日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第61回研究発表大会
選択された号の論文の293件中1~50を表示しています
  • 斎藤 進也
    セッションID: A1-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
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    多量のデータを視覚的にわかりやすく表現するための手法である「データ視覚化(Data Visualization)」、あるいは、イラストレーションやグラフィックスの観点から親しみやすく情報をデザインする「Infographics」に関する研究/実践の社会的インパクトが増している。しかし現在のところ、データの視覚化技術は、その有用性が認識されてはいるが、誰もが目的に応じて活用できる汎用のフレームワークとして社会に浸透するには至っていないといえる。  そこで本研究では、視覚化研究として新規性を持つ独自表現の開発を目指すとともに、(単なる視覚化に止まるのではなく)人とデータの関係性をより包括的にデザインし、新たな「視覚的データ管理手法」を確立することを目的とする。この目的に対し、独自に開発を進める「KACHINA CUBEシステム Ver.3」(以下:KC v3と表記)を軸にアプローチする。具体的には、1)誰にでも目的に応じ活用可能な「情報システムとしての視覚化フレーム」の構築、および、2)データセットの持つ変量やデータ構造を柔軟に表現できる「立方体視覚化モデル」の確立という2点に取り組む。
  • 次世代デザインカリキュラムの探求で見出した「ことのデザイン知」をもとに
    小早川 真衣子, 須永 剛司
    セッションID: A1-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
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    著者らは、対象を「もの」から「人々がその中で行為する出来事、自己を包含する活動として捉える“こと”」へ拡張したデザインのあり方を「ことのデザイン(須永,2011)」と呼んでいる。本研究では、この新しい枠組みが、よりよい社会づくりに活かされると考えており、特にデザインを専門としない人々が自覚的に「ことのデザイン」主体になることの可能性に着目している。そのために、「ことのデザイン知」を探求し、それを社会に適用をすることに取り組んでいる。本稿では、適用の事例として、一般大学で取り組んだ授業プログラムの実践について報告する。その実践を省察することから、いずれ地域社会を構成するメンバーになるであろうデザイナーを志さない一般大学の学生たちが、地域社会と共に「ことのデザイン」を学ぶことの意義について議論したい。
  • -ユーザーエクスペリエンスデザインのための実践ワークショップ
    堀江 政広
    セッションID: A1-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    ソフトウェア開発において、ユーザーエクスペリエンス(UX)のデザインが、重要な課題となっている。UX は、ユーザーが製品やサービスを利用した際に得られる経験や満足感全体を指す。「アプリケーションソフトウェアのデザイン開発プロセス研究(2013)」では、プロトタイプを用いたワークショップ(WS)において、ユーザーの抽象的な要求をどの様に見出したのかを述べた。本稿では、UXデザインのためのWSが、開発チームでのデザイナーとエンジニアの協調と、新メンバーへの教育に、どの様な役割を果たしたのかを述べる。
  • 米沢 みどり, 高梨 郁子, 稲葉 浩樹, 角 正徳, 熱田 裕毅, 後藤 央明, 小高 達也
    セッションID: A1-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、空港の将来像を描き、利用者にとって便利で使いやすい情報サービスを提供するため、次世代空港プロジェクトを発足させ、特に2009年から2013年までの5年間はデザインアプローチ手法を用いて将来ビジョンを描き、その成果を実際のビジネスに展開すべく継続的な研究を行ってきた。プロジェクトメンバーは空港システムを担当するエンジニア、営業に加え、研究所からデザイナー、研究者が参画し、横断的な編成を取った。
    既存事業の発展系のみならず、新規事業分野も含めたソリューションを検討し、その結果、エアライン、空港ビル向けの提案に反映させることが出来た。
  • 公共駐車場サイン計画の研究(1)
    中川 麻子, 高嶋 啓
    セッションID: A1-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    公共駐車場は、生活に欠かせない都市機能の一つであり、公共交通機関と同様の役割を担っているといえる。しかし、これまで駐車場に特化したサイン計画の研究は殆どされてこなかった。駐車場の大型化傾向、各地域駐車場の老朽化、高齢化社会に対応するためにも、駐車場の特性を踏まえた新しいサイン計画が必要だと考えられる。本発表では、新たな駐車場サイン研究の足がかりとして、既存の駐車場サインについて調査した結果報告を行った。調査では、特色のあるサイン計画を行っている25施設の駐車場サイン事例をピックアップし、サインデザインの種類と形式、特徴を分類し、問題点を指摘した。また国内と海外の駐車場サインの比較を行った結果、国内はサービス重視、海外は合理性を求める傾向が強いことが分かった。このことから、国内駐車場のサイン計画には、合理的かつ機能的なサインであることを前提にしながら、利用者ニーズを充分に考慮する必要があるといえる。
  • 公共駐車場サイン計画の研究(2)
    高嶋 啓, 中川 麻子
    セッションID: A1-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    駐車場では「駐車位置を覚えて,またその場所に帰る」という,他の施設における行動目的とは異なる 特徴がある.そのために「駐車位置忘れ」と,「空間認識のずれ」,「経路間違い」等の「迷い」が起こる.公共駐車場における「情報理解のしやすさ」=レジビリティは,重要な要素である.駐車場のサインシステムを計画するにあたって,より正確なレジビリティを持つサインシステムの構築が必要である.本研究は,駐車場サインシステムの基礎的研究とするために,アンケート調査を基に,駐車場における「迷い」が発生する原因,要素を明らかにする.
