臨床リウマチ
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34 巻, 4 号
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誌説
総説
原著
  • 浜﨑 美和, 折口 智樹, 松浦 江美
    2022 年 34 巻 4 号 p. 275-282
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

    目的:女性関節リウマチ患者を対象に,抑うつに対するストレスマネジメントの実態を明らかにすることを目的とした.

    対象・方法:対象は,リウマチ膠原病外来で通院治療中の女性RA患者150名とした.外来待ち時間を利用して,無記名自記式質問紙調査(日常生活動作,患者全般評価VAS,日本語版うつ病自己評価尺度)やストレスの内容,対処方法等について調査した.記述統計を行った後,抑うつ傾向の有無で2群に分けて比較検討した.

    結果:145名を分析対象とした.抑うつ傾向を示したのは18名(12.4%)で,抑うつ傾向群は,日常生活動作(p=0.002),患者の全般評価VAS(p=0.015)において有意に高値を示した.ストレスマネジメントでは,抑うつ傾向群は,病気や仕事,家庭に加えて日常生活の困難さをストレスとして感じていた.対処法には2群間に有意差はなかったが,自信の程度は抑うつ傾向群が有意に低かった.

    結論:女性RA患者は,日常生活の困難さなどのストレスに対して情動的な対処行動で対処を行っていた.抑うつ傾向を示す女性RA患者は,主観的評価が低く自信が低かった.医療者は,患者のメンタル面も考慮し、共同意思決定を行い支援することが必要である.

  • 渡部 晃平, 榊原 悠太, 榎本 昌光, 田中 友樹, 鈴木 玄一郎
    2022 年 34 巻 4 号 p. 283-289
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

     症例は71歳男性.関節リウマチに対しトシリズマブで加療中であった.経過中に発熱,関節炎の悪化を認め,施行した胸部CTで既知結節の増大を認めた.CTガイド下生検で組織学的評価を行ったところ,肺胞組織への組織球を主体とする慢性炎症細胞浸潤,palisading granulomaを認め,リウマトイド結節に矛盾ないものであった.簡易偏光ではsilica particleが多数存在していた.治療経過中に結節の増大を認めたCaplan症候群として,考察とともに報告する.

  • 岡 秀樹, 志水 隼人, 住友 秀次, 大村 浩一郎, 金森 真紀, 西岡 弘晶, 原 重雄
    2022 年 34 巻 4 号 p. 290-297
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

     生来健康な64歳女性.両下肢の紫斑,関節痛,腹痛を認め,皮膚病理でIgA沈着,十二指腸と回腸末端の潰瘍を認め,IgA血管炎と診断.大量グルココルチコイド,シクロフォスファミド,第13因子投与するも腹痛の増悪を認め,血漿交換の施行により劇的に改善した.小児例では難治性消化器症状に血漿交換が有用であった報告はあるが,成人例では難治性消化器症状は稀であり,貴重な症例と考え報告する.

  • 平野 裕司, 大野 祐輔
    2022 年 34 巻 4 号 p. 298-306
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

    目的:エタネルセプト先行品(ETN-RP)を使用し関節リウマチ(RA)の疾患活動性が低下した患者に対してエタネルセプト後続品1(ETN-BS)に変更し,薬剤の有用性と患者デバイス評価を検討した.

    方法:2019年7月-2020年1月に当院でETN-RPからETN-BSに変更したRA患者で,変更後6か月以上経過した42例を対象としてDisease Activity Score 28-C-reactive protein(DAS28-CRP),Simplified Disease Activity Index(SDAI)及びアンケートを用いた自己注射デバイス評価を行った.

    結果:DAS28-CRPは,変更時1.86,3カ月時2.00,6カ月時2.03と推移した.SDAIは,変更時4.26,3カ月時5.01,6カ月時5.32と推移し低疾患活動性を維持できていた.疾患活動性の各パラメータ推移では,3か月目の圧痛関節数(p<0.05)と6か月目の患者全般評価(p<0.001)で有意な上昇を認めた.自己注射アンケートにおいては,使いやすさ,持ちやすさ,不安感,注射時痛,日常生活負担などの項目でETN-BSの評価が高かった.

    結論:ETN-RPからETN-BSへの変更後の経過観察において全般的には疾患活動性を維持できたが,患者の主観的評価の悪化を示す症例も一部見られ,ノセボ効果の関与も考えられた.ETN-BSの自己注射デバイスの患者の評価は良好だった.

  • 吉井 一郎, 西山 進
    2022 年 34 巻 4 号 p. 307-314
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

    【目的】関節リウマチ(RA)の新しい指標として西山の開発したJoint index vector(JIV)が注目されている.当院におけるRA症例のモニタリングデータを用いてJIVの妥当性の検証を行った.

    【方法】2016年1月よりモニタリングしているRA患者のsimplified disease activity index(SDAI),Health Assessment Questionnaire Disability Index(HAQ),Sharp/van der Heijde score(SHS),疼痛スコア(PS),疲労スコア(Fatigue),EQ5Dをindependent variableとし,JIVの3軸座標(Vx,Vy,Vz)をdependent variableとして,初診時(BL),初診後1年(1Y),最終診察時(LV)の各指標の平均値の相関を,また1YにおけるHAQスコアとSHSの変化(dSHS)に関してのJIV各座標との相関を統計学的に調べた.

    【結果】419名が対象となった.各dependent variableはLVでのFatigueとBLでのEQ5Dを除いてJIVの3軸要素のいずれかと有意の相関があった.1YにおけるHAQスコアとはVzが有意の相関があった.dSHSとはRAの病歴の長さを除くとVx,Vy,dVxと有意の相関があった.

    【結論】JIVは各臨床指標とも相関する指標であり,関節の罹患状態を記す目安として有用である.

  • 高松 尚徳, 谷村 瞬
    2022 年 34 巻 4 号 p. 315-322
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー

     症例は78歳男性.X-1年6月に近医の整形外科で両肩腱板断裂と診断され,両側の肩峰形成術を施行されたが,術後経過が不良であり,X年4月に当院へ精査入院となった.入院時の理学的所見と画像所見,且つ血液検査でCRPは高値であり,RF及び抗CCP抗体が陰性であることからRS3PE症候群と診断された.症例に対し関節超音波検査を用いて炎症活動期と緩和期に分類し,リハビリテーション治療の変更を行ったことで肩関節の機能改善に至った.

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