生物環境調節
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11 巻, 3 号
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  • 大嶋 保夫, 牛島 忠広, 田崎 忠良
    1973 年 11 巻 3 号 p. 103-108
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    大気中に含まれている二酸化イオウ (SO2) の光合成・蒸散などに対する影響, すなわち非可視的効果をしらべるため, ヒマワリ幼植物をチャンバーに入れ, SO2を含む空気を通気して, SO2濃度・光合成速度・蒸散速度・比較湿度を同時測定し, SO2接触による光合成・蒸散速度の変化を追求した.
    SO2接触9時間, 濃度1ppmまでの実験では, SO2濃度が高くなるにしたがい, 光合成・蒸散阻害率は増大した.SO2接触後光合成の低下は蒸散のそれより先行し, 気孔の閉じないうちすでに光合成が抑制されていることが暗示された.SO2除去後は光合成も蒸散も同様に回復したが, 高濃度のSO2に接触後は両者とも回復がおくれた.SO2接触時の湿度や光量は光合成阻害率にあまり大きな影響を及ぼさなかったが, 被陰処理して葉が陰葉化した幼植物では, 対照と比較してSO2の各濃度で光合成阻害率は高かった.さいごに長期間にわたるSO2の接触の影響をみるため, 毎日3時間ずつ0.3~0.5ppmのSO2を幼植物に反覆接触させると, 毎日SO2除去後光合成速度はすぐ増大したが, 接触回数を重ねるとともに, 翌日の光合成は低下した.また8日間SO2に接触させた個体に, あらたにSO2を接触させると, そのときの光合成阻害率は対照と差はなかったが, ふつうの大気中の光合成速度は小さくなっており, 反覆接触の後作用が認められた.
  • 山崎 博男, 平野 光彦, 小林 逸郎, 厚美 利行
    1973 年 11 巻 3 号 p. 109-115
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸器疾患の存在下, 高濃度酸素を呼吸することにより, 呼吸中枢の抑制がおこり, 血液中CO2濃度が増加し, 呼吸性アシドーシスを示し, 意識障害の出現を特徴とするCO2ナルコーシスを示した2症例を経験した.第1例は60歳男, 8年来慢性肺性心を示していたが, 呼吸器感染により呼吸困難出現, 酸素テソトに収容した.50%02呼吸6時間後, 昏眠出現.このときのPaO272, PaCO275mmHg, 血液pH7.34であった.第2例は70歳女, 6~7年来肺気腫.呼吸器感染で呼吸困難出現し, 酸素テントに収容した.50%O2呼吸22時間後, 傾眠状態出現.PaO268, PaCO296mmHg, 血液pH7.33.上記2症例とも酸素テントより出し, 強制的に深呼吸させることにより意識および血液ガス, 血液pHの急速な改善をみた.これらのことは, 生体環境条件としての大気組成が, いかに生体Homeostasisの維持に関与しているかを示唆する.
  • D.D.C.用グロースキャビネットの温湿度制御系の動特性
    船田 周, 橋本 康, 大政 謙次, 岡田 耕二
    1973 年 11 巻 3 号 p. 117-125
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, ディジタル電子計算機による生物生育プロセス制御の基礎的特性を検討することにある.初報として本論文では, D.D.C.を行う場合のプロセスに相当するグロースキャビネットの温湿度二変数制御系の動特性をアナログバックアップでえられた実測値から検討している.実測の結果として, 温湿度二変数系の動特性に関する諸量が明らかにされた.それらのデータから, このプロセスの動特性は, D.D.C.を行うに充分の特性といえる.
  • ファイトトロンにおける気温変動の周波数応答関数
    船田 周, 橋本 康, 佐下橋 市太郎, 丹羽 登, 松井 健
    1973 年 11 巻 3 号 p. 127-132
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本論文では, ファイトトロンにおける入力気温, 出力気温の周波数応答関数が検討されている.この周波数応答関数はスペクトル解析で求められるため, 応答の速い気温計が2台必要とされる.このため, 超音波気温計試作2号器を作り, 2点の同時計測を行った.結果として, 周波数応答関数は1Hz~5Hzではそのゲインが設定値などの制御因子にはよらず, ファイトトロンに固有の機構によって一意的な傾向を有することが判明した.他方, 0.2Hz~1Hzの低域では, コヒーレンシーにみられる非線形性のため, 一意的な傾向はみとめられなかった.それゆえ, 結論として, 周波数応答関数は1Hz~5Hzでは一般性をもち, この関数はファイトトロンはもちろんのこと, 他の環境調節施設にも有効であるといえる.
  • 植物収容時における制御ガラス室の入力気温, 出力気温の応答
    船田 周, 橋本 康, 野中 佳昭
    1973 年 11 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本論文では, すでにファイトトロンで明確にされた入力気温, 出力気温の周波数応答関数が, 植物としてキュウリを収容した場合の調節ガラス室における物理酌環境条件との関連で検討されている.結果として周波数応答関数は, 植物生長のステージにあまり影響をうけず5Hz-0.6Hz域では, そのゲインは一意的な傾向をもつことが判明した.したがって結論として周波数応答関数は, 制御因子のみならず, 植物生育についてもそのステージによらず一般性をもつことがいえ, それゆえ, 種々の植物を栽培している環境調節施設における気温現象の解明や予測ならびに設計に利用できることの見通しをえた.
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