臨床リウマチ
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30 巻 , 4 号
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誌説
総説
  • 土屋 政幸
    2018 年 30 巻 4 号 p. 255-261
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     1953年にDNA二重らせん構造が提唱され,塩基配列が遺伝情報を担っていることが説明された.その後,分子生物学は目覚しい発展を遂げ,遺伝子組み換え技術などバイオテクノロジーによって画期的なバイオ医薬品が次々に誕生した.2017年の日本のバイオ医薬品の市場は1兆4千億円に達し,そしてその61%は抗体医薬品である.今後もバイオ医薬品は通常の医薬品の倍近い市場成長率を示すことが予想されている.そして,核酸医薬品,細胞治療,遺伝子治療といった新しいモダリティの市場もいよいよ台頭してくる.バイオ医薬品の開発は,様々な研究領域の革新技術を複合的に組み合わせた製品・製剤設計が成功へのカギとなる時代に入ってきた.筆者は1883年よりバイオ医薬品の研究開発に従事し,顆粒球コロニー刺激因子やヒト化抗IL-6受容体抗体を創薬し,いわばバイオ医薬品の歴史とともに歩んできた.本稿ではバイオ医薬品の半世紀を振り返りつつ,今後ますます革新的な医療に貢献するバイオ医薬品の展望を含めて概説した.

原著
  • 山田 梨紗, 平野 裕司, 服部 恭典, 紀平 大介
    2018 年 30 巻 4 号 p. 262-268
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     60歳,女性.尋常性乾癬と診断され,抗アレルギー薬内服と外用薬にて治療開始された.診断後3年より両膝・両肘・指節間関節痛が出現した.サラゾスルファピリジン1000mgとプレドニゾロン5mgにて治療開始したが,症状改善は認められなかった.インフリキシマブ投与が開始され,皮膚症状は改善が認められたものの,股関節変形は進行し,右股関節病変に対し人工股関節置換術を施行することとなった.

  • 黒田 良祐, 福田 康治, 林 申也, 舟橋 恵子, 松原 司, 橋本 麿和, 奥田 康介, 堤 聡, 冨田 大介, 伊丹 哲, 酒井 良忠 ...
    2018 年 30 巻 4 号 p. 269-275
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

    目的:日本では2003年にインフリキシマブ(IFX)が,2005年にエタネルセプト(ETN)が,2008年にアダリムマブ(ADA)が RA治療に適応となった.また,ADAは2003年より治験によるRA治療が行われている.今回,我々はこれら3剤の10年以上の治療継続率を評価したので報告する.

    対象・方法:2007年以前に松原メイフラワー病院にてIFX,ETN,ADAを開始し,10年以上の経過観察が可能であったRA患者を対象とした.IFXは111例に投与され,そのうち10年以上の観察が可能であった95例を対象とした.ETNは119例中95例,ADAは27例中24例を対象とした.各製剤の継続率をKaplan-Meier生存曲線を用いて検討した.

    結果:Kaplan-Meier生存曲線にて,3剤の継続率に統計学的有意差は認めなかった.治療開始後12年時の治療継続率はIFXで10.5%,ETNで22.1%,ADAで8.3%であった.IFXの治療継続率にはIFX開始時のDAS28(CRP)が,ETNの治療継続率には発症時年齢がそれぞれ負の相関を認めた.寛解による中止の割合はADAで最も高かった.

    結論:今回の検討では,3剤の継続率に統計学的有意差を認めなったが,10年以上の継続率はETNで最も高く,ADAで最も低かった.

  • Yoshiro Horai, Yasumori Izumi, Tohru Michitsuji, Nozomi Iwanaga, Yoshi ...
    2018 年 30 巻 4 号 p. 276-283
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     60歳代, 男性.当科紹介約2年前から手足しびれを自覚,また高γグロブリン血症を認めていた.血清IgG4 650mg/dLと高値,鼠経リンパ節に成熟形質細胞の増殖を認めIgG4/IgG 40-50%であった.抗SS-A抗体は陰性だったが抗SS-B抗体は陽性,口唇小唾液腺生検所見はSSに合致した.抗SS-A抗体陰性/抗SS-B抗体陽性SSにおけるIgG4の意義については更なる検討の余地があると考えられる.

誌上ワークショップ リウマチ患者を災害から護る備えと実践
  • 神崎 初美
    2018 年 30 巻 4 号 p. 284-287
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     災害時の関節リウマチ(以下,RA)患者は,切迫した状況ではないが,避難生活する上では多くの支援が必要となる.本稿では,被災地でRA患者に出会った場合の適切な看護支援方法について述べる.具体的には,避難に関するRA患者の備え,災害直後のRA患者が抱える薬の問題,避難所で生活する際のRA患者の課題と必要な支援,福祉避難所への移送の検討,災害中長期にRA患者が抱える問題について述べる.

