生物環境調節
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15 巻, 4 号
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  • 土壌からのCO2発生がハウス内CO2環境に与える影響について―大豆の光合成速度を用いて―
    伊藤 実
    1977 年 15 巻 4 号 p. 79-88
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は, 土壌からのCO2発生量がハウス内CO2濃度の日変化に与える影響について, シミュレーションをおこなったものである.この研究の過程で, 最初に, ハウス内のCO2濃度を規定する光合成速度 (P) をCO2濃度 (X) と光強度 (I) とで表わすことを試み, 次式を得た.
    P=K2 (1-e-K1 (X-Xc) ) (i)
    K1=alog10I+b (ii)
    K2=c1+c2I+c3I1/2+c4I1/3+c5I1/4 (iii)
    ただし, a, b, c1, c2, c3, c4, c5: 定数
    この3式を用いて, ハウス内CO2濃度の日変化を土壌からのCO2発生量, 葉面積指数および換気率を変えてシミュレーションをした.その結果として,
    (a) 土壌からのCO2発生量が多いと換気を開始する時刻が遅くなり, それゆえに総換気回数も少なくてすむ.
    (b) 換気のon-off動作は, 土壌からのCO2発生量や換気率の大きさに関係する.
    (c) 動作すきまを与えて換気をon-off制御すると, 換気率の大きい方が小さい換気率のときよりも総換気回数が少なくてすむ.
    などが得られた.これらから, 寒冷地の栽培施設でのCO2調節に関して, エネルギー節約を目的とした換気の仕方の方向が明らかになった.
  • 電算機による地温のP.I.D.制御
    原 道宏, 市居 謙一
    1977 年 15 巻 4 号 p. 89-96
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    本報の目的は, 前報で述べた試作の「ディジタル電子計算機による地温制御システム」を用い, 前報で同定した制御対象 (熱的パラメータが一定な均質土壌試料) に対しP.I.D.による地温制御を試み, 実験により地温制御結果を得るとともに, この地温制御実験のシミュレーションを行い, 地温制御に対するP.I.D.制御アルゴリズムの適用性を検討することである.
    目標値がステップ状に変化する代表的な場合に対し, C.H.R.の方法によるP.I.D.パラメータの4種類の最適値を用いた地温制御実験の結果, いずれのP.I.D.パラメータ最適値を用いても最終的には地温を目標値に保つことが可能であるが, P.I.D.パラメータ最適値の種類により過渡応答が著しく異なることが明らかになった.この地温制御実験を前報で求めた地温系の数式モデルによりディジタル・シミュレーションを行った結果, 細部を除きシミュレーションと実験とは一致し, P.I.D.地温制御系を数式モデルによりシミュレートできることがわかった.
    ゆえに, 電算機により単にP.I.D.地温制御が可能であることにとどまらず, 電算機に状態空間表示のP.I.D.地温制御系のシミュレーションモデルを組みこむことにより, 事前におけるP.I.D.地温制御系および地温分布の検討はもとよりのこと, 実際にP.I.D.地温制御を行っているときでも, 制御量以外の点の地温を計測によらずシミュレーションにより検討を行うことが可能なことが明らかになった.
  • L.Q.G.による地温の最適制御およびP.I.D.との比較
    原 道宏, 市居 謙一
    1977 年 15 巻 4 号 p. 97-105
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本報の目的は, 既報で述べた試作の「ディジタル電子計算機による地温制御システム」を用い, 既報で同定した制御対象 (熱的パラメータが一定な均質土壌試料) に対しL.Q.G.による地温制御を試み, 実験により地温制御結果を得るとともに, この地温制御実験のシミュレーションを行い, 地温制御に対するL.Q.G.制御アルゴリズムの適用性を検討し, さらに, 全点地温に対してP.I.D.およびL.Q.G.制御アルゴリズムによる地温制御を行った場合の制御性の良さを相互比較し, 両アルゴリズムの特徴を明らかにすることである.
    目標値がステップ状に変化する代表的な場合に対し, ダイナミック・プログラミングにより求めた最適フィードバック行列を用いたL.Q.G.制御実験の結果, 制御量は全く行き過ぎなく, かつきわめて速やかに目標値に整定した.この地温制御実験を既報で求めた地温系の数式モデルによりディジタル・シミュレーションを行った結果, シミュレーションと実験とはきわめて良く一致し, L.Q.G.地温制御系を数式モデルによりシミュレートできることがわかった.このことは, L.Q.G.地温制御系の検討をシミュレーションにより行うことが可能なことを示すものと考えられる.