  • 地域産業の振興活動を通じた教育実践
    佐藤 慈, 青木 幹太, 井上 友子, 星野 浩司, 荒巻 大樹
    セッションID: A2-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    博多人形プロモーション・ビデオ制作プロジェクトは、福岡の伝統工芸品産業の振興を目的とした芸術学部の学生による活動である。このプロジェクトの参加者は、映像を専攻する学生であり、タイムラプス、ストップモーション・アニメーション、3DCGアニメーション、プロジェクション・マッピングなどの技法を用いて、ユニークな映像作品の制作を試みた。作品に使用された博多人形は、デザイン学科の学生によって新しくデザインされたものであり、学科縦割りの教育が問題となっている現状において、今回の取り組みは、それぞれの専門性を活かしながら学科間の連携を模索した実践の一つといえる。本研究では、この活動の成果について報告するとともに、芸術学部が有する専門性を活用した地域貢献の可能性について考察する。
  • ソーシャルエコロジーを体現する住宅地ヴォーバン
    佐藤 徹
    セッションID: A2-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    環境を重視した地域政策として近年最も成功した住宅開発地域であるドイツのフライブルク、ヴォーバン地区を取材し調査、分析することによりこの地方都市がいかにして世界的な環境都市として認識されるに至ったかを明らかにする。
  • 地域産業プロモーションを事例として
    青木 幹太, 井上 友子, 佐藤 佳代, 星野 浩司, 佐藤 慈, 荒巻 大樹
    セッションID: A2-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本学芸術学部では、博多織プロモーションとして博多織の振興を目的に帯や和装小物の商品企画、ワークショップや広告・宣伝活動に取り組んできたが、それを博多人形や大川家具などの地域産業に発展、拡大し、プロジェクト名称も地域産業プロモーションに改称した。本プロジェクトは本学が推進するプロジェクト型教育を背景に、授業で学んだ基礎的な知識や技術を活かして、社会というフィールドで様々な課題を発見し、その解決のための方法や技術を学ぶとともに、学習意欲の向上、主体性・自立性の確立、領域や立場の異なる学生や教員、社会人との交流によるコミュニケーション能力の向上等に努めている。本研究は、2008年から2013年度まで芸術学部で取り組んできた博多織プロモーションおよび地域産業プロモーションの活動を踏まえて、地域貢献や人材育成を目的としたプロジェクト型デザイン教育の進め方や方法を明らかにする。
  • 地域産業の振興を目的としたデザイン・美術教育の一例
    井上 友子, 佐藤 佳代, 青木 幹太, 星野 浩司, 佐藤 慈, 荒巻 大樹
    セッションID: A2-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、2012年に始まった企業連携によるデザイン教育の実践「地域産業プロモーション」活動を基本としている。特にここで取り上げるのは、福岡の伝統産業博多織と博多人形の再生を目ととした企業と学生の協力活動であり、その成果の報告である。参加学生は、このプログラムを通して、企業によるデザインの製品化という実践力を修得することができた。
  • 金津創作の森におけるフレンチトーストピクニックの15回開催
    益岡 了, 谷本 尚子, 尾崎 洋, 池田 岳史, 川合 康央
    セッションID: A2-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    フレンチトーストピクニックは、2000年金津創作の森美術館で開催された今村幸次郎氏の作品展の関連企画として開始された。車を中核としたイベントは国内各地で頻繁に実施されているが、当時福井県内では大規模な開催例が無く、他の地域の同類のイベント実績を参考にしながら、より文化政策と適合しつつ地方振興としての側面を強調した運営が決定された。 第一回開催は、創作森美術館開館以来、最大の入場者数の動員が見られた。参加者・スタッフの感想も概ね好評であり、圧倒的な来場者数や地域振興の意義が評価され、以降の毎年開催が終了直後に決定された。 僅かな予算と限られた有志の協力で15年以上に渡って数千人規模のイベントを継続できたことは、美術館・施設の有効活用だけでなく、地域全体へ波及と活性化との視点からも注目できる。 現在では、旧車の同乗走行会も実施され、これは年少から壮年まで参加者に好評であり、文化遺産の学習体験の機会とも考えられる。希少車の実走行を含めた展示は注目され、雑誌や新聞、テレビの取材も増えた。この様に北陸地域の車文化を全国に伝え、活気ある交流の場として、地域振興の舞台として、その存在が知られつつある。
  • 空間演出の再発見に基づいて
    戴 薪辰, 植田 憲
    セッションID: A2-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    今日近代化・工業化・グローバル化の影響を受け、人々の生活と住まい方が大きく変容した。特に中国には、急激な経済発展によって、農村地域と都市地域の歪も著しくなってきた。本研究は中国上海市崇明島における伝統的住居「宅溝」に対して、当該地域の人々がその生活空間における住まい方の生活文化の再発見と再認識を通して、住居空間の演出に見られ空間の創出とその意味、そして空間演出に内包されている世界観の表現を、地域の潜在的資源として取り上げた。住居空間は、ただの寝る場所・食事をする場所・作業をする場所ではなく、当該地域の気候風土と住む人によって、人々の生活の基盤として、人生観・家族観・自然観・世界観を表し、演出を通して創造を行う場所である。今後、本研究の結果を地域住民と共有することを通して、地域住民が自らの地域の資源を再認識した上、将来崇明島における内発的地域発展が期待される。
  • 小野澤 明良, 村井 まどか, 神谷 嘉美, 木下 稔夫, 山内 友貴
