北関東医学
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45 巻, 1 号
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  • 田村 勝
    1995 年 45 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
  • 生方 幹夫
    1995 年 45 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    過敏性肺臓炎39例一夏型21例, 有機溶剤 (イソシアネート3例を含む) によるもの5例, 加湿器肺2例, 鳥飼病1例, 酸化防腐剤によるもの1例, 原因不明9例-を対象とし, 経気管支肺生検, 気管支肺胞洗浄および肺機能検査の結果を検討した.経気管支肺生検, 肺機能検査ではこれまでに報告されている通りの結果であった.気管支肺胞洗浄では28例中25例で洗浄液中のリンパ球比率が20%以上に増加していた.有機溶剤 (イソシアネートを含む) による症例のCD4/CD8は夏型に比べて有意に低いという新しい知見を得た.これは有機溶剤自体が持続的にTリンパ球に直接及ぼす影響と考えられた.
  • 長沼 誠一
    1995 年 45 巻 1 号 p. 17-30
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    間歇音の睡眠への即時的影響を検討するため, 男子大学生5名の被検者に, ピークレベル55, 60および65dB (A) の自動車通過音を一夜に約20回繰り返し曝露し, 脳波の変化を調べた.脳波はコンピュータによる自動解析で判定・計測し, 記録紙による視察判定で補った.自動解析から得られた睡眠パラメータでは, 睡眠段階2期においては, 1エポック (20秒) 当りのアルファ波の増加のち減少, デルタ波の減少, 睡眠紡錘の数の減少および筋電図の電位積分値の増加が, 騒音のない対照に比べて有意な変化であった.それに対し, レム期においては, アルファ波の増加のみが有意な変化であった.睡眠段階2期において, 筋電図電位の積分値, 睡眠段階からみた睡眠の浅化率および視察判定による体動出現率は, ピーク騒音レベルとの問に量反応関係が見られた.これらの睡眠への即時的影響の持続時間は, 1-2分間であった.睡眠への影響の閾値は, デルタ波の減少においては55と60dB (A) の問にあり, 他の多くの睡眠パラメータでは55dB (A) 未満であった.
  • 内田 聡
    1995 年 45 巻 1 号 p. 31-46
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    胃酸分泌抑制薬であるヒスタミンH2受容体拮抗薬 (H2-RA) や, プロトンポンプ阻害薬 (PPI) は慢性消化性潰瘍, 急性胃粘膜病変 (AGML) の治療に極めて有用であるが, 薬剤の不適切な投与や中断による再発, 再燃がしばしば認められている.本研究では, これら薬剤の投与と胃酸分泌に密接に関与する血中ガストリン動態と胃粘膜中のガストリン産生細胞の変化の関係を詳細に検討する目的で, ラットにおけるH2-RA及びPPIの長期投与時及び中断後の幽門腺ガストリン細胞数 (G細胞数), 胃酸分泌及びガストリン分泌の動態をしらべた.各薬剤4週間又は8週間連続投与後に, 幽門腺ガストリン細胞数の有意な増加を認めた.さらに各薬剤の3倍量投与群では血清ガストリン値の有意な上昇も認めた.一方投与後変化がpeakに達するまでと同期間の休薬により, 幽門腺ガストリン細胞の増加及び高ガストリン血症が消退することが知られた.
    以上の結果から, H2-RA及びPPIによる胃粘膜変化, ことに胃酸及びガストリン分泌の動態変化はこれら薬剤の投与によるG細胞の増加と血清ガストリンの高値であり, このような変化は休薬により投与前に恢復することが確認された.消化性潰瘍の薬物治療に際しては, 胃液分泌の変動は可逆性を有する事に着目し, 病態の改善に応ずる薬剤の漸減的投与を実施する事が肝要であると考えられた.
  • とくに線毛嚢について
    吉見 富夫
    1995 年 45 巻 1 号 p. 47-72
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    鼻茸は固有鼻腔において, 鼻粘膜が種々の病的刺激により腔内に茸状に突出することにより生ずる, 上皮と結合組織 (粘膜固有層) とからなる隆起性病変である.ヒト鼻茸の微細構造に関する研究は, 固有層に関するものが多く, 上皮については少ない.著者は主に電子顕微鏡を用いて40例の鼻茸について検索を行ない次の結果を得た.1) 鼻茸上皮は主に多列線毛上皮からなるが, 一部は重層扁平上皮で覆われており, 両者の間には漸進的な移行を示す部位が存在し, そこは重層円柱上皮の構造を示していた. 2) 固有層にはリンパ球, 形質細胞, 好中球, 好酸球, 肥満細胞, マクロファージ等の浸潤細胞が存在し, 肥満細胞は軽度脱果粒の所見を認めるものが多かった. 3) 多列線毛上皮内に線毛嚢が見出された (40例中7例). 4) 線毛嚢は細胞内に見られる比較的大きな円形または楕円形の空胞状構造物として認められ, 嚢胞壁から多数の線毛, 微絨毛が派生していた. 5) 線毛嚢形成は, はじめに上皮深部の細胞内に中心子 (基底小体) の増殖と, 滑面小胞体の増殖が見られ, 両者は混在して群を作る傾向が認められる.ついで基底小体の一端から根小毛が派生し, その反対側に滑面小胞体が湾曲して基底小体を取り囲む様に配列し, いわゆるapical vesicleを形成することが認められる.そして基底小体の増殖 (増数), 線毛 (幹) の伸長, apical vesicleの融合機序が相次いで起こり, 線毛嚢が形成されると考えられる. 6) 線毛嚢が管腔に移口し, 線毛細胞を形成することも見られるが, 線毛嚢の成因については, 炎症その他の病理学的異常により, 線毛細胞前駆細胞における線毛形成の障害, あるいは線毛細胞の分化の異常, または形成された基底小体の移動の障害等により形成されるものと考えられる.
