ネットワークポリマー
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19 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 架橋反応に及ぼすヘミアセタールエステル構造の影響
    中根 喜則, 石戸谷 昌洋, 遠藤 剛
    1998 年19 巻3 号 p. 123-129
    発行日: 1998/09/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    カルボキシル基をアルキルビニルエーテルで保護したヘミアセタールエステル構造とエポキシ基を側鎖にもつ自己架橋型共重合体を合成し, それらのヘミアセタールエステル構造の架橋反応に及ぼす影響について検討した。
    メタクリル酸1-アルコキシエチル, メタクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸ブチルのラジカル三元共重合反応をAIBNを重合開始剤として80℃で6.5時間の条件で行い自己架橋型共重合体を合成した。
    得られた自己架橋型共重合体の熱架橋反応はヘミアセタールエステル構造の熱解離反応が律速段階であり, その架橋速度はヘミアセタールエステル構造中のアルコキシ基に依存しt-ブトキシ基>イソプロポキシ基>エトキシ基>ブトキシ基の順序であるが, 得られた架橋フィルムの物性はアルコキシ基に依存しないことがわかった。
    これらの共重合体は, 熱架橋反応性が大きいものほどキシレン中での保存安定性は減少した。しかし, アルキルビニルエーテルの添加によりそれらの保存安定性は飛躍的に向上した。
  • 後藤 一敏, 槙島 聡, 清水 敏夫, 中野 俊之
    1998 年19 巻3 号 p. 130-138
    発行日: 1998/09/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    シリカ充填した酸無水物硬化エポキシ樹脂の硬化過程における挙動をミクロ誘電計測により解析し, シリカ粒子が充填された時の硬化反応に与える影響を検討した。電気絶縁材料としてのエポキシ注型樹脂は熱膨張係数や機械的残留応力を小さくするために, 一般的にはシリカ粒子が高充填されている。この高充填されたシリカ粒子の効果を非充填系との比較で検討した。ミクロ誘電計測で等温硬化による等価抵抗率の変化を測定し, 樹脂物性値であるガラス転移温度をDSCで求めた。その結果, シリカ充填により非充填系に比べ, 硬化反応速度が遅くなり, 所定のガラス転移温度に達する時間も遅くなることが計測された。シリカ充填エポキシ樹脂でも, 等価抵抗率ρは硬化温度Tcとガラス転移温度Tgとの差 (Tc-Tg) との間の関係式 ρ=ρ0exp [A/ {fg+α(Tc-Tg)}] が成り立つことが分かった。シリカ充填の場合は自由体積の熱膨張係数αが低下し, 定数としてのαは実験値にフィテングすることで得られた。熱膨張係数への影響については自由体積理論により検討し, シリカ充填の効果は見掛け上, 充填系樹脂の自由体積の熱膨張係数を減少させることになることを見いだした。
  • 飯島 孝雄, 張 偉, 福田 和吉, 友井 正男
    1998 年19 巻3 号 p. 139-147
    発行日: 1998/09/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    2,2',3,3'5,5'-ヘキサメチル-4,4'-ビフェノールを出発原料とし, エピクロロヒドリンとの相間移動反応によりエピクロロヒドリン付加体を合成し, 低温でアルカリにより閉環して新規エポキシ樹脂 (DGEHMB) を合成した。今回合成したDGEHMBの溶融粘度は, 類似の構造を有する市販の3,3'5,5'-テトラメチル-4,4-ビフェノールジグリシジルエーテル (YX4000TM) に比してやや大であった。メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を硬化剤として, 示差走査熱量計 (DSC) により硬化挙動を検討すると, DGEHMBの硬化反応性はYX4000と同程度であった。DGEHMB硬化物の曲げ強度, 弾性率は, YX000硬化物に比してやや大であった。DGEHMB硬化物の破壊靭性値 (KIC) およびガラス転移温度は, YX4000硬化物と同程度であった。
  • 中村 嘉利, 沢田 達郎, 中本 義章
    1998 年19 巻3 号 p. 148-155
    発行日: 1998/09/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 木材, 稲わら, バガスなどの植物性バイオマス中に含まれるリグニンからリグニンエポキシ樹脂を合成する方法を開発することである。物理化学的前処理である水蒸気爆砕が植物性バイオマス中のリグニンの分離のために用いられた。カラマツ (Larix leptolepis) の木材チップが水蒸気圧力と蒸煮時間のような種々の爆砕条件の下で処理された。爆砕カラマツは水可溶性成分, セルロースと低分子物質の混合物, メタノール可溶性リグニン, Klasonリグニンに分離された。メタノール可溶性リグニンの特性がIRスペクトル, 分子量, メトキシル基とフェノール性水酸基の測定によって明らかにされた。水蒸気圧力3.6MPa, 蒸煮時間5minの爆砕カラマツから抽出されたメタノール可溶性リグニンはリグニンエポキシ樹脂の合成のために最も適した原料であった。メタノール可溶性リグニンはエポキシ化反応によって優れた熱硬化性樹脂に変換され, エポキシ化リグニンは市販のビスフェノールA系樹脂よりも速く硬化した。
  • 鈴木 健訓
    1998 年19 巻3 号 p. 156-166
    発行日: 1998/09/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    陽電子消滅寿命測定法 (PALS) は高分子材料の新解析手法として注目されるようになった。これまで, 自由体積は高分子科学において基本的な概念であり, 多くの高分子材料の特性に関連していると思われてきたが, 加速器や高度な装置を用いる必要があり, 簡単に推定できる量ではなかった。
    一方, PALSを用いると簡単な装置で高分子間の空隙の大きさを推定することが可能である。陽電子を高分子に入射すると, ポジトロニウムが形成され, これが高分子間の空隙の中で消滅する際に, 空隙の大きさに相関した寿命を示す。この寿命から得られる自由体積の大きさや, また, 自由体積の温度変化から得られるガラス転移温度, 二次の相転移温度等の情報と, 既存の手法から得られる特性と併せることによって, 高分子材料の性質をより一層理解できるようになるのではないかと期待される。本解説では, エポキシ硬化物と結晶性高分子のテフロンにおける実験を例として, PALSの実験方法やそれから得られる自由体積の特徴について述べる。
  • 菊地 英夫
    1998 年19 巻3 号 p. 167-178
    発行日: 1998/09/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    水溶性感光材料は印刷材料, ブラウン管のブラックマトリックスや蛍光体のパターニング, あるいは金属のエッチングレジストなどに広く使用されている。これらの水溶性感光材料の中には重クロム酸塩を使用している物もあり, 環境問題の点から重クロム酸塩を使用しない感光材料の開発が望まれている。また, プリント基板や半導体集積回路などの加工には有機溶媒を用いる感光材料が使用されているが, 環境の観点から問題視され, 水溶性感光材料が見直しされつつある。本稿では筆者らが展開している水溶性感光材料, 特に, カラーフィルター及びブラウン管に使用される水溶性感光材料を中心にその設計とネットワークポリマーへの応用について述べる。
  • 須藤 通孝
    1998 年19 巻3 号 p. 179
    発行日: 1998/09/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
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