    セッションID: A3-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    三次元造形装置は、意匠モデルやコンペ・展示会出展用モデルの作成に多く利用され、カラーモデル化が求められている。本研究では、ナイロン粉末焼結型RP造形品のカラーモデルの提供を目的に、RP基材に適した塗装および着色技術の開発を行った。前処理、塗料、塗装方法、塗装仕様と加工技術などの塗装適性の検討により、RP製品モデルに活用できる物性と塗装外観をもつ塗装工程の開発をした。塗装では、立体造形品をプロトタイプモデルとして有効に活用できる外観を実現することができた。
  • 野島 瞳, 滝沢 正仁, 木嶋 彰, 渡邊 修
    セッションID: A3-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
       本研究は、具現化が困難とされる気象現象を例に、「現象の表現」に有効な図材選択の手法を検討し、気象のピクトグラムを制作した。研究対象は、安全に関わる気象現象 32 点であった。  図材選定は、想起されるイメージを描画させる手法と、イメージの言語化を連想式に行なわせる手法の2種類の実験で検討した。その結果、具体的形象をもたない現象の図材選定には、後者の連想式に言語化させる手法が有効であることが示唆できた。以上の結果を踏まえ、ピクトグラムを試作し、試作をサンプルとし、本制作の手がかりとするために、分かりやすさについて
    一対比較実験を行った。実験結果を基にAHPによる分析からウェイト値を算出し、平均値を各試作の得点とした。
    比較実験の分析を踏まえ、各試作の修正を行い、本研究の成果とした。
  • 奥村 恵美佳, 田内 隆利, 久保 光徳
    セッションID: A3-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    一般的にデザイン作品はグラフィック、プロダクト、スペースデザイン、また芸術作品の多くは、絵画、彫刻、インスタレーションといったような枠組みの中に分類される。この分類方法は、形態や色彩など物理的情報によってなされたものである。すなわち、人間の知覚や認知の過程が考慮されていない。視覚は大脳皮質の連合野において処理され、過去の記憶を含めた情報が補われることによって初めて認知できる。視覚によって得ている情報が、そのモノをそのまま「見ている」のではなく、「考えている」ことでその情報を得ているのならば、人の認知はそのモノ自体の物理的世界の話ではない。本研究では、認知過程が作品を捉える点において重要な要素であるならば、作品を作品たらしめる根源は、認知過程にあるのではないかという仮説をもとに、人が作品に対峙した際の鑑賞者と作品の関係性について新たな解釈を試みた。そして、解釈を元に試作を繰り返し、最終制作物として鑑賞者に空間性の印象を与えることの出来る平面作品の制作を行った。空間性を与える平面作品の条件として作品のサイズが視覚が一度に捉えることの出来る範囲を超えていること、図と地の曖昧さ、構成が抽象的であることが条件であると判明した。
  • - 1932~1935年発刊の雑誌『構成教育』における「構成」の捉え方 -
    高崎 葉子, 山本 早里
    セッションID: A3-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    「構成」とは、ドイツのデザイン学校バウハウスでの基礎教育を参考に、1930年代に日本に導入された造形教育であり、筆者は時代により移り変わる「構成」の役割を明確にすることを研究テーマとしている。本研究では、日本への導入時期にあたる1930年代の4年間に出版された雑誌『構成教育』を調査対象とし、当時の「構成」の捉え方を明らかにすることを目的とした。
    雑誌『構成教育』にある「構成」の導入理由としては、模写教育および自由画教育を反省し、手工教育を尊重する時代であったことが関係している。ここでの「構成」の定義は曖昧ではあるが、「図案」との差別化をはかり、新しいタイプの「図案教育」「模様」「模様構成」という一つの教育方法として紹介されていることが明らかになった。
    多くの著者が「構成」を2つに分類しており、従来の「図案」は生活と結びつき、実物をモチーフとして抽象化していく行為であることに対し、「図案教育」「模様」「模様構成」という概念は、目的を実用におかず、始めから抽象形態を用いて美の感覚を養うというものである。その点で現代の造形の基礎演習にあたる「構成」の概念に近いと考察した。

  • 久保 光徳, 田内 隆利, 植田 憲, 北村 有希子, 奥村 恵美佳
    セッションID: A3-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    装飾が有する力学性の有無を検証するために,本研究では,唐草文様が配された黒薩摩(薩摩焼)の特性を構造力学的視点から検証した。本研究においては,この唐草文様の黒薩摩に対する構造補強的な意味の有無の確認をすることを研究目的とした。三次元デジタイザにより,検討対象とした黒薩摩の形状を読み取りCADデータとし,そのデータに修正を加えることで,比較検討用の唐草文様なしの黒薩摩CADデータを作成した。その他に同寸法の軸対象な形状データとそれに一本のリングが装飾の基本形として施された形状データを制作し,同条件,重力環境下での構造解析を行い,それぞれの形態での応力分布状況の比較を実施した。その結果,唐草文様が黒薩摩にかかる応力集中を緩和する傾向にあることを確認することができた。
  • ペンジュラム・パターンの生成規則の数理モデル化による形体情報の観察・把握の方法(6)
    石井 宏一
