ジシアンジアミド (N” -シアノグアニジン : CG) の構造についてはこれまで数種の構造が提案されてきているが, その一つに絞る決定的な根拠が乏しく, 一般にはNC-NH-C (=NH) NH
2が好んで用いられてきた。我々は, CGの構造をX線結晶構造解析, 紫外部吸収スペクトル,
1H-および
13C-NMRスペクトルを用いて研究した。結晶は単斜晶系に属し, 空間群はC2/c格子定数はa=14.986 (2), b=4.499 (3) c=13.112 (3) Å, β=115.35 (1) °, V=799, 0 (3) Å
3, μ=0.47cm
-1, z=8.
CGの5つのC-N結合の内, シアノ基に対応するC (1) -N (1) が1,157Åで最も短い。シアノ基に隣接するC (1) -N (2) が1。315Aで次に短い。残りの3つのC-N (C (2) -N (2), C (2) -N (3), C (2) -N (4)) は1.329~1.341Åで共役している。グアニジン基を構成する4つの原子 (C (2), N (2), N (3), N (4)) は同一平面上にあり, シアノ基を構成する2つの原子 (C (1), N (1)) もほぼ同じ平面上にある。X線結晶構造解析, 紫外部吸収スペクトル,
1H-および
13C-NMRスペクトルの結果などより, CGの構造としてNC-N=C (NH
2)
2を提案する。
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