最近, 樹脂のライニング (Lining) 用途への関心が大変高まってきている。ライニングという言葉は元来はコーティング (塗装) のうち, 容器などの内面に塗るものであった。そして, その目的はその容器の内面の材質を保護したり, また, その容器に貯える内容物と容器素材との直接接触をさせぬよう, また, 内容物を汚染する成分が出ないような材料を選んで, 容器と内容物を保護することであった。
これと似ていることとして洋服の内面をライナーと称し, 外側に覆うものをコート (レインコート等) と呼んでいることがある。しかし, このライニングの意味は拡大して使われ, 容器の内面だけではなく, 基板を保護して覆う, 下の基盤に環境剤 (外の気体・液体) が浸透到達しない厚い膜~シート状のものも指している。
今日, ライニングについて明確な定義を公的にしたものは世界的に見当たらない。
強いて言えば, 米国のASTM D5161-96が近いであろう。
さて, このライニングは現在二分野あり, 一つは「防水」, 他の一つは「防食」である。市場での樹脂の使用量から見れば「防水」の方が多いだろう。「防水」と「防食」とでは, 「防食性評価」の点で若干の差は見られるものの, これは調整される方向にある。
ライニングの歴史も古く, 木材, レンガ, セラミック (ホーロウ), 鉛, ゴムなども使われてきたが, 20世紀初頭からの石炭・石油化学工業の発展により, 多くの樹脂がライニングに使われ, 所謂「樹脂ライニング」という言葉が良く聴かれるようになった。また, ライニング材料に於いても「繊維強化」による機械強度の向上を行なっており, 今日, 「FRP防水ライニング」なる言葉が広く言われる由縁である。
今回, 樹脂ライニングの動向をシリーズとして一連の報告をするに当たり, まず, 最も身近で一般的な「FRP防水ライニングの技術と樹脂の動向」を最初に掲載, ご紹介する。
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