獣医臨床皮膚科
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14 巻, 4 号
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症例報告
  • Charles Chen, Ching-Hua Su, Ling-Wen Lee
    2008 年 14 巻 4 号 p. 185-189
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/27
    ジャーナル フリー
    皮膚糸状菌やマラセチアは,台湾で一般的に認められる病原体である。しかし,動物における全身性 Candida albicansC. albicans)感染症は台湾では報告されておらず,他の国においてもその報告は稀である。著者らは若齢犬の下顎部に発生した C. albicans感染による化膿性肉芽腫性リンパ節炎が,全身感染へと進行した症例を経験したため本論文において報告する。自験例における診断は,下顎リンパ節およびリンパ節周囲の滲出物の吸引材料の真菌培養に基づいて行った。自験例ではフルコナゾールの経口投与に反応せず,重篤な発作症状を示したため,オーナーの要望で安楽死の処置がとられた。剖検では複数のリンパ節に病変を認め,また脳脊髄液の真菌培養において C. albicans陽性であった。自験例は台湾における全身性C. albicans感染症に関する初めての報告であり,また著者らはカンジダ症が伴侶動物の再興感染症となる可能性に注目している。
  • 佐藤 良彦
    2008 年 14 巻 4 号 p. 191-194
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/27
    ジャーナル フリー
    6歳1カ月齢,雄のネザーランドドワーフ系ウサギが,1ヵ月前より急速に増大した皮膚の腫瘤を主訴に来院した。初診時,腹部の皮膚に直径約23 mmの球形を呈した腫瘤を認め,これを外科的に摘出した。摘出腫瘤の病理組織学的検査において,小型の基底細胞様腫瘍細胞が索状もしくは小結節状に増殖した像が認められ,毛芽腫と診断された。術後すでに1年以上が経過するが,自験例ではこれまで再発および転移のいずれも認められていない。ウサギの毛芽腫は胸側部と胸背部に好発するといわれているが,自験例では腹部に発生を認めたことから,発生部位を考慮すると比較的希な症例であると考えられた。
短報
  • 石川 記代, 西藤 公司, 桐木 康太郎, 田中 知己, 岩崎 利郎
    2008 年 14 巻 4 号 p. 195-197
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/27
    ジャーナル フリー
    5歳齢,不妊雌のシェットランド・シープドッグが,6ヶ月前からの進行性の脱毛を主訴に受診した。初診時,頚部腹側,腹部および大腿後縁に左右対称性の脱毛ならびに斑状の色素沈着を認め,また外陰部の腫脹および乳頭の腫大を認めた。病変部においてかゆみ動作は認められなかった。ACTH刺激前後において血清中のホルモン値(エストラジオール,17 α-OHP,プロジェステロン,テストステロン,コルチゾール)には異常を認めなかったが,脱毛の増悪時には腟垢細胞の多くを完全角化細胞が占めたことから,性ホルモン異常の関与を疑った。試験開腹により右側卵巣遺残が肉眼的に観察されたことから,これを外科的に切除した。術後21日目より被毛の再生を認め,術後187日目には被毛はほぼ正常まで回復した。以上より,自験例を卵巣遺残に関連した性ホルモン失調と診断した。また自験例より,血清性ホルモン値に異常値を認めない症例において,経時的な膣垢鏡検が性ホルモン失調の診断に有用となる可能性が示唆された。
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