生物環境調節
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10 巻, 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 仁藤 伸昌, 藤井 利重
    1972 年10 巻4 号 p. 139-143
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    1) さし床を設置する環境調節施設, およびさし床の床土がさし木の不定根形成におよぼす影響について調査した.
    2) さし木の不定根形成は, さし床を設置する環境調節施設, 床土の物理・化学性および地温などの環境条件に影響された.
    3) Pad and fan systemのような簡易環境調節施設は, air washerによる環境調節施設よりも不定根形成には有効であった.
    4) さし床の床土も調節でき得る環境要因の一つとして, さし木の際, 考慮を払う必要がある.
    5) さし穂へのかん水方法は, 電気葉制御式ミスト装置が有効であった.
    6) 発根促進剤として用いたIAA, IBAの効果は, 環境の差によりその効果を異にした.
  • 高木 康至
    1972 年10 巻4 号 p. 144-149
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    タバコモザイクウイルスの感染によってN.tabacum L.Xanthi-ncに形成される局部病斑の進展速度は光的条件により異なる.局部病斑の進展は光の存在下よりもむしろ暗黒下で著しく, ウイルスの増殖もこれと符合する.このことから, 植物のウイルスに対する防御反応は接種後の光的条件と密接に関係するものと推定される.
  • C. H. M. van BAVEL
    1972 年10 巻4 号 p. 150-153
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    植物実験用チャンバーの操作において最も合理的な方法は, 絶対湿度を制御することである.最近の装置は, ほぼ閉鎖システムであること, および植物が多量の水蒸気を放出するという事実にもとついて, 簡単でかつ効果的な絶対湿度の制御法を案出することができる.この方法においては, 空気が冷却/凝結熱交換器を通過する際に, その温度が測定, 制御される.そのあと空気は必要に応じて再加熱される.ここではシステム中で相殺されるエネルギーの幾分かを回収するような方法を提案したい.この方法が適切であることを実際のデータで例示した.すなわち, この方法によれば気温および露点, 温度を分オーダーの応答時間で0.1℃内に制御しうる.
  • 高木 康至, 草刈 真一, 金関 四郎
    1972 年10 巻4 号 p. 154-159
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ワグナーポット (1/5000a) に満たした土壌をオートクレープにより, 115℃で加熱処理したときの土壌温度の実態と, 熱処理による滅菌効果を調べた.熱はポットの外部から中心部に向って伝導し, 中央部の土壌温度は100分間の継続処理により100℃に到達した.また, ポット中央部の土壌温度が約70℃以下の時点でオートクレープ処理を停止した場合, ポット中央部の土壌温度はひき続き上昇するが, ポット中央部の土壌温度が100℃以上の時点で加熱を停止すると, 中央部の土壌温度はほとんど上昇せず徐々に下降する.ポット中央部土壌中の糸状菌は30分間の処理で, タバコモザイクウイルスは60分間の処理で, またバクテリアは132分間の処理でそれぞれ死滅した.
  • 温度制御系の動特性からみた設計について
    船田 周, 橋本 康, 大政 謙次
    1972 年10 巻4 号 p. 160-170
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    アナログシミュレーションにより, ファイトロンの温度制御系の動特性の定量化を行なった.その結果を用いて, 動特性の評価から, ファイトトロンの温度制御系の設計法を提案した.すなわち, 静的な固定バイアスの熱交換器と, 外乱に追従する動的な熱交換器の二系統運転によるシステムの採用である.この方式で動特性は著しく改善されることを明確にした.
  • 温湿度制御系の動特性について
    船田 周, 橋本 康, 大政 謙次
    1972 年10 巻4 号 p. 171-178
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    アナログシミュレーションにより, ファイトトロンの温湿度制御系の動特性を水めた.温度, 湿度は独立な二変数制御系ではなく, 温度系の動特性ならびに加湿, 減湿の動特性をもとに複雑な現象を呈する.この二変数制御系をシミュレーションによって検討し, その動特性が一部明確になった.
  • I. イネ幼植物のクロロフィル形成について
    松井 健, 相賀 一郎, 大村 武, 佐藤 光
    1972 年10 巻4 号 p. 179-182
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    温度環境制御において, on-off動作による制御温度にはサイクリングを生じる.このサイクリングが植物生育におよぼす効果についてはほとんど不明である.
    本報告では生育温度に非常に影響されるイネ葉緑体突然変異 (HO-799) のクロロフィル形成を指標としてサイクリングの効果をしらべた結果についてのべる.