  • 小塚 ひとみ
    2018 年 30 巻 4 号 p. 288-292
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     平成28年4月14日,熊本で地震が発生し,兵庫県薬剤師会,災害・公衆衛生部は,災害時支援薬剤師を熊本県益城町と南阿蘇に派遣した.兵庫県薬剤師会では災害の基礎知識他,災害時に多職種と共通認識をもって機動的に対応できるように研修を修了した246名を災時支援薬剤師として登録している.益城町にある保健福祉センターで活動したJMAT兵庫は今回統括チームであったため,保健福祉センターの救護所や巡回チームの調剤は,センター内に設置された大分県所持のモバイルファーマシー(移動薬局車両)を,日本薬剤師会派遣の薬剤師が運営しており,JMATの薬剤師は統括チームとモバイルファーマシーとを調整する役割を求められ,医師,歯科医師,看護師はもとより,保健師,栄養士,行政職員など他職種と連携し,被災地のニーズへ対応した.指定外避難所で,血糖測定用のチップがないという連絡がボランティアナースよりあり,JMATチームと一緒に指定外避難所アセスメントを行った.全国各地から送られてきた支援物資はJA倉庫に入れられていたが,実際の避難者がどういった物資を必要としているかを,保健福祉センターで支援をしている益城町職員,保健師,栄養士などに聞き取りを行い,兵庫県医師会に物資の要望を出した.その他DVT対策,公衆衛生活動,OTC対応など,調剤以外の業務も含め,多職種の連携の必要性が改めて認識されており,平時での申し合わせや研修などの準備も必要と感じた.

  • 佐野 一成
    2018 年 30 巻 4 号 p. 293-299
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     目的:過去の取り組みから災害リハビリテーション(以下,リハ)支援におけるリハビリ専門家の役割について報告する.

     方法:2011年に発生した東日本大震災の災害支援のために,多くのリハ関連団体が協働した.その災害リハ支援活動を継続するために,大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team: JRAT)が設立された.JRATはリハ専門職を対象とした全国研修会を開催し,各都道府県にJRAT組織を創設したことで全国各地での災害リハ支援が可能となった.

     結果:JRATの支援対象は,特別な配慮を必要とする「CWAP: Children Woman Aged people Patients」と呼ばれる乳幼児,女性,高齢者,患者である.JRATは2016年の熊本地震において,避難しているCWAPの活動性を向上させることが,廃用症候群やエコノミークラス症候群などの新たな疾病の発生を予防できると考えた.そこでJRATは各地で避難所の環境改善を提案し,虚弱高齢者へは床からの立ち上がり方法を教えると同時に,活動性向上のために歩行運動や下肢運動を指導した.

     結論:近年,リハ専門職による災害支援チームの組織化が進んだ.これからもJRATは災害リハビリ研修を通して人材を育成し,災害時には被災者の役に立ちたいと考えている.

誌上ワークショップ RA治療戦略におけるprecisionmedicine─新規バイオマーカーを用いて─
  • 中村 誠二, 鈴木 勝也, 金子 祐子, 竹内 勤, 天野 宏一
    2018 年 30 巻 4 号 p. 300-307
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

    目的:関節リウマチ(RA)患者の遺伝子発現情報を用いたTNF阻害薬(TNFi)効果予測遺伝子探索研究に関して,従来の研究の問題点(対象条件,N数,遺伝子同定方法,臨床背景バイアス)を踏まえた研究デザインを適用し,検討を試みた.

    対象及び方法:bDMARDs投与歴がなく,MTX併用でTNFiの投与が決定したRA患者を対象とし,関連研究としては過去最大規模の219例の遺伝子発現情報を取得した.発現差が堅牢な遺伝子を抽出すべく,治療6か月後の6種の活動性指標(DAS28,CDAI,EULAR,ACR,SJC28,CRP)各々について2パターンの効果あり(RES)/ なし(NRES)基準を設定し,計12の2群比較を行った.ベースラインの臨床背景バイアスを調整してなお,4比較以上で共通して有意差が検出される遺伝子を抽出した.

    結果:効果予測遺伝子として34遺伝子を同定した.NRESで高発現するクラスタにはI型インターフェロン関連遺伝子群が,RESで高発現するクラスタにはリボソーム遺伝子群が認められた.遺伝子発現情報と臨床情報を組み合わせることで,臨床情報のみよりも高い正確度(64.5~83.6%)でTNFiの効果が判定できた.

    結論:血液遺伝子発現情報には,臨床情報とは独立のTNFi効果予測因子が存在し,双方を組み合わせることで予測精度の向上が期待できる.今後前向き試験による検証を進めていく.

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