水道水中のフェノール類分析の作業効率を改善することを目的に固相抽出-LC/MS/MS-ESI 法の検討を行った。検討の結果、移動相に塩基性が高いフッ化アンモニウム水溶液を使用することで、これまでAPCI 法でしか検出できなかったフェノールをESI 法で検出することができ、水道水中のフェノール類のLC/MS/MS 測定の作業効率が大幅に改善することが可能となった。また、フェノール類各成分の検量線は0.2~5.0μg/L(2,4,6-TCPは0.2~2.0μg/L)の濃度範囲で、良好な直線性と妥当性評価結果が得られた。さらに、水道水への添加回収試験(0.5μg/L; n=5、5日間)の結果、フェノール類及び各成分共に、併行精度1.5%~16%、室内精度1.5%~19%、真度99.1%~105%と良好な妥当性評価結果が得られた。この結果は、本分析法がフェノール類の水道水質検査法として有効であることを示している。
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