木琴には貴重な熱帯産広葉樹材が使用されている。木琴音板の形状がたわみ振動に与える影響を考え,熱帯産広葉樹の代替材としての里山広葉樹の活用の可能性を検討した。特に,1次と3次および5次のたわみ振動モードに着目し,振動の立ち上がり部分とその後の減衰に関してローズウッドと里山広葉樹材とを比較した。振動開始直後には1次,3次および5次のたわみ振動が励起し,3次と5次の振動はすぐに減衰した。3次振動モードの振幅は1次振動モードの振幅に対して大きく,中央部を削った木琴音板の形状では1.5~2倍であった。削っていない矩形型音板の5次振動モードの振幅は1次振動モードの4分の1程度に対して,木琴音板形状では2分の1程度であった。ローズウッドの1次振動モードの対数減衰率は里山広葉樹材に比べて小さく,振動の減衰の点では里山広葉樹材での代替は難しい。
木質床の違いが靴下履きでの歩行に及ぼす影響を明らかにするため,床仕上げ材と床下地材を2種類ずつ組み合わせた4通りのモデル床ならびに対照(コンクリート+ビニル仕上げ材)の床において下肢表面筋電図と足底圧力分布を指標とした被験者歩行実験を行った。凹凸があり滑りにくいスギ・表面圧密化仕上げ材は平滑で滑りやすいヒノキ・セラミック塗装仕上げ材に比べ歩行時の筋活動量比(モデル床での筋電図積分値を対照との比で表した値)が小さく,下肢の負担を低減することが分かった。低剛性の根太+15 mm厚合板下地材では高剛性の24 mm厚合板床下地材と比べ仕上げ材間の差が小さいことから,床下地材の剛性が筋活動量比に副次的に影響することが分かった。足底圧力分布では,根太+15 mm厚合板下地材条件下のスギ・圧密化仕上げ材で足底全体の荷重比が有意に高く,低剛性の下地材は凹凸のある床仕上げ材を歩行しにくくすることが明らかになった。