ネットワークポリマー
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32 巻, 6 号
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報文
  • 清水 兵衛, 宮脇 孝久, 村上 司, 小畑 敬祐, 山崎 聡
    2011 年32 巻6 号 p. 310-316
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    芳香脂肪族の構造を有するキシリレンジイソシアネート(XDI)の特性及びその誘導体であるXDI-トリメチロールプロパン(TMP)アダクト体の塗料用硬化剤としての性質を調査した。XDI は,イソシアネート基と芳香環がメチレン基を介して結合した芳香脂肪族のポリイソシアネートであり,芳香族および脂肪・脂環族ポリイソシアネートとは異なった性質を示した。この特徴ある構造に基づく性質を活かして,塗料,接着剤等への用途展開が期待できる。
  • Ken-ichi SHINOTANI,Emi MIYAZAKI,Takao HAYASHI, Masahiro TAKAHATA
    2011 年32 巻6 号 p. 317-325
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    シルセスキオキサンキューブをナノビルディングブロックとした新規有機無機ハイブリッド材料の特徴である透明性,耐光性を損なうことなく,短所である熱時靭性不足を改善する方法について検討した。テトラキス(シクロヘキセニルエチルジメチルシロキシ)テトラキス(ジメチルシロキシ)シルセスキオキサンを用いたハイブリッド材料では,熱時低靭性の主要因がビニル官能基の転位による反応性の低下に起因する架橋反応密度の低下であることを明らかにした。転位が起こりにくい官能基を量子計算シミュレーションを用いて予測した。転位が起こりにくいビニル基を有するテトラキス(ジシクロペンタジエニルジメチルシロキシ)テトラキス(ジメチル シロキシ)シルセスキオキサンをビルディングブロックとした硬化系では,架橋反応率の向上,および熱時靭性が改善されることを実証し,当該ハイブリッドの成形性の改善,ひいては光学用途への展開の可能性を拡大することができた。
  • 高橋 裕之, 竹澤 由高, 村木 孝仁
    2011 年32 巻6 号 p. 326-331
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    熱硬化性樹脂は一般にアモルファス構造でありフォノン散乱が大きく低い熱伝導率を示す。熱伝導率を高めるためにはフォノン散乱の抑制が必須であり,樹脂内部の秩序性や,フォノン伝導に関与する共有結合密度(架橋密度)の向上が有効である。そこで,本報告では熱硬化性樹脂の熱伝導率を支配する固体の熱の三定数(熱拡散率,定圧比熱,比重)を明らかにし,秩序構造および架橋密度の効果を調べた。三種類の熱硬化性樹脂を用いて,三定数と熱伝導率の関係をプロットしたところ,樹脂の種類によらず熱拡散率と熱伝導率に良好な相関が見られ,熱拡散率が支配的であることが分かった。次に,エポキシ樹脂において,メソゲン骨格による秩序構造形成および架橋密度と熱伝導率の相関を確認した結果,汎用樹脂で架橋密度を高めると熱伝導率が増大する良好な相関が得られた。一方,同じ架橋密度ではメソゲン骨格を導入した方が熱伝導率は1.5 ~4 倍高く,秩序構造のドメイン比率が大きいほど高くなった。この熱伝導率には汎用樹脂では,架橋密度を高めてもこのような高い熱伝導率の値には到達できず,秩序構造の形成による熱伝導率向上効果の方がはるかに大きいことを明らかにした。
  • 三原  崇, 一ノ瀬 栄寿
    2011 年32 巻6 号 p. 332-338
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    末端にカルボキシル基を有している溶剤可溶性イミド樹脂-エポキシ樹脂硬化系に各種無機充填剤を配合して得られる硬化塗膜の物性検討を行った。無機充填剤として,主にタルクのような層状ケイ酸塩は当該樹脂系に対して分散性が優れ,性能の向上が認められた。特に有機化クレイ存在下で溶剤可溶性イミド樹脂を合成することによってエポキシ樹脂と熱硬化させた硬化塗膜は格段に低い線膨張性,耐熱性の向上を示した。また,有機化クレイの層剥離は有機化クレイが溶剤可溶性イミド樹脂合成の際の触媒として作用しながら生じていると推察された。
  • 小林  達朗, 鈴木 裕司, 池田 延之
    2011 年32 巻6 号 p. 339-343
