超音波検査技術
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39 巻, 6 号
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学術賞‐原著
  • 藤田 圭二, 宮地 克維, 正木 修一, 岡崎 麻利, 中山 弘美, 中原 弓恵, 金本 優, 佐藤 慎二, 溝口 博喜, 松原 広己
    原稿種別: 学術賞-原著
    2014 年 39 巻 6 号 p. 559-566
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/02/17
    ジャーナル フリー
    目的:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対する経皮的肺動脈バルーン拡張術(BPA)の治療効果判定に有用な心エコー図検査指標を明らかにすること.
    対象と方法:2010年1月から2012年2月までに当院でBPAを行ったCTEPH患者28名を対象に,右心カテーテル指標の平均肺動脈圧(mPAP),肺血管抵抗(PVR)と心エコー図検査各種指標とを後ろ向きに比較検討した.
    結果:BPAによりmPAP,PVRはそれぞれ有意に改善した. (mPAP治療前43±11 mmHg,治療後31±7 mmHg(p<0.01),PVR治療前908±367 dyne·sec/cm5,治療後480±174 dyne·sec/cm5(p<0.01))それに伴い,心エコー図検査指標である右室自由壁三尖弁輪収縮期運動速度,RVIMP,右室/左室面積比,右房/左房面積比,Eccentricity indexは有意に改善したが,右室収縮能指標として広く用いられている三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)は改善を認めなかった.(TAPSE治療前18.5±4.7 cm,治療後18.3±3.5 cm(N.S.))治療後,右心カテーテル指標の変化を最も鋭敏に反映していた因子はEccentricity indexであった.
    結論:本検討において,数多くある心エコー図検査評価指標の中でBPA治療効果判定にはEccentricity indexが有用であった.
学術賞‐研究
  • 北浦 幸一, 金輪 智子, 神作 慎也, 本間 善之, 山村 和博, 平田 信人, 伊藤 憲佐
    原稿種別: 学術賞-研究
    2014 年 39 巻 6 号 p. 567-573
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/02/17
    ジャーナル フリー
    目的:消化管病変診断の主体はX線検査,内視鏡検査であるが,近年体外式超音波検査による消化管疾患への有用性も報告されている.今回,我々は胃癌における体外式超音波検査の病変部描出率と深達度評価の一致率を検討した.
    対象と方法:対象は2008年12月から2012年10月までに,上部消化管内視鏡で胃癌と診断され開腹手術となった202例で,早期癌79例,進行癌123例である.検査は術前に,全例飲水法で施行し,病変部の描出と深達度評価を試みた.術後病理結果,切除不能例ではSIの有無について手術の肉眼所見と比較した.
    結果:病変部の描出率は80.2%であった.病理深達度別の描出率はMで40.5%,SMで61.9%,MPで96.2%,SS-SEで98.9%,SIで100%であった.
    深達度評価の一致率は66.0%であった.病理深達度別の一致率はMで46.7%,SMで57.7%,MPで56.0%,SS-SEで77.4%,SIで70.0%であった.
    考察:早期胃癌では隆起成分を含む病変は描出可能であったが,隆起成分を含まない病変では描出が困難であった.一方,進行胃癌の描出能は良好であり,深達度評価ではSS以深の一致率が良好であった.SIで不一致となった3例は,体位変換を用いた観察を行っていなかったが,体位変換を用いてSIと判定した7例は全例で一致し,SI評価には体位変換が有用と考えた.
    結語:体外式超音波検査は進行胃癌の存在評価および深達度評価に有用である.
研究
  • 堤 由美子, 種村 正, 渡邊 伸吾, 片岡 容子, 由井 恵美, 佐々木 伸子
    原稿種別: 研究
    2014 年 39 巻 6 号 p. 574-579
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/02/17
    ジャーナル フリー
    目的:大動脈弁口面積(AVA)を計測する際,左室流出路径は重要な因子であるが,その計測部位や時相は施設により異なっている.今回我々は左室流出路径の計測方法の違いによるAVAの差と大動脈弁狭窄症(AS)の重症度評価への影響を検討した.
    方法:対象は以下に述べるBの方法でAVAが2.0 cm2以下の200例とした(男109例,年齢79±8歳).左室流出路径の計測部位をA:拡張末期で大動脈弁輪部より5 mm程度離れた位置,B:収縮早期で大動脈弁輪部より5 mm程度離れた位置,C:収縮早期で大動脈弁輪部直下,の3通りで計測し,連続の式からAVAを算出した.計測可能であった144例についてはD: Planimetry法でも弁口面積を計測した.A~Dの方法で得られた弁口面積を多群間比較した.また,B, C, D間でASの重症度評価への影響を調べた.
    結果:AVAの平均値±SDはそれぞれ,A: 1.25±0.42 cm2, B: 1.26±0.41 cm2, C: 1.40±0.48 cm2, D(144例):1.54±0.50 cm2であった.4群間の比較ではAとB, CとDに有意差は認められなかった.BはDに比べて平均値で18%小さく,CはDより10%小さかったが有意差は認められなかった.重症度評価への影響では,BはDに比べて有意に重症例が増加し,軽症例が減少した.
    結論:連続の式によるAVAは左室流出路径の計測部位によって差があり,重症度評価にも影響する.その原因は左室流出路の形状にあり,心室中隔基部が左室流出路に張り出している症例で差が大きくなる.連続の式によるAVAは過小評価される傾向にあるため,それを是正するためには弁輪部直下で計測した方が良いと考えられた.
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