皮膚糸状菌やマラセチアは,台湾で一般的に認められる病原体である。しかし,動物における全身性
Candida albicans(
C. albicans)感染症は台湾では報告されておらず,他の国においてもその報告は稀である。著者らは若齢犬の下顎部に発生した
C. albicans感染による化膿性肉芽腫性リンパ節炎が,全身感染へと進行した症例を経験したため本論文において報告する。自験例における診断は,下顎リンパ節およびリンパ節周囲の滲出物の吸引材料の真菌培養に基づいて行った。自験例ではフルコナゾールの経口投与に反応せず,重篤な発作症状を示したため,オーナーの要望で安楽死の処置がとられた。剖検では複数のリンパ節に病変を認め,また脳脊髄液の真菌培養において
C. albicans陽性であった。自験例は台湾における全身性
C. albicans感染症に関する初めての報告であり,また著者らはカンジダ症が伴侶動物の再興感染症となる可能性に注目している。
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