本報の目的は, 既報で述べた試作の「ディジタル電子計算機による地温制御システム」を用い, 既報で同定した制御対象 (熱的パラメータが一定な均質土壌試料) に対しL.Q.G.による地温制御を試み, 実験により地温制御結果を得るとともに, この地温制御実験のシミュレーションを行い, 地温制御に対するL.Q.G.制御アルゴリズムの適用性を検討し, さらに, 全点地温に対してP.I.D.およびL.Q.G.制御アルゴリズムによる地温制御を行った場合の制御性の良さを相互比較し, 両アルゴリズムの特徴を明らかにすることである.
目標値がステップ状に変化する代表的な場合に対し, ダイナミック・プログラミングにより求めた最適フィードバック行列を用いたL.Q.G.制御実験の結果, 制御量は全く行き過ぎなく, かつきわめて速やかに目標値に整定した.この地温制御実験を既報で求めた地温系の数式モデルによりディジタル・シミュレーションを行った結果, シミュレーションと実験とはきわめて良く一致し, L.Q.G.地温制御系を数式モデルによりシミュレートできることがわかった.このことは, L.Q.G.地温制御系の検討をシミュレーションにより行うことが可能なことを示すものと考えられる.
制御量を各格子点の温度全体に対し, P.I.D.およびL.Q.G.地温制御をシミュレートし, 制御量の整定時間および制御量を含む全点温度経過のI.S.E.をとって, 両制御アルゴリズムによる地温制御結果の良さを判別した.その結果, L.Q.G.は整定時間およびI.S.E.ともにP.I.D.より優れることが明らかになった.また, P.I.D.ではパラメータの選び方により制御結果に一長一短あり, 整定時間の優れるパラメータ調整 (前報の (A) , (B) ) ではI.S.E.が劣り, 逆にI.S.E.の優れるパラメータ調整 (前報の (C) , (D) ) では, 整定時間の劣ることが明らかになった.
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