  • 水野 裕司
    1995 年 45 巻 1 号 p. 73-81
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    ジストロフィン結合糖タンパク質は, 生化学的に二つのグループに分けられた.一つは156DAGと43DAGよりなるジストログリカン複合体で, もうひとつは50DAG, A 3b, 35DAGよりなるサルコグリカン複合体である.43DAGは調べたすべての組織に存在したが, 50DAGは骨格筋と心筋にのみ存在し, 両複合体の組織分布が異なっていることが示唆された.ジストロフィンの欠損しているDuchenne型筋ジストロフィー (DMD) の筋では, 43DAGに比べ50DAG, A 3b, 35DAGが激減していた.また, ジストロフィンは存在するが, DMD様症状を呈するsevere childhood autosomal recessive muscular dystrophyの筋では, 43DAGは明らかに発現していたが, 50DAG, A 3b, 35DAGは激減していた.組織分布が異なったこと, 疾患筋組織における発現様式が異なったことより, 二つの複合体は異なる機能を果たしていることが示唆された.また, 筋細胞の変性壊死と密接な関係にあるのはサルコグリカン複合体の欠損であると考えられた.
  • 木附 哲
    1995 年 45 巻 1 号 p. 83-98
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    雑種成犬の内側半月を用い半月無血行野の部分切除後の半月再生能を膝関節固定一非荷重群と対照群問で, 肉眼的, 組織学的に比較検討した.術後1週から13カ月までの観察で, 固定一非荷重群は29半月中27半月 (93.1%) に, 対照群は29半月中21半月 (72.4%) に半月再生部を認めた.肉眼的には, 術後3週までの赤褐色調の再生部組織は, 4週以降では半透明様を呈した.組織学的には3週までは組織中の細胞成分が多く, 紡錘形の線維芽細胞を認めた.4週以降では細胞成分は漸減し12週の細胞は円形に近く, 細胞周囲に小腔を有する線維軟骨様細胞を認めた.13カ月後の細胞の電子顕微鏡所見では, 細胞表面の短突起, territorial matrixを有する線維軟骨細胞を認めた。半月再生は1つは切除端への滑膜の浸潤, 1つは凝血付着に始まり, 無血行野においても再生組織は真の半月組織に成り得ると考えられた.術後初期の関節固定, 非荷重条件は再生組織の保護の意味で有利であると考えられた.
  • 群馬県骨髄バンク推進連絡協議会の設立を機に
    設楽 利二
    1995 年 45 巻 1 号 p. 99-105
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    日本骨髄バンクが設立され, 非血縁者間骨髄移植による, 白血病や再生不良性貧血治療への貢献が期待されている.現在まで小児および成人併せ200例の移植が行われている.平成6年9月末までのドナー登録数は, 55,700人となり, 患者登録者数は2,329人となっている.HLA適合状況では60%の適合率であり5人以上のドナーがいる例は24%にのぼる反面, 適合するドナーのない例も40%とまだ問題は大きい.非血縁者間骨髄移植ではGVHDの頻度が高いため, 移植の成績を上げるには適合度の高いドナーを選択する必要があり, さらに多数のドナー登録者を必要とするものと思われる.本県でも平成6年7月, 群馬県骨髄バンク推進連絡協議会 (略称群馬骨髄バンク)が発足し, また平成6年10月, 骨髄バンクを推進するためのシンポジウムが開催された.このような一般市民に対する啓発活動を通してこの運動に弾みがつくものと期待されている.