    セッションID: A3-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    振り子の減衰運動の軌跡に基づく形体である「ペンジュラム・パターン」は、かつて構成学等において盛んに研究がなされた対象であるが、種々の理由により現在では研究自体が下火になっている。しかし生成規則を数理モデル化し数式として記述することで、新たな造形局面の可能性を開拓するとともに造形的性質の解析を可能にする。本研究はその手法の開発及び造形特性 の明確化を主眼としている。本報ではペンジュラム・パターン解析の視点として「質点位置」「速度」及び「加速度」の振動波形の頂点位置に注目しその遷移状態を確認、造形的性質の解析を試みた。その結果、「分岐」と「同期」に基づく生成プロセスの区分の明確化とともに、同一拘束条件下でありながら二つの形体生成システムが同在する可能性があることを確認した。
  • -三重の伝統工芸販売戦略を事例として-
    田中 厚美
    セッションID: A4-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、海外の感性を交えて日本のアイデンティティを再認識し、伝統工芸の保存・継承・発展に繋げていくことを目的としている。研究者の出身地である三重県の伝統工芸を事例とし、工芸に携わる人々の物語を伝え、地域の結束と、新しいデザイン開発や海外への販路開拓の窓口となるウエブサイト「三重かさねプロジェクト」の制作を行っている。ウエブサイトの情報を基に、欧米にてリサーチし、日本の文化をアピールできるメディアデザインとはどういうものか調査し、伝統工芸をReデザインする。
  • 『家具製作圖解』・『和洋家具構造圖解』・『古典家具寫生図集一輯』の比較研究
    新井 竜治
    セッションID: A4-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    築島棟吉による『家具製作圖解』(1930年)、『和洋家具構造圖解』(1931年)、『古典家具寫生図集一輯』(1967年)の家具図からは、洋家具の意匠と構造に対する強い意欲が滲み出ている。これらの家具図の精査を通して、築島棟吉が、洋家具の意匠面においては西洋古典様式(実際にはルネッサンス・バロック・ロコロ・新古典様式)に強い興味を抱いていたこと、またその構造面においては洋家具の組立構造に強い関心を持っていたことが明らかになった。その背景として、築島棟吉の活動が、教育研究活動に留まらず、戦前・戦後を通して、また日本・米国(留学時)においても、家具設計実務に従事したという幅広いものであったことが挙げられる。
  • 徐 楚, 阿部 眞理, 白石 照美
    セッションID: A4-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    近年、日本では「木育」教育法が注目されている。本研究では、乳幼児に対する木育を広めることを目的とした。乳幼児期から木に親しめるよう、乳幼児の4つの離乳食期に対応するウッドウエアを制作した。サクラ、イチョウ、マツ、エンジュ、メープル、クリの6種類の樹種を使用し、それぞれの種子、葉、花、実などの形態をモチーフとしたことで、みても楽しいものになったと考える。制作したウッドウエアが、子どもたちが木に親しむきっかけになるとよいと思う。
  • マレーシアの手仕事による日常生活用具の維持・継承を目的とした調査研究
    沈 得正, 阿部 眞理, 白石 照美, 寺内 文雄
    セッションID: A4-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    マレーシアは多民族国家である。各民族が生み出した日常生活用具は、マレーシアの生活や伝統、文化を語る上で歴史的な価値を持つ財産であるが、国の近代化に伴いかつての日常生活用具が失われつつある、または失われた。本研究は、マレーシアのかつての日常生活用具を調査し、維持・継承する ことを目的とした。研究の方法としては、伝統がある日常生活用具を文献および現地による調査を合わせて実施した。調査結果については、各民族の暮らしからみた日常生活用具の役割や存在意義をまとめ、年表、各日常生活用具のプロフィル等の資料としてまとめた。
  • 隈本 あゆみ, 青木 幹太
    セッションID: A4-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本学芸術学部と協同組合大川家具工業会(以下、工業会)に加盟している企業との産学連携による家具開発は、2013年度で2年目になる。 2012年度は工業会設立50周年の記念事業として、「わたしの部屋つくり」をテーマに、女性消費者の視点から「女子家具」という概念を提案した。
    試作された家具は、「絹鳴2012」で天神イムズに展示し、女性来場者を中心に高い評価を得ることができた。 2013年度は、このような成果を背景に、大川家具企業13社と複数の学生との連携チームを編成し、「商品企画―アイデア展開―商品化の課題解決―モデル・図面制作―試作―展示会での評価」というプロセスに沿って、新作家具の開発に取組んだ。
    本研究では、産学連携による大川家具の商品開発のプロセスと活動成果について報告する。
  • テンク イドラ イリヤニ, 山﨑 和彦
    セッションID: A5-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は文化差を活用したデザインアプローチの研究である。二つの異なる文化の共通と差異ポイントを明らかにして、デザインコンセプトに活用し、デザインを提案する。作品の制作と評価を繰り返し行い、制作作品が両方の文化に合えるかどうかを見出す。作品評価は評価シートとユーザーエクスペリエンスマップを使って、評価した。
  • 本田 光太朗
    セッションID: A5-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    FES(Functional Electrical Stimulator)とは脳卒中片麻痺患者に対して 四肢の運動機能再建のために用いられる先端リハビリテーション機器で ある。現在医療メーカでは、FES装置の高性能化と使用性の向上により、 自宅などで患者1人でも治療が行える機器を目指して開発が進んでいる。 ところが、医療機関においてFES装置を貸し出して治療を行わせるケース はまだ少ない。 本研究では、患者自身によるFES装置の着脱性向上と、治療時の正確性 向上を目指し、機器のハードウェアについてデザイン設計要件の抽出を 計る。
