品質
Online ISSN : 2432-1044
Print ISSN : 0386-8230
41 巻, 3 号
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あゆみ(2001年から2010年まで)
論文誌編
報文
  • 梶原 千里, 棟近 雅彦, 金子 雅明, 佐野 雅隆
    原稿種別: 報文
    2011 年 41 巻 3 号 p. 361-370
    発行日: 2011/07/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    病院では,医療安全教育が推進されている.その一環として,教育シートに潜在する危険を発見することで,事故の危険性に気付く力(以下,察知力)の向上を図る危険予知トレーニング(以下,KYT)が,病院で導入されつつある.しかし,現状では,シートの具体的な作成方法は確立されておらず,効果的にKYTを実施できていない場合もある.また,KYTによる察知力向上の評価方法は存在せず,KYTの効果を測定することができていない.本論文では,事故防止に有効なシートの作成方法を提案する.提案方法では,実際に病院で発生した与薬事故をシートに反映させるため,シート作成に必要な情報を分析し,シートに反映させやすい形で整理する.提案方法によりシートの正解を作成することができるため,その正答率の推移により,察知力向上の評価も行えるようになる.実際にある病院にて,提案方法を適用して2枚のシートを作成し,57人の対象者に期間をあけてKYTを2回実施した.その結果,正解の平均危険発見数が1.23個から1.75個に向上した.以上より,提案方法を適用してKYTを繰り返し行うことで,事故防止に有効なKYTを実施できることを確認した.
  • 下野 僚子, 水流 聡子, 飯塚 悦功
    原稿種別: 報文
    2011 年 41 巻 3 号 p. 371-381
    発行日: 2011/07/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    病院では,要員の力量が医療の質を左右することに加え,専門性を持った要員の充足が難しい現状があることから,どの業務に誰を対応付けるかを検討する要員配置は重要な課題である.病院における要員配置では,多様な患者ニーズに応えるために業務が複雑であることや,要員の専門技術の習熟度がばらついていることを考慮する必要があるが,その方法論は確立していると言えない.本稿では,病院業務の特徴を考慮した要員配置の方法論の開発を目的とする.要員配置は,必要力量の把握・保有力量の把握・要員配置パタンの導出の3要素から構成されると考え,各要素に病院業務における考慮事項を盛り込み「病院業務における要員配置モデル」を構築した.必要力量の把握では,病院業務の特徴を考慮した記述に基づき,評価すべき項目と必要な要員数を明らかにする.保有力量の把握では,習熟度を反映できるレベル別の評価項目を用いて要員を評価する.要員配置パタンの導出では,保有力量が必要力量を満たさない状況でも質保証を実現できる要員配置を検討する.提案モデルにより,従来よりも,質保証および人材の有効活用の上で適切な要員配置パタンを導出することが可能となった.
  • 飯田 孝久, 篠崎 信雄
    原稿種別: 報文
    2011 年 41 巻 3 号 p. 382-391
    発行日: 2011/07/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    連続変量と離散変量が混在し,母数が未知の場合の異常検出問題について,ロケーションモデルを想定し,期待誤報率もまじえ検出力の挙動について議論した.母数が既知であるときの異常検出法において初期データに基づく推定量を代入する推定方式による方法に加えて,初期データと判定データの両者を用いる検定方式による方法を取り上げ,比較検討した.初期データの離散変量の頻度および判定標本の離散変量の値を与えたときの条件付検出力の表現を与え,検出力の基本的性質を明らかにした.2値変量の場合について,連続変量の数,初期データの大きさ,および期待誤報率の設定値を変化させたとき,異常状態での離散変量の分布および連続変量の平均を変化させたときの検出力を数値計算により求めた.期待誤報率を設定値に一致させることができないことを考慮し,手法の比較のため検出力の期待誤報率に対するオッズ比を用いた.その結果,推定方式の尤度比法と検定方式による方法が,異常状態の広い範囲で安定して優れていることが確認できた.とくに,正常状態でその値が相対的に小さい水準の生起確率が異常状態で格段に大きくなることがなければ,検定方式による方法が優れていることが示された.
技術ノート
  • 永田 靖
    原稿種別: 技術ノート
    2011 年 41 巻 3 号 p. 392-398
    発行日: 2011/07/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    工程能力指数は製造業の品質管理活動で頻繁に用いられている指標である.
    本稿では,母集団分布として正規分布を想定した場合の4つの基本的な工程能力指数Cp,CpL,CpU,CpKの自然な点推定量の改良を検討する.
    2乗損失関数を用いた統計的決定理論の枠組みにおいて,Nagata(1995)は,Cpの自然な推定量がその定数倍で一様に改良できることを示し,改良度を数値計算している.また,数値計算により,CpKの自然な推定量がその定数倍した推定量では一様に改良できないことを考察している.
    本稿では,CpL;とCpUの自然な推定量がその定数倍により一様に改良できることを示し,改良度を数値的に示す.さらに,サンプルサイズが7以上のとき,CpKの自然な推定量がその定数倍した推定量では一様に改良できないことを数学的に示す.
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