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    フェノール樹脂や成形材料の諸特性をさらに向上させるには,フェノール樹脂の架橋構造を解析し,架橋構造を設計することが必要であるが,熱・溶媒に不融不溶のため,物性面,構造面の解析があまり進んでいないのが現状である。本研究では,固体NMR の13C-MAS 法を用い,フェノール樹脂硬化物の架橋構造を定量的に評価し,物性との関係を調査した。硬化剤量の増加とともに中間体構造が増加,ポストキュアによって中間体構造がメチレン結合に変化していくことを定量的に評価することができた。また,中間体構造の増加や,メチレン結合の増加に伴い硬化物のTg が上昇しており,構造と物性との関係を把握することができた。
総説
  • 山岸 忠明
    2011 年32 巻6 号 p. 344-350
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    高分子量フェノールノボラック樹脂および高分子量オルトクレゾールノボラック樹脂を合成し,高分子量フェノール系樹脂の主鎖の分子骨格の構造解析を行うとともに,分子形態に及ぼす主鎖骨格の影響を検討するためアセチル化後にその溶液物性を検討した結果を紹介した。本稿では,THF を良溶媒,2- エトキシエタノールおよびTHF /シクロヘキサン混合溶媒をθ溶媒として,極限粘度[η]から,高分子量フェノールノボラック樹脂および高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂の分子形態について検討した。高分子量フェノールノボラック樹脂の場合,Mark-Houwink-Sakurada(MHS)式([η]=KMa)の指数 a の値は,THF 中およびθ溶媒中で0.24 および0.23 となり,分岐状高分子としてふるまうことが分かった。一方,高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂では,THF 中0.46,θ溶媒中で0.28 となり,典型的な線状高分子であるポリスチレンの場合に比べ,かなり小さくなった。しかしながら,排除体積効果を示す膨張因子η3(=[η][η]/θ)は,高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂とポリスチレンは同様な傾向を示した。さらに,高分子量のアセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂はθ溶媒中でガウス鎖としてふるまうことが分かり,線状高分子の特徴を有していることが確認された。以上のように,高分子量アセチル化オルトクレゾールノボラック樹脂は,高分子量フェノールノボラック樹脂と同様の分子形態をもちつつ,ポリスチレンと同様な排除体積効果を示すなど,線状高分子として挙動することが明らかとなった。これは,高分子量フェノール系樹脂が,フェノール環とメチレン結合からなる分子骨格に由来した特殊な分子形態をとるためと考えられた。
  • ─環境規格─
    舩岡 正光
    2011 年32 巻6 号 p. 351-361
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    樹木は,森林を経由する炭酸ガスと水の流れにおける陸上での一形態であり,いずれは再び微少分子を経て森林から流れ去る。生態系をかく乱しない持続的な社会の構築には,森林を「エネルギー」,「機能」,「時間」の3 因子でマテリアルフローとして動的に理解し,それを材料・原料の流れとして具現化する新しい技術と社会システムが必須となる。森林系分子の循環設計を解読し,その循環型材料への持続的な展開について考える。そして生態系の素材に存在する「環境規格」を,環境因子を反映する環境規格素材「リグニン」を例に解き明かす。
解説
  • 西山 佳利
    2011 年32 巻6 号 p. 362-367
    発行日: 2011/11/10
    公開日: 2014/04/22
    ジャーナル フリー
    1.はじめに ポリマー材料は,典型的な粘弾性体であり,弾性と粘性の両方の性質を合わせ持っている。力学特性を示す粘弾性挙動は,分子運動や分子構造の影響を受けるため,その物性把握はポリマー研究や材料開発に必要不可欠となっている。この粘弾性挙動を知る方法の一つに動的粘弾性測定(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)がある。 DMA では,ポリマー材料の温度変化に伴う硬さを弾性率として知ることができるほか,その弾性率の変化からポリマー材料のガラス転移温度や側鎖緩和,置換基緩和といった緩和現象を高感度に捉えることが可能である1)。 本稿では,DMA の概要について述べるとともに,固体ポリマーへの適用事例を紹介する。
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