  • 大竹 伸明, 竹澤 豊, 大野 順弘, 中野 勝也, 中田 誠司, 山中 英寿
    1995 年 45 巻 1 号 p. 107-110
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    76歳男性.両側大腿部痛, 歩行困難を主訴に1993年3月12日当院整形外科を受診.レントゲン写真で広範な骨形成性および融解性の変化を認め当科紹介となった.入院精査の結果, 直腸浸潤および多発性骨転移を伴う前立腺低分化腺癌と診断しLH-RH作動薬による治療を開始した.同年9月より下血が始まり, 前立腺癌直腸浸潤の進行と診断.放射線治療で止血したが播種性血管内凝固症候群のため同年12月死亡した.
  • 山田 勲, 池谷 俊郎, 饗場 庄一, 塩崎 秀郎, 松本 弘, 小川 哲史, 荒井 清充, 池田 文広, 大和田 進, 森下 靖雄
    1995 年 45 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    術後の良性胆管狭窄に対し, 新しいステントであるStrecker expandable metalic stent を経皮経肝胆道鏡 (PTCS) 下に使用し, 良好な結果を得た.症例は70歳の女性で, 発熱および右季肋部痛を主訴に近医より紹介された.内視鏡的逆行性胆道造影 (ERC) で総胆管から上部胆管に約3cm長, 全周性の狭窄を認めた.PTCS下にStrecker expandable metalic stent を狭窄部に留置した.留置後約38カ月経過するが, 胆管炎, ステントの逸脱や閉塞等の合併症を認めていない.良性胆管狭窄に対し, Strecker expandable metalic stent は有用な方法と考える.
  • 大嶋 清宏, 佐藤 尚文, 山田 勲, 飯島 耕作, 三島 敬明, 長谷川 伸治, 大和田 進, 森下 靖雄
    1995 年 45 巻 1 号 p. 117-120
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    患者は37歳, 女性で, 下腹部痛, 嘔気を主訴に来院した.腹部のX線単純検査や超音波検査で, 異常所見は認められなかった.腹部所見および白血球増加などから急性虫垂炎を疑った急性腹症として開腹した.虫垂は母指頭大で白く腫脹していた.肉眼的に回盲部原発の腫瘤と判断し, 回盲部を切除した.病理学的診断が虫垂原発の粘液嚢胞腺癌 (mucinous cystadenocarcinoma) であったため, 術後3日目に右半結腸切除術およびリンパ節郭清を追加した.術後経過は良好で, 現在外来治療中である.
    原発性虫垂癌は比較的稀で, その症状は虫垂炎と類似するため術前診断にしばしば難渋する.術中診断例が多いが, 近年の画像診断の発達により術前に診断できた症例も散見される.非典型的な急性虫垂炎例では, 癌を念頭においての術前検査と術中迅速診を施行する慎重な姿勢が必要と考える.
  • 笠原 群生, 石田 常博, 草場 輝雄, 小山 透, 吉田 崇, 上吉原 光宏, 川島 修, 柿沼 臣一, 津田 京一郎, 鈴木 良彦
    1995 年 45 巻 1 号 p. 121-128
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    症例は44歳, 女性で, 昭和43年 (19歳時) に両側豊胸術 (シリコン系物質注入) を受けた.平成5年6月頃より左乳房の腫張, 発赤, 硬結を認め, 炎症性乳癌 (T4bN3M0, Stage IIIb) の診断で, 術前CAF療法と照射を施行し, 拡大手術を行った.病理組織診断は硬癌でリンパ管侵襲が著明で, 広範なリンパ節転移がみられた.術後, 右腋窩リンパ節の穿刺吸引細胞診で癌の転移を認め, 右乳腺部分切除, 腋窩郭清, シリコノーマ切除術を施行した.右乳癌の転移性両側乳癌と診断された.しかし局所皮膚転移が出現し, 照射, 化学療法, 内分泌療法を施行したが, 全身転移により治療後1年で腫瘍死した.豊胸術後の乳癌は, 自験例を含め48例の本邦報告例があるが, 診断が困難で進行例が多い.予後改善には早期発見, 早期治療が重要である.
  • 19941027
    黒岩 実, 松山 四郎, 鈴木 則夫, 高橋 篤, 池田 均, 小暮 公孝
    1995 年 45 巻 1 号 p. 129-138
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    症例は11カ月の女児で, 肝腫大から腫瘍を発見された.入院時血中AFPは290,000ng/mlであった.診査開腹で肝門部に突出した巨大な腫瘍を認め切除不可能と判断, J・PLTプロトコールに従って化学療法を行った.化学療法4回施行後, 腫瘍体積は施行前の27.5%にまで著明に縮小, AFPも28,000ng/mlまで低下したが, 体積減少の鈍化とAFPの再上昇が認められ, 手術に踏み切った.左葉外側区を温存, 拡大内側区域切除により腫瘍を摘除した。しかし, 術後のAFPは正常域まで下降せず, 2回の術後化学療法にもかかわらず20-30ng/mlと高値を維持している.現在7カ月を経過したが, AFPの再上昇はなく, 画像的に局所再発, 転移を認めない.
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