品質工学(タグチメソッド)では,システムの機能を人出力関係で記述し,その機能性の評価測度として各種のSN比が提示されている.同じ目的機能をもつ2つのシステムの機能性を試験データから優劣比較するとき,データにサンプリング誤差がある限り,推測統計手法とりわけ統計的検定という手続きが不可欠である.本論文では,2値入出力系のSN比を取り上げ,それに対する有意差検定の手順を明示する.そのために,このSN比の比較問題が2×2分割表でのオッズ比の一様性の検定と等価であることを述べ,それが対数線形モデルでの3因子交互作用項の検定に帰着することを示した.このため検定方法として4つの方法を取り上げ,数値実験を行った.結果として,反復計算を用いない近似法でも十分実用に供することを検証した.
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