  • レンズメーターの事例
    黄 ロビン
    セッションID: A5-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では中小企業において低予算で効率よく製品デザイン・開発をすることを目的とした事例である。光学精密機器のレンズメーターを例として、「産品」、「商品」並びに「用品」三つの側面を同時に考案・構想したら、製品開発は円滑に進むことができると示した報告である。企業がOEMメーカーからODMメーカーへ方針変更する際には、得意の製造分野から機器の内部構造を優先に設計してから、外観形態をデザインするプロセスは効率よく低予算でも可能であった。
  • 細谷 奈央
    セッションID: A5-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    超音波診断装置は汎用性、簡易性、安全性といった面から多くのメリットをもち、こういったメリットから近年は病院内のみならず幅広いシーンでの使用が見られるようになり、その有用性も注目されている。今後更に医療現場で活躍してゆく装置であると推測される。本研究では、現在医療現場で更に需要の高まりを見せている超音波診断装置の次世代の在り方を予測し、デザイン的アプローチから現場のニーズに見合う最適な装置の設計要件を抽出することを目的とする。
  • 島田 達
    セッションID: A5-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    今日日本は超高齢社会の問題に直面している。高齢者が増えるということは同時に寝たきり老人の増加を意味する。そこで私は寝たきり老人のためのリハビリテーションに着目した。なぜなら彼らは自分の身体をほとんど動かすことができないため、リハビリテーションを取り入れることが難しいからだ。寝たきりをとりまく様々な症状や問題の原因は拘縮である。本研究では治療部位を手指の拘縮に限定し、手指の他動運動によるリハビリテーションが手指拘縮を改善すると同時に認知症の治療にもつながるという仮説を立てた。実地調査や実験を行なうことでリハビリテーション治療を行なうシステムについて研究し、デバイスの制作要件の抽出を行なった。結論として、シリコーンボディを用いた柔らかい素材によるデザインを採用した。
  • 東 大輔, 石井 明, 中井 孝信
    セッションID: A5-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
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    地球温暖化、環境問題、化石燃料の枯渇などの問題が深刻化し、自動車に限らず航空機や船舶などの輸送機器メーカーはエネルギー効率に優れた輸送機器の開発に多大な労力とコストを費やしている。本研究では四方を海に囲まれる我が国の地形に適し、高いエネルギー効率で大量の物資を高速に移動できる新たな地面効果機のデザイン提案を行う。航空機の場合、エネルギー効率が高いとは揚抗比が高いということである。そこで本研究ではデザイン展開に先立ち、地面効果機に適した基本デザインを検討すべくE193翼型モデルとデルタ翼モデルの2ケースの空力特性を風洞試験で調査し、E193翼型モデルが揚抗比に優れることを示した。この結果を踏まえ、機体胴体の断面をE193翼型とし、左右に主翼を伸ばした新たな地面効果機のデザインを提案し、試作モデルを製作した。
  • 科学万博つくば'85の再考
    臼井 敬太郎
    セッションID: A6-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    科学万博の会場は当初から工業団地への転用が計画され、パビリオン建築も仮設的な位置づけを与えられ、転用や解体を見越した柔軟なデザインのあり方が提案された。それは、はからずとも万博が示した近未来空間の姿であった。その万博開催に先がけて運行されたPR列車「サイエンストレイン エキスポ号」は、日本各地を展示巡回した大規模なプレイベントであった。それは余剰になっていた車両、無用の長物になりつつあった貨物ホーム、操車場などの駅施設を巧みに活用した画期的な試みであった。それは、万博会場で実現されたフレキシブルなデザインを先取った、ある意味で象徴的な姿であった。
  • 木内 正人, 大嶋 一矢, 山本 英男, 松村 記代子
    セッションID: A6-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    「紙幣らしさ」が備わる模様は、肖像、唐草模様、彩紋(さいもん)模様が代表的なデザイン要素である。しかし、紙幣のデザインは他にも重要なデザイン要素を備えている。それは紙幣に用いられている書体である。日本の紙幣(正しくは日本銀行券)において、日本銀行などの発行主体、額面金額、記番号、印章などが印刷され、それらの文字は一般国民に理解され、読みやすさ、使いやすさをもって付与されている。特に重要とされるのが「大蔵隷書」と呼ばれる書体である。「大蔵隷書」は書体名としての認知度も低く、それに関わる具体的な資料、文献もほとんどない。しかし、今日の紙幣に使われていることから、生活環境の中で誰もが目にする機会も多く、潜在意識的に広く認知できている書体ともいえる。そこで本研究では、日本の紙幣における伝統書体として「大蔵隷書」が果たしてきた役割について、紙幣デザインの歴史的変遷で説明する。
  • 小村雪岱におけるデザインと浮世絵との関係
    石崎 日菜子
    セッションID: A6-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    小村雪岱(1887~1940)は、大正~昭和初期にかけて日本画、装丁、挿絵、舞台美術など多岐に渡り活躍した人物である。雪岱は東京美術学校を卒業した日本画家であったが、1918 年からは資生堂意匠部 ( 現在の広告宣伝部 ) に入社し、化粧 品の広告、香水瓶のラベルのデザインも手がけるなど、制作 活動の多くは商業美術であった。しかし、同時に肉筆や木版画の制作も行っており、活動領域 の広さを伺う事が出来るが、その活動や雪岱の位置づけについては未解明な部分が多い。 このような雪岱の活動を、「デザイン」を視点として明らか にする事で、日本のグラフィッ クデザインの新たな側面が見 えてくる可能性があるのではないかと考えた。本発表では、 まずデザイン的な視点を当時の大衆が求めたデザイン要素に 捉え、その要素と雪岱の「浮世絵」表現との関係について 考察する。