    制御量を各格子点の温度全体に対し, P.I.D.およびL.Q.G.地温制御をシミュレートし, 制御量の整定時間および制御量を含む全点温度経過のI.S.E.をとって, 両制御アルゴリズムによる地温制御結果の良さを判別した.その結果, L.Q.G.は整定時間およびI.S.E.ともにP.I.D.より優れることが明らかになった.また, P.I.D.ではパラメータの選び方により制御結果に一長一短あり, 整定時間の優れるパラメータ調整 (前報の (A) , (B) ) ではI.S.E.が劣り, 逆にI.S.E.の優れるパラメータ調整 (前報の (C) , (D) ) では, 整定時間の劣ることが明らかになった.
  • 山沢 新吾, 吉崎 繁, 前川 孝昭
    1977 年 15 巻 4 号 p. 107-111
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    呼吸速度の比較的大きい植物体であるクワ葉やカーネーション切り花の包装・輸送時の植物体温度上昇の経時的変化を予測することは, 農産物の包装・輸送・貯蔵技術の確立に重要である.本報は, この観点に立脚して, 1) これら農産物が輸送されるとき, 物質と熱の出入りのない断熱密閉状態が生じたために, 植物体の温度が上昇したものと推定し, 2) 包装されるとき容器内に酸素が存在する場合, 植物体内の糖の酸化反応は2次反応によるものと仮定して, RUNGE-KUTTA法による数値積分によった植物体温度の経時変化を計算した.3) つぎに, 断熱密閉容器を試作し, この容器に納めた植物体の温度変化を実測し, 計算結果と比較検討した.
    この結果, 筆者らの考え方による温度予測法は, ほぼ実用に供しうることがわかった.
  • 葉温のダイナミクスのモデル化とシミュレーション
    橋本 康, 森本 哲夫, 船田 周
    1977 年 15 巻 4 号 p. 113-120
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    温度湿度が一定に制御された環境下において光照射で明条件とし, 植物の葉温と茎内水分を測定すると, それぞれ植物によってその応答波形のパターンは異なつたものがえられる.この差は, 植物生体の吸水から排水に至る一連のダイナミクスを生体情報にもとついてモデル化し, シミュレーションを行う過程で説明できるのではないかと考えた.そこでタバコ, キュウリ, ヒマワリをとりあげ, その生体情報の測定値をもとに, 生体における葉温ならびに水分のダイナミクスをモデル化しシミュレーションを行った.その結果, 上記3つの植物の葉温応答における振動波形の差は, 気孔開度を主とする蒸散活動と吸水能力との関係によるということが導かれた.そこで, 本モデルとシミュレーションのよりいっそうの妥当性を証明するため, ホルモンの作用による気孔開閉調節や生長ステージの差などの生理条件が関与する場合, このモデルからそれぞれの実測の葉温の応答波形が説明できるかを検討した.その結果, 本モデルは植物生体の葉温のダイナミクスを種の差異や生理条件の差異も含め, それぞれの設定条件ごとに説明しうるものであることが判明した.それゆえ, 本論文で提起したモデル化とシミュレーションは, 植物生体の葉温を主とするダイナミクスを説明する1つの有効な方法であると結論できる.
  • 上田 悟, 長楽 勇
    1977 年 15 巻 4 号 p. 121-128
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    27±4℃で周期24時間の正弦曲線を描く温度周期環境下において, 光周期がカイコの成育に及ぼす影響について1~3齢, 4齢, 5齢の3期間に分けて実験し, 概要つぎの結果を得た.
    1) 光条件がカイコの成育に及ぼす影響は, 1~4齢では明らかに認められたが, 5齢においてはその影響は著しく減少した.また1~3齢と4齢では, その影響は加算的であった.
    2) 温度周期の頂点位相 (31℃) を午後2時に設定した場合に, 午前2時に設定した場合よりカイコの成育はすぐれた.
    3) 光条件がカイコの成育に及ぼす影響は, 常明下で最も成長量が多く, ついでLD12: 12のうち27℃以上の高温域を暗条件で飼育した区, 常暗と続き, LD12: 12のうち高温域を明にした区が最も劣った.
  • ―とくに著者らの研究を中心として―
    山中 聖敬, 亀高 正夫
    1977 年 15 巻 4 号 p. 129-142
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 第15巻 (1977)
    1977 年 15 巻 4 号 p. 153-156
    発行日: 1977/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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