
症例報告
  • 佐藤 翼, 横山 拓, 二見 崇太郎, 深田 光敬
    2024 年 49 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/03
    [早期公開] 公開日: 2023/12/16
    ジャーナル 認証あり

    今回,背部アプローチが胸部下行大動脈の観察に有用であった症例を経験したので報告する.症例は70代男性.間欠性跛行の精査の結果,血栓閉塞を伴う胸腹部大動脈瘤を指摘され当院受診となった.心臓超音波検査で胸部大動脈から腹部大動脈にかけて広範囲に拡大を認め,腹部大動脈は閉塞状態であった.胸部下行大動脈は,傍胸骨アプローチおよび心尖部アプローチでは明瞭な観察は困難であったが,心窩部アプローチで血管内腔に可動性構造物を認めた.背部アプローチを行い椎体左縁から描出したところ胸部大動脈が明瞭に描出され,血管内壁の潰瘍や可動性構造物を明瞭に観察することができた.その後,腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術が行われ,術後経過は良好で下肢症状も改善した.胸部下行大動脈は心臓背側を走行しており,経胸壁アプローチにおいて明瞭な描出が難しい.背部アプローチは,解剖学的条件により視野は限られるが,非侵襲的,非造影下でも血管の性状や胸部大動脈瘤・解離を評価することができ,有用な所見が得られる症例がある.

  • 松田 浩明, 山田 貴之, 廣井 綾子, 荻野 千尋, 門田 有紗, 松井 愛良, 田中 浩美, 松田 綾香, 羽原 利幸, 楢崎 弘務, ...
    2024 年 49 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/03
    [早期公開] 公開日: 2023/12/16
    ジャーナル 認証あり

    症例は80代女性.高血圧症などにより近医通院中の202X年7月に胸部X線検査で右下肺に陰影を認めたが,高齢のため精査加療を行わず経過観察されていた.翌年11月に血痰や全身倦怠感を認め,CT検査で肺腫瘍が疑われ,当院内科へ紹介となった.経胸壁心エコー図検査では左室壁運動は良好で,左室後壁側の中部~心尖部に心腔へ突出する3×2 cmの腫瘤を認めた.腫瘤は表面不整,輝度は等輝度で一部低輝度部分が混在していた.入院後,補液や抗菌薬投与による治療を開始したが,効果はなく第9病日に多臓器不全のため永眠となった.死後3時間後に剖検が行われ,右肺下葉に8×7 cm大の扁平上皮癌が認められた.また左肺,心,肝,左腎,右副腎,小腸,皮下,骨髄,傍大動脈リンパ節に転移がみられた.心臓への転移巣は基部から心尖部まで多発してみられ,特に心尖部に大きな腫瘤を形成していた.肺癌における心臓転移の多くは心膜への転移であり,心筋転移は心臓転移全体の約10%を占めるに過ぎない.心臓転移の超音波所見としては,心膜転移では心囊液貯留がよくみられる.一方,心筋転移の場合は局所的な壁肥厚や壁運動低下が特徴とされているが,本症例はこれらの所見はみられなかった.心臓転移は臨床症状に乏しく,発見が遅れることも少なくないため,経胸壁心エコー図検査による観察に際しては本症例のように腫瘤形成を主体とすることも念頭に置き検査を行う必要がある.

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