  • 絵画とデザインを融合させた芸術家の足跡
    片岡 篤
    セッションID: A6-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    現代美術画家の猪熊弦一郎(1902~1993)は純粋美術の絵画作品だけでなく、応用美術としてのデザイン作品もいくつか残している。当研究は「日本のデザイン黎明期」に於ける彼の果たした役割を、主として文献資料を用い、以下の2つの視点から明らかにすることとした。1)彼は第二次世界大戦以降において、多くの建築家と共同作業で壁画の制作を行ってきた。これは彼が絵画と建築の融合に興味を持っていた証拠と考えられる。2)特に第二次世界大戦末から彼が北米に移るまでの10年間、多くのクリエイター(建築家・デザイナー等)と関係を持ち、お互いに様々な影響を与え合っていた。
  • すみだ水族館“ 東京大水槽” を事例として
    田邉 里奈, 若林 尚樹, 政倉 祐子
    セッションID: A7-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、すみだ水族館の協力のもとで実施した、水槽の観察を活かしたワークショップについて検討する。今回はすみだ水族館にある「東京大水槽」の観察を事例として研究を進めた。水槽の観察をするための工夫として観察ノートをデザインし、観察の結果を表現するためのツールとしてペーパーモビールの制作キットをデザインした。本論文では、検討したワークショッププログラムの詳細と、開発した制作キットについて述べる。
  • SD 法による主観的評価手法「子どもSD 法」の開発
    若林 尚樹, 政倉 祐子, 田邉 里奈
    セッションID: A7-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は水族館において実施されているワークショップを対象に, その定量的な効果の測定や評価を行うための手法を提案することを目的としている. 子どもを対象とした水族館でのワークショップを対象とする. このようなワークショップでの評価の場合, 用語の解釈や評価尺度のばらつきなどからデータの信頼性や安定性に課題も多くみられた. これらの課題を解決し参加者の漠然とした気持ちの全体像を捉えることができる手法として, 子どもならではのあいまいで主観的な「気持ち」を測定対象に,Semantic Differential (SD) 法を活用したあらたな評価手法「子どもSD 法」の開発を目指す. 
  • ―幼児の時間の認識とその図式について―
    谷口 由佳, 赤井 愛
    セッションID: A7-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    大人と幼児では時間の認識が異なるため、両者のコミュニケーションに齟齬が発生し、幼児の食事や洗顔、着替えといった日常生活の行動が円滑に達成されないことがある。本研究では、時間の認識の違いに起因する大人と幼児のコミュニケーションの齟齬を軽減し、保護者と幼児のコミュニケーションを円滑にする為のプロダクトを提案する。時間の認識について、大人の時間の認識は「円環型」であり、幼児の時間の認識は「変則点線型」であると推測できる。また、時間の認識が原因でコミュニケーションに齟齬が生じる頻度の高い行動などについて、アンケート調査を行った。その結果、幼児の行動は、①食事から洗顔、洗顔から着替えといった移動の伴う行動で、「次行動への移行」に時間がかかる場合、②食事など、開始から終了までの一つの場所に留まる行動で、「行動の完了」に時間がかかる場合に分類できる。このような特徴の幼児の行動に対し、幼児の時間の認識に寄り添ったプロダクトによって、大人と幼児のコミュニケーションが円滑になるか実験を行っていく。
  • ―音を利用したプロダクトによるコミュニケーションの変化について―
    赤井 愛, 谷口 由佳
    セッションID: A7-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    大人と幼児の時間の認識の違いが原因で、両者のコミュニケーションに齟齬が発生する。本研究では、音のシークエンス性によって幼児の時間の認識に方向性を作ることが出来ると考え、音を利用したプロダクトを提案し、実験を行なった。実験の結果、日常生活の行動に関する幼児と保護者のコミュニケーションに、音が介在することによって、①幼児の行動の所要時間は延長されず、短縮傾向にある②楽しさが生じ、行動へ向かう気持ちが向上する、自律性が出る③幼児に「早く」と言わないことで、親子共に楽しさと心理的なゆとりが出るということがわかった。結果的に、幼児の時間の認識に寄り添ったプロダクトによるコミュニケーションが生まれることで、親子で時間を共有し、時間の認識の違いに起因するコミュニケーションの齟齬の軽減に繋がったと考える。また、本研究で提案したようなプロダクトの存在は、保護者にとって育児上の悩みが「自分の家庭だけではない」と思えることに繋がり、悩みが緩和される可能性がある。
  • 小間 優太, 岡崎 章, 服部 淳子
    セッションID: A7-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    入院患児に対する処置治療の説明は,恐怖感・不安感などの負の感情を軽減し,心の準備を促すことが重要である.そのためには,患児がツールに興味を持ち自発的に使用することが条件となる.そこで,アナログ・ツールとして検査ごとに集めることができる可変型のプレパレーション・ツールを開発し,次にそのコンテンツをデジタル・ツールへと応用し,二つのツールによって心の準備を促すツールを開発する.