    HO-799の幼植物の第3葉抽出初期までの生育温度が22~25℃の温度範囲では, 第3葉のクロロフィル量はサイクリングにより大きな影響をうける.設定温度より1.0℃のサイクリングは0.2℃の場合に比較しクロロフィル量の減少をおこす.すなわち23±1.0℃と22±0.2℃の場合のクロロフィル量はほとんど同じであり, 24±1.0℃と23±0.2℃の場合もほとんど同じである.
    このような現象は27~29℃の温度範囲では認められない.
    以上のことから温度感受性が高い植物反応の場合, 制御温度環境の設定温度からのサイクリングは無視することはできず, それぞれの植物反応について充分検討せねばならない.また, 平均温度の表示方法についても再考の余地があると思われる.
  • III. 光強度
    松井 健, 副島 泰彦, 江口 弘美
    1972 年10 巻4 号 p. 183-186
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    温度制御環境を用いて植物生育に対する温度効果を詳細に解析する場合, 種々の環境要因が温度効果にいかなる影響をおよぼすかを解明しておく必要がある.本報では各空気温度条件下で異なった光強度条件を設定し, キュウリ胚軸伸長に対する光強度の影響を解析した.環境条件設定にはグロースキャビネットを用い空気温度20, 25, 30, 35, 40℃とし, 光強度をそれぞれ4, 000, 8, 000, 12, 000luxに設定した.光源としては螢光ランプ (FLR40S・W-SDL-AP/M) を用い, 8時間日長とした.
    1) 胚軸伸長は空気温度条件に著しく影響されたが, 同時に光強度にも影響された.同一温度条件では光強度が小であるほど胚軸伸長が大であり, その光強度の効果は温度条件により異なった.
    2) 光強度に対する胚軸伸長の感受性は温度条件によって異なり, 30℃で最大で, 20℃で最小であった.
    3) 胚軸伸長に対する最適温度は光強度条件によって異なり, キュウリ胚軸伸長は, 4, 000lux区では30℃で最大で, 8, 000luxおよび12, 000lux区では35℃で最大であった.
    ファイトトロンガラス室では光条件, すなわち光強度, 光質, 日長が日周的および季節的に著しく変動しており, このような変動する光条件下では植物生育に対する温度効果が精密に解析できない場面がある.本実験における結果は植物反応に対する温度効果を解析する場合には, これら光要因の変動を十分考慮に入れる必要があることを示唆しており, 人工照明による一定の光条件設定が温度効果解析に有効な場面が多いことを示している.
  • 大島 長造, 井上 晃一, 石和 貞男
    1972 年10 巻4 号 p. 187-191
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    東京吾妻橋で採集したクロショウジョウバエの集団から12匹の雌を取出し系統をつくった.それぞれの系統から雌雄9組を産卵瓶にとり, 3種類の光環境において10日間の毎日の産卵数を調べた.光環境は全明区, 明暗区, 長暗短明区で, 温度は25℃一定に保たれた.10日間の総卵数は長暗短明区, 明暗区, 全明区の順に少なくなった.しかし, 前5日間と後5日間の総卵数を比較すると長暗短明区, 全明区では1日平均約20個の割で後半に減少したが, 明暗区では後半においても僅かな減少に過ぎなかった.したがって, 産卵のリズムを保持するためには明暗区がよい環境であると考えられた.
    光環境は産卵に著しい影響を及ぼすばかりでなく, 寿命にも重要な関係をもつようである.全明区, 長暗短明区において非常に寿命の短かくなった系統が認められた.
  • 大島 長造, 井上 晃一, 秋 鐘吉
    1972 年10 巻4 号 p. 192-197
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    東京大森で採集したクロショウジョウバエの集団から約400匹の雌雄を取出して, 雌雄を別々に迷路器具に入れて走光性のものと避光性のものに選別した.最も走光性を示した雌雄20匹宛を交配して走光性集団とし, 最も避光性を示した雌雄20匹宛を交配して避光性集団とした.
    その後, 両集団は別々に30代にわたって走光性, 避光性の性質が進むように選抜を繰返した.
    最初の集団の走光性得点は5.03で, その分散は12.36であったが, 30代の選抜によって走光性集団の得点は4.42, 分散は11.23になり, 避光性集団の得点は8.62, 分散は6.39になった.それぞれの遺伝率は避光性が0.46, 走光性が0.17と推定された.
    走光性はポリジーンによって支配される量的形質と考えられるが, 30代目の走光性のハエと避光性のハエを交配したF1のハエの走光性得点は両親の平均よりも避光性の方に近い値をとった.避光性ポリジーンが部分的優性に見えた.
  • 小西 通夫, 寺島 貞二郎, 松井 健
    1972 年10 巻4 号 p. 199-206
    発行日: 1972/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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