品質
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Print ISSN : 0386-8230
27 巻, 4 号
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巻頭言
特集
研究会活動報告
投稿論文編
報文
  • 張 書文
    原稿種別: 報文
    1997 年 27 巻 4 号 p. 98-107
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    近年,生産性の向上や製品のコストダウンなどの要請に伴い,自動化生産や無人運転を目指して,製造現場に自動化設備が導入されている.ところが,チョコ停が自動化・無人化運転の目標を阻害する大きな問題となっている.チョコ停に対して製造現場では改善が多く行われているものの,「解明されたチョコ停発生メカニズム」と「対策に使われた知見」は個々の事例にとどまっており,他の自動化設備への一般的な適用が少ない.前者の問題に関して,張はチョコ停の個別事例を数多く収集・解析し,チョコ停の発生メカニズムを一般化するための分類方法とチョコ停発生メカニズムを提案している.しかし,対策に使われた知見を一般化するための方法論は未だに提供されていないのが現状である.対策の立案に使われた知見を一般化するために,本論文では張が提案したチョコ停発生メカニズムに基づき,いくつかの製造現場で起きたチョコ停事例を約330件収集・解析することを通じて対策を立案する際に基本的なよりどころとなる考え方の抽出を試みた.その結果,チョコ停の対策「廃除」「仕様の適正化」「性能の復元」「"異常"の隔離」「"原因"影響緩和」「"作業条件の乖離"の影響緩和」「"作業機能の失敗"の影響緩和」という7つの原理にまとめた.この7つの原理はチョコ停の対策を立案する際に技術者に対策の知見を与えることができる.
  • 鄭 敬勲, 飯塚 悦功
    原稿種別: 報文
    1997 年 27 巻 4 号 p. 108-116
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    FMEAにおける故障モードの原因および影響解析は故障モードの予測とともにFMEA実施の中で重要な事項の一つである.これらの解析がFMEA実施の中で精確に行われないと,FMEAの究極的な目的である故障の未然防止に結び付けることはできない.本報ではFMEAでの故障モードの原因および影響の解析における問題点を検討し,より効果的な解析を行うための一手段としてFMM図の作成を提案する.FMM図は取り上げた故障モードの原因系(発生メカニズム)および結果系(影響メカニズム)を木構造で表現する図である.この図の作成によって,これまでのFMEAにおいて不十分であった故障モードの原因および影響の連鎖を体系的に検討することができる.FMM図を現実の新規設計部分に適用し,期待した効果が得られることを確認した.
  • 山田 秀
    原稿種別: 報文
    1997 年 27 巻 4 号 p. 117-124
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    回帰における通常の推定は説明変数の水準が与えられたものと目的変数の母平均を推定する.一方,説明変数による目的変数の最大化問題は説明変数の水準を求めるものである.この問題は線形校正問題として表すことができる.ところで,回帰分析においては説明変数間の相関が推定精度の悪化をもたらすことが良く知られている.説明変数の相関が与える影響についての議論の多くは通常の推定について焦点を当てている.本研究では目的変数を最大化する説明変数の水準を推定する線形校正において,説明変数間の相関が解析結果に与える影響について論じる.具体的には,まず,説明変数間の相関の影響に関する2つの基準を提示し,説明変数間の相関係数行列の関数として定式化する.この基準の上限と下限は説明変数間の相関係数行列の最大,最小固有値から求められることを示す.この形式は回帰における通常の推定と大変類似したものであり,このことは回帰の推定,逆推定とともに統一的に影響が把握できることを示している.最後に,この上限,下限の解釈を述べるために数値例を示す.
技術ノート
  • 宮川 雅巳
    原稿種別: 技術ノート
    1997 年 27 巻 4 号 p. 125-131
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    素数べき型直交表を用いた一部実施法において,いくつかの2因子交互作用を割り付けるための便利な道具として線点図が知られている.線点図の使い方は初めに実験に取り上げた因子と割り付けた2因子交互作用から「要求される線点図」を作成し,次に用意されている「標準的な線点図」から適当なものを選び,それに「要求される線点図」を組み込むというものである.本論文では分散分析によって有意要因が選定されたとき,この有意要因を表現する線点図を「推定された線点図」と呼び,これを作成することを提案する.そして,この「推定された線点図」において無向独立グラフでのマルコフ性のアナロジーが成り立つことを指摘し,それによる効用を具体的に示す.
