生物環境調節
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14 巻, 4 号
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  • 土壌の気体拡散係数と通気係数との関係について
    伊藤 実
    1976 年 14 巻 4 号 p. 99-106
    発行日: 1976/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は土壌空気の拡散係数を測定容易な通気係数から算出することを目的とし, 土壌の気相環境研究の基礎としておこなったものである.研究の結果つぎのような結論をえた.
    1) いろいろの充填のもとでの拡散係数 (D) と通気係数 (K) との関係をみると, そこにはちらばりがあることがわかる.しかしこの関係にも3) で述べるような傾向がある.
    2) 土壌粒径の大きさによって通気係数は大きく変化するが, 拡散係数はあまり影響をうけない.
    3) 一定充填のもとで含水比のみ変化したときの集中粒径の土壌での通気係数と拡散係数との関係は次式が成立し, そこでのnn≒1となる.
    D=aKn
    4) ある含水比下での拡散係数と通気係数との関係がわかれば, その土壌の拡散係数は上式を用いることによって測定容易な通気係数から算出できる.
  • 藤田 正範, 菅原 盛幸, 安保 佳一, 津田 恒之
    1976 年 14 巻 4 号 p. 107-114
    発行日: 1976/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は, 特異な栄養のしくみをもつ反芻動物が, 寒冷環境下で熱生産ならびに糖新生の素材を何に求めるのかという問題を解明するための一環として行われた.
    4頭のめん羊 (被毛長1cm以下) を, ズートロン内で0℃に7日間暴露し, その際の一般生理反応ならびに血液・尿成分が観測された.
    寒冷暴露にともなって, めん羊の四肢から躯幹にかけて顕著な“ふるえ”があらわれ, 同時に, 心拍数と熱生産量は速やかに著しく増加し, 7日間ほぼ同程度の値を保った.飲水量および尿量は明らかに減少し, 呼吸数も減少傾向をみせた.直腸温には明瞭な変化はみられなかったが, 朝夕の日内変動の幅が小さくなる傾向がみられた.
    血漿遊離脂肪酸濃度は速やかに増加した.暴露4日以降に, 血液グルコース濃度および血液Pco2値はやや増加する傾向がうかがわれた.血液遊離アミノ酸, 乳酸および低級脂肪酸濃度には明瞭な変化はみられなかった.尿中ケトン体排泄日量はやや減少し, 全窒素排泄日量はほとんど変化しなかった.
    めん羊で観察されたこのような諸変化は, 従来, イヌやヒトなどで報告された所見とほぼ同様なものであることが確かめられた.
  • 安保 佳一, 藤田 正範, 菅原 盛幸, 津田 恒之
    1976 年 14 巻 4 号 p. 115-121
    発行日: 1976/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    常温 (20℃) ならびに寒冷 (0℃) 環境下におけるめん羊のグルコース代謝の動態が, 14Cおよび3H-グルコースを用いる同位元素希釈法によって測定された.
    常温時において, グルコースのプール・サイズは159.5mg/kg, 総ターン・オーバー率は2.63mg/min/kg, リサイクル率は0.40mg/min/kg, また, 呼気CO2への酸化寄与率は5.37%であった.0℃暴露4日目には, そのプール・サイズは266.0mg/kg (1.67倍) , 総ターン・オーバー率は4.88mg/min/kg (1.86倍) , リサイクル率は1.17mg/min/kg (2.93倍) , さらに, 酸化寄与率も12.0% (2.23倍) に増加した.
    これらの結果は, グルコースが消化管でほとんど吸収されないめん羊でも, 体内で糖を新生して, 単胃動物に匹敵する量のグルコースを利用していること, 寒冷暴露時には, グルコースの代謝回転は著しく増大し, 熱生産の素材としても大きく貢献していることを示している.
  • 菅井 晴雄, 門田 穣
    1976 年 14 巻 4 号 p. 123-129
    発行日: 1976/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    1) 初秋季 (9月) の着果および土壌水分含量が温州ミカンの乾物生産量におよぼす影響について調査した.
    2) 初秋季に全摘果すると着果樹にくらべて3年枝・細根の乾物重・全炭水化物含量が高くなり, また幹に環状はく皮することにより根への転流を阻害すると果皮・果肉の乾物重・全炭水化物含量が高くなった.
    3) 土壌水分含量を30日間少湿 (pF3.0~3.5) に保った直後および中湿 (pF2.0~2.5) にもどして2カ月後の樹体乾物重には差がなかった.
    4) 土壌水分含量を30日間少湿に保ち, その後2カ月間中湿に保っても・新葉・旧葉・果実の乾物比は少湿区の方が高くなっていた.このことから, 新葉・旧葉・果実は初秋季に少湿に保つと, この影響が収穫時にも残るものと考えられる.
    5) 果実の乾物重・全糖含量・全炭水化物含量は両区間に差がなく, 乾物比のみに差があることから, 少湿で生じる果汁の糖の増加は主として果汁が水分により希釈されない濃縮化と考えられる.また果肉の糖は少湿区では, 中湿区にくらべて, シュークロースが低く, フラクトースーグルコース・β-グルコースが高くなっていた.しかし, 果皮においてはこの傾向が認められなかった.
    6) 土壌水分含量を初秋季の30日間少湿に保っても, 果実への同化物質の転流は抑制されなかった.
  • 村田 忠, 田原 康雄, 小西 通夫, 橋本 康, 大政 謙次
    1976 年 14 巻 4 号 p. 131-137
    発行日: 1976/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    人工環境下における植物生理の研究に必要なグロースキャビネットは, すでに多方面に使用されている.本研究では環境制御方法として電算機を導入し, 制御精度の高い, かつ経済的なグロースキャビネットを設計目標として試作した.試作機について, 植物材料の有無の条件下で温度, 湿度および照度分布等を測定した.その結果, 電算機によるアダプティブ制御の採用により温度・湿度の制御精度は向上し, 温度は±0.2℃以内, 相対湿度は±1%以内の高い性能が得られた.
  • 第14巻 (1976)
    1976 年 14 巻 4 号 p. 141-144
    発行日: 1976/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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