  • 石井 晴雄
    セッションID: A7-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    「フォレスト」は愛知県立芸術大学の豊かな自然環境の中で、地域の子供が地域の大人や学生と関わりながら野外体験をするワークショップシリーズである。2008 年より開始したこのワークショップシリーズは年間8回から10 回程度、季節によって移り変わる様々な自然の要素をもとに、毎回テーマを変えて開催している。
    現代社会は価値観が多様化しているので、誰もが共通の体験や価値観を共有してコミュニケーションをすることが困難になっている。そこで誰もが参加できるコミュニケーションのプラットフォームとして野外活動は有効であると考える。野外では共同で働くことになるので、労働は他者と関わるコミュニケーションの一つの形になる。また自然環境という、人間のペルソナ(=社会的な顔)から解放される空間においては人々の社会的な記号は意味を失い、自ずとオープンな意識が生まれる。そのような意識の状態になってはじめて、本来のコミュニケーションが可能になる。
  • 伊豆 裕一, 佐藤 浩一郎, 加藤 健郎, 松岡 由幸
    セッションID: A8-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    プロダクトデザインにおいて,スケッチには,新たなデザイン解の導出を促す効果のあることが多く指摘されている.しかしながら,従来の研究では,それらの効果に対する透視図法や展開技法などのスケッチスキルの影響については明らかにされていない.筆者らは,プロダクトデザインにおけるスケッチスキルの効果の解明を目的に,スケッチ教育におけるスケッチスキルの習得度の差異を分析することで,各スケッチスキルの関係性を表すスケッチスキルの構造モデルを提示した.本稿では,本モデルを用いて,デザインにおいてイメージの創出を狙いとしたラフスケッチと,形状,構造,および仕様の導出を狙いとしたアイディアスケッチの両スケッチに影響するスケッチスキルを分析した.その結果,ラフスケッチにおいて形状の特徴表現,アイディアスケッチにおいて形状の正確・的確な表現に関わるスケッチスキルが,それぞれに強く影響することを明らかにした.
  • 佐藤 浩一郎, 松岡 由幸
    セッションID: A8-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本報では,“デザイン行為における法則性の解明およびデザイン行為に用いられる知識の体系化を目指す学問”としてのデザイン科学を概説し,デザイン行為に関する研究で得られたさまざまな知見を包括的に蓄積していくうえでの一つの枠組みを示した.そして,同枠組みに基づき,デザイン科学の基盤構築において重要となるデザイン科学事典の編纂について,現段階における成果を示した.
  • 浅井 翔太郎, 平田 優, 佐藤 浩一郎, 松岡 由幸
    セッションID: A8-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    近年,大量生産・大量消費型社会における環境問題や資源消費によるエネルギー資源問題,また,精神的な豊かさの欠乏が問題となっている.人工物デザインにおいて,このような問題を打開する新たなコンセプトとして,デザインの理論や方法論に時間軸の概念を導入したタイムアクシス・デザインが挙げられる.また,同デザインを具現化するデザインの方法論の一つとして,時間と共に人工物の価値が成長する価値成長デザインが提案されている.しかし,価値成長デザインを人工物デザインに応用する指針は明確ではない.本研究では,価値成長デザインを人工物デザインに応用する指針の構築に向けて,価値が成長する既存の事例を基に,人工物の要素間の関係を分析した.その結果,価値が成長する9の主要因が抽出され,価値成長デザインにおける指針構築のための知見が得られた.
  • 宮田 悟志, 許 筠
    セッションID: A8-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    形や構造についてのデザイン案を得るために, コンピュータアルゴリズムを使用する創発的なアプローチが今日普及しつつある. この方法は,複雑度が高く非線形性に富んだ形態を, デザイン対象が存在する場に適応する様式で実現し易いという利点を有する. 本発表では, そこで使用されるアルゴリズムを形式言語の視点から考察することで, アルゴリズム的アプローチの新たな可能性を検討する. 基本的な形態生成システムである L-system を論考の基点とし, それを言語の複雑さの理論であるチョムスキー階層に照応することで, アルゴリズムの表現力における潜在性と相互作用の重要さを示す. また, アルゴリズムにおける意味付けと解釈の問題についても言及する.
  • 杉江 智哉, 木谷 庸二, 藤戸 幹雄
    セッションID: A8-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    製造業において既存の製品を改善した次期型となる製品をいかにデザインするか、すなわちモデルチェンジにおけるデザインのあり方というものは重要な命題である。しかし、これまでの学術論文において製品ごとに好ましいと思われるデザインの仕方というものは数多く研究されてきたが、既存の製品の存在を踏まえた上でモデルチェンジを行う際の影響について論じた前例はほとんどなかった。本研究は、製品のデザインを担う形態要素に着目し、それらの要素がモデルチェンジにおいてどのように変化したかという前後間の関係を多変量的に扱い、分析手法としてラフ集合を用いることでそれらの形態要素の変化が製品の販売実績や製品に対して消費者が抱く印象に与える影響を明らかにすることを目的としたものである。研究における製品事例としては、モデルチェンジの周期や形態要素の変化を捉えやすいことを考慮してコンパクトデジタルカメラを取り上げた。
  • 手と道具とのインターフェースの新しいかたち
    三浦 公亮
    セッションID: A8-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    人と道具とのインターフェースとしてのグリップは、道具から伝わる力やトルクを感じ、瞬時に情報処理をして、対応する力とトルクを返す、極めて複雑な仕事をしている。本研究の主題は、グリップのマクロな表面形状について、特殊な凹多面体面の利用により、グリップの仕事を援助できるデザインを提案することにある。以下はこのデザインの基本概要である(括弧内はユニバーサルデザインの原則)1.表面上の任意の点で、ガウスの曲率ゼロである、これにより形成される凹凸は折り紙である。2.凹凸が多様に分布するにもかかわらず、その周長は一定、握りの太さが変わらない。3.凹凸は、周方向は多角形、軸方向はジグザグである。これはまた螺旋状の配列でもある。4.この凹凸は形状パラメータの選択により、多様なデザインが可能である。5.形状がシステマチックなので、位置情報の認識が容易でロボットアイの認識に適している。(認知できる情報)6.感覚的な事実:最初に握った位置のごく近傍で安定する。(失敗に対する寛大さ)7.軽く握るだけで把握感があり堅く握る必要を感じない。(少ない身体的な努力)
  • 土屋 雅人, 菅原 良太
    セッションID: A9-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    2011年3月11日,東日本大震災が発生し,東北地方を中心に甚大な被害をもたらした.災害発生から3年が経過するが,復興作業は今も続いている.筆者は,宮城県の被災地現地にてボランティア活動を行い,復興作業の経験を通して,ボランティア参加者とボランティア非参加者との間にコミュニケーションや情報共有の壁があることを実感した.  そこで,スマートフォンのアプリケーション上で,ボランティア非参加者がボランティア参加者とリアルタイムにコミュニケーションをとり,ボランティア非参加者に必要な情報を提供することで情報不足による不安を減らし,ボランティア参加を促すことを目的とした情報共有システムのデザイン開発を行った.  本研究では,被災地におけるボランティア活動とボランティア参加者と非参加希望者のアンケート調査等を行い,ボランティア活動に対するニーズ分析を行った.その後,チャットによるリアルタイムコミュニケーションとボランティア活動内容,活動量を提示するWebサーバーとスマートフォンを用いたプロトタイプを制作し,ボランティア非参加者を想定したシミュレーション実験を行い,操作性と有用性の評価を行った.