調査研究論文
  • 中條 武志
    原稿種別: 調査研究論文
    1997 年 27 巻 4 号 p. 132-140
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    本研究では製品の用途を数種類に分けた上で,品質項目の重要度評価が用途間でどう変わるのか明らかにすることを試みた.9製品,19品質項目について特定の購入者群(大学生)に対するアンケート調査を行い,代表的な製品の用途3種類についてこれらの間でどのような共通性・相違があるか比較・検討した.結果として重視する品質項目については,用途によって大きく変わること,その影響の大きさは製品の種類によって異なることが分かった.また,重要度評価の結果を集約・説明するための因子,すなわち評価因子については用途による影響の大きさは使用者の属性による影響と同程度であること,影響の大きさは製品の種類によって変わらないことが分かった.
  • 金井 亨, 中村 文彦, 中條 武志
    原稿種別: 調査研究論文
    1997 年 27 巻 4 号 p. 141-149
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    ISO9000シリーズが国際規格となってから10年余りが過ぎ,日本においてもこの規格に基づく品質システムの審査登録に取り組む企業の数が年々増加している.しかし,ISO9000シリーズは組立産業をベースに考えられているため,近年その適用が進んでいるサービス産業やソフトウェア産業などにおいては,生産形態の違いによって規格の要求事項を満たすことが困難となる場合が生じている.また,中小企業における取り組みも進んでおり,企業規模が品質システムの構築に与える影響についても問題視されつつある.本論文ではISO9000シリーズの審査登録を受けている企業に対して,ISO9000の要求事項の中で実施・解釈が困難であった項目をアンケート調査し,これらが業種や企業規範とどのような関係があるかを明らかにすることを試みた.その結果,業種によって実施が困難となる項目に差があること,事業所の規模によって差がないことが分かった.
  • 眞田 史行, 中條 武志
    原稿種別: 調査研究論文
    1997 年 27 巻 4 号 p. 150-159
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    本研究ではISO9000シリーズの審査登録を受けた複数の事業所について,文書化の方法と文書化の際に発生する問題を調べ,両者の関係に基づいて問題の少ない文書化の方法とはどのようなものなのかを明らかにすることを試みた.結果として文書化に関する問題は規定書や手順書に多く発生していること,内容としては「配布・改廃の際に工数がかかる」,「新旧版の差し換えが確実に行われない」,「内容が分かりずらく活用されていない」という問題が多いこと,文書体系の階層数,規定書や手順書の数,文書・記録の媒体などの文書化の方法によってこれらの問題の発生の有無が変わることが分かった.
応用研究論文
投稿論説
  • 持本 志行
    原稿種別: 投稿論説
    1997 年 27 巻 4 号 p. 182-193
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    日本のVE(バリュー・エンジニアリング)は製品の原価低減に徹した活動を展開し,これに貢献してきた.このVEは有名な価値公式「価値(V)=機能(F)/コスト(C)」を持っているが,それは価値(V)に対して独特の定義を与えている.ただし,機能(F)を貨幣価値尺度で評価している限りでは,この独特の価値の定義もVE実務には何のかかわりもない.しかし,機能(F)やコスト(C)が貨幣価値尺度から特定の指数に変わったりした場合,特に成熟市場製品に対しては公式中の価値の定義は再考を要する.公式中の(V)は単に使用価値と交換価値との比率に過ぎないからである.そこで,本稿では価値・品質・機能・コスト・価格などの真の意味を解明し,比率(V)を如何に再定義すべきかを示す.実は比率(V)は非価格的優位性を表す品質係数Q≦1.0を意味している.さらに,本稿でQDmと称する市場価格決定のための品質展開技法を紹介する.
  • 国沢 英雄
    原稿種別: 投稿論説
    1997 年 27 巻 4 号 p. 194-204
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり
    哲学の考え方を参考にしてTQMの3つの課題に対し,ねらい(コアとなる要素)と,それを達成するための進め方を提案した.そして,その考え方に沿った展開を行い成果をあげた.その中で従来あまり注目されていなかったアブダクション(仮説の生成)が,開発・設計・製造のみならず商品開発や働く人の活性化に至るまで重要な役割を示した.
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