管状炉を用いてアカマツ木粉を熱分解に供し,生成物を,熱分解残渣,気体状生成物を冷却して得られる液体状の回収留分,そして気体状生成物に分けた。熱分解条件に応じて回収留分は30~50%,熱分解残渣は20~50%の重量収率で得られた。GC-MS(Gas Chromatography-Mass Spectrometry)およびGCによって回収留分中の主要な18種化合物の同定・定量を行った結果,最高温度600℃での熱分解では,同定成分は回収留分中の約10%を占め,木粉に対して約5%の収率で得られていた。
1H-NMRを用いて回収留分中の水分を測定することにより,回収留分中の有機物は40%と算出されたので,同定成分は重量ベースで回収留分中の有機物の25%を占めることがわかった。炭素量をベースとした評価では,熱分解残渣及び回収留分中には元の木粉の有機炭素の約60%と20%がそれぞれ含まれ,18種同定成分の有機炭素は元の木粉の炭素の8%,回収留分のそれの40%であった。
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