  • 宮崎 雄輝, 土屋 雅人
    セッションID: A9-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は大型ショッピングモールのような広い公共空間仮定した影を利用する指差し操作によるインタラクティブなデジタルサイネージの提案である.Kinectとプロジェクタを利用し,壁面に擬似の影を投影することで視覚的に関心を集め,その影を利用者の動きに合わせて伸ばす演出を施す.そして,これらを利用して幅広い人が直感的に操作できるインタフェースを開発する.この研究ではKinectと影の特性を活かした本システムがデジタルサイネージとして効果的に活用できるのか,擬似の影を投影し操作できるプロトタイプを作成し,その効果を評価実験によって検証した.その結果,広告にインタラクティブ要素を持たせてエンターテインメント性を生み出し,その楽しさを情報に繋げることで有効に情報を展開することができた.
  • 高野 洋平, 土屋 雅人
    セッションID: A9-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,ショッピングモールのような商業施設の店舗において,展示されている商品を手に取り動かすことでデジタルサイネージの表示情報を直感的に操作する,実世界指向型のインタラクティブサイネージのデザイン研究である.持ち上げられた商品の傾きを検知し,その傾きでブロック状のグラフィックを動かす実世界指向型インタフェースを搭載した,商品広告のためのサイネージシステムを提案する.  今日,商業施設の一部では,大型画面を備えたインタラクティブサイネージの導入が試みられているが,これらのサイネージのインタフェースは,タッチパネル,もしくはジェスチャー操作のバーチャル指向であるため,情報を直接的に操作している実体感が乏しい.  そこで今回は,導入場所をスポーツブランドショップに設定し,店頭に展示されているランニングシューズをインタフェースとしたシステムを構築した.ランニングシューズを手に取り,持ち上げ,動かすことで,サイネージの情報が変化するプロトタイプを被験者に触れてもらい,その操作感を評価した.
  • 佐藤 栄作, 久保 雅義
    セッションID: A9-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    近年、デジタルカメラは技術進歩に呼応して新製品を開発し続けているが、ユーザーの使用価値を十分満たしていない。情報技術の発展と、スマートフォンの普及によって写真利用の状況が変化している。そこで、本研究では、多機能・多様化したデジタルカメラについてユーザー視点から使いやすさを探ることを目的とした。とくに、デジタルディバイドといわれ、スマートフォンが難しい高齢者がデジタルカメラ使用する調査はあまり行われていないため、高齢者・若年者の使いづらさの違いに着目して、機器評価を行った。調査仮説を設定した。高齢者と若年者では使いやすいと感じるカメラの機種が異なるスマートフォンは高齢者にとって使いやすいカメラではないことが分かった高齢者は若年者よりも「大きさ」「重さ」の点で使いにくいと感じるは一部支持デジタル一眼レフカメラの「大きさ」に関して、高齢者のほうが使いやすいと感じていた高齢者はボタン式の操作よりもタッチ式の操作を使いにくいと感じる 却下されセルフタイマーで撮るなどの細かい設定をする際に、タッチ式の操作であるカメラが有意に「わかりやすい」ことが示された。 
  • 体制化と親近性の視点からのアプローチ
    広川 美津雄, 井上 勝雄, 岩城 達也, 加島 智子
    セッションID: A9-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/04
    会議録・要旨集 フリー
    最近の情報端末は多機能になり、使いやすいインタフェース、とくに直感的に操作できるインタフェースが強く希求されている。筆者らはD.A.ノーマンが提唱する「行為の7段階理論」を基に、心理学の「体制化」(organization)および「親近性」 (familiarity)を分析概念として、行為の流れを分析し、使いやすいインタフェースや直感的インタフェースの特性や要件について考察した。その結果、行為遂行の流れにおける、ユーザーの認知と操作の結合パターンやインタフェースの型を提示した。また、直感的インタフェースの方法論的枠組みとして、直感的インタフェースの特性およびデザイン指針などを提案した。
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