木材学会誌
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60 巻, 4 号
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総説
  • 五十田 博
    2014 年 60 巻 4 号 p. 195-205
    発行日: 2014/07/25
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    木造住宅の耐震設計法は経験工学として発達してきた。一方で,最近の構造設計の潮流は実際の入力に対して応力や変形を求める性能指向型である。経験工学を最新の性能指向型設計で説明を試みるものの,完全に説明がつくわけではない。一方で,経験工学のうち技術的に説明が容易な部分,例えば壁の評価や接合部の設計法など,は高度化され耐震設計法に取りいれられている。しかし,建物全体として安全を担保する方向かは不明なところもある。本総説では,性能指向型の耐震設計の研究の現状を概説するとともに,それを現在用いられている経験工学の諸数値と比較,検討し,現在の耐震設計で確保される木造住宅の地震時安全性について論じる。
  • 江前 敏晴
    2014 年 60 巻 4 号 p. 206-215
    発行日: 2014/07/25
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    紙は,歴史的に大量に使用されてきた代表的な生物材料である。軽量,高生産性,低コスト,液体吸収性,リサイクル適性,易廃棄性のような特性を持つがゆえに,通常の印刷や筆記以上の用途を提供してくれる可能性を秘めている。ペーパーエレクトロニクスは,そのような新規用途の1つであり,血糖値を電気化学的に測るような医療用途向け微小流体紙基板分析デバイス(µPADs)が例として挙げられる。紙の上に作製した線状又は面状電極の安定した導電性を確認する基礎研究に続いて,他の多くの紙デバイスが開発されてきた。照明,ディスプレイ,薄膜トランジスタ,電池やキャパシタのようなエネルギーデバイス,RFIDタグがその応用例である。最後に,材料の構造によって紙基板をいくつかのタイプに分類し,印刷方法の多様性についても論じた後,明るい将来展望について述べた。
カテゴリーII
  • 中島 昌一, 北守 顕久, 小松 幸平
    2014 年 60 巻 4 号 p. 216-226
    発行日: 2014/07/25
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    直交集成板(以下,CLT)の面圧および端部せん断強度と,その繊維角度依存性を評価するための予測式を誘導し,面圧実験およびいす型せん断実験を,荷重方向に対する繊維角度を実験条件として行った。予測式の誘導では,各層が独立とした上で以下の仮定を用いた。(a)CLTの面圧強度は各層の面圧強度の平均で表される。(b)荷重に対して繊維角度が傾いた層の面圧および圧縮強度はハンキンソン式を用いて表される。さらにせん断に対しては(c)荷重に対して繊維角度が傾いた層では,圧縮降伏,または繊維に沿ったせん断破壊のいずれかが生じる。(d)CLTのせん断強度は,荷重に平行なせん断面(見かけのせん断面)の面積で,荷重を除した値で表される。得られた応力-角度関係は,実験値と同様の傾向を示し,値は安全側となった。
カテゴリーIII
  • 河村 進, 稲山 正弘, 李 元羽, 成田 敏基
    2014 年 60 巻 4 号 p. 227-234
    発行日: 2014/07/25
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    フランジとウェブに単板積層材(LVL)を用いたストレストスキンパネルの設計を想定して,木ねじ接合のみで設計される水平構面に床根太用接着剤を併用して生ずるせん断性能の向上を評価する実用的な方法を検討した。木ねじ接合周辺のみに接着剤を塗布して一面せん断試験を行い,すき間あり条件と事故的水がかり条件における耐力や剛性を比較した。その結果,木ねじ接合と接着接合に対する調整係数を独立して算出可能になるとともに,接合面全体に接着する設計に対して適切な評価を得るにはすき間あり条件による評価を行う必要があることが明らかとなった。
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