木材学会誌
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58 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
カテゴリーI
  • 廣瀬 孝, 菊地 徹, 櫛引 正剛
    2012 年 58 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    リンゴ剪定枝から空気賦活で作製し,酸洗浄した活性炭について,スギから同様に調製した活性炭および酸洗浄した市販活性炭と比較調査した結果,比表面積および細孔容積は他炭よりも大きく,特に孔径の大きいマイクロ孔や直径4nmよりも大きいメソ孔が生成されていることが明らかになった。さらに,水蒸気吸着量も他炭より多いことが分かったが,いずれの活性炭中にも吸湿に関与する官能基が認められないことから,その大きなメソ孔容積が起因していると推定された。
カテゴリーII
  • 末吉 修三, 宇京 斉一郎, 菅沼 一希, 立和名 悠介, 塩田 正純
    2012 年 58 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    木質構造内で発生する重量床衝撃音は,騒音問題の原因となる場合があるので,聴感に合った指標を用いて,居住者の観点に立って評価されるべきである。このような指標を見出すため,木造軸組構造にフローリング,衝撃緩衝材,および遮音材を面材として用いた木造モデル床で発生させた各種の重量衝撃音について,「音の大きさ」に関わる従来からの音響評価,心理音響評価ならびにME(Magnitude Estimation)法による主観評価を行い,各指標を比較検討した。その結果,「音の大きさ」の指標として通常用いられている「最大A特性音圧レベル」より心理音響指標の「非定常ラウドネス」のほうが,主観評価と高い相関を示すことが明らかになった。
  • 鎌田 貴久, 安村 基
    2012 年 58 巻 2 号 p. 74-83
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    2分の1縮尺の在来軸組構法立体模型について,床剛性および壁剛性を変化させるとともに当該X方向の地動加速度を一定とし,直交するY方向の入力比を変化させて仮動的水平加力実験を行い,時刻歴地震応答解析結果と比較した。仮動的実験と時刻歴地震応答解析の時刻歴応答変位は比較的よく一致し,解析に用いた立体モデルによる地震時挙動の推定が可能であることを示した。さらに,床剛性・壁剛性およびY方向の加速度入力比の各パラメータを変えて時刻歴地震応答解析を行い,偏心率と最大応答変位の関係を示した。試験体の直交Y方向の偏心が,X方向の最大応答変位に影響を及ぼすことが確認された。しかし,XY方向の偏心率がともに0.3以下においては,Y方向の加速度入力比および床剛性が最大応答変位へ与える影響は小さいことが示された。
カテゴリーIII
  • 黄 栄鳳, 王 艶偉, 趙 有科, 呂 建雄, 張 躍明
    2012 年 58 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    軟質木材の有効利用を目的として,中国山東省産の毛白楊(Populus tomentosa Carr.)の板目材を用いて層状圧縮の方法,圧縮材の密度分布,硬さの変化及び表面密度と硬さの関係について検討した。木材の水分と予熱時間をコントロールすることによって,木材の表層から中央部までの任意の位置において一つあるいは二つの圧縮層を得ることができた。同じ圧縮材の中の非圧縮層の平均密度は0.61~0.65g/cm3で,圧縮層の平均密度は0.79~0.89g/cm3であった。圧縮層の位置によってその密度も異なった。圧縮層が表面にある場合,その密度と硬さは最も高く,対照に比べてそれぞれ78.1%と127.6%向上し,最大密度は1.00g/cm3に達した。圧縮層が中央部にある場合,その平均密度は対照に比べて57.1%向上した。層状に圧縮された木材の表面硬さは表面密度に対して指数関数的に増大した。
  • 椎葉 淳, 荒武 志朗, 藤元 嘉安, 小田 久人, 松元 明弘
    2012 年 58 巻 2 号 p. 90-99
    発行日: 2012/03/25
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    宮崎県南部地域産スギ丸太から得られた枠組壁工法用製材(204材,206材)について,各種強度性能(曲げ・引張り・圧縮・せん断)を評価するとともに,縦振動ヤング係数による機械等級区分を行い,目視等級区分と比較してその必要性及び有効性を検討した。目視等級区分の結果,204材では80%,206材では93.3%を特級が占めた。強度については,206材の引張り強さを除いて,5%下限値が現在の枠組材の主流となっているS-P-F甲種2級の基準強度を上回っていることが分かった。また,機械等級区分による方法が目視等級区分による方法よりも有効である可能性が示唆された。この方法を精査することで,スギがS-P-Fと同等に構造計算へ適応できると考えられる。それにより,各箇所の応力に見合った部材を効率的に使用できれば,スギの枠組壁工法への利用拡大が期待できる。
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