生物環境調節
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24 巻, 3-4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • オズチュルク ムニール, 佐藤 雅志, 高橋 成人
    1986 年24 巻3-4 号 p. 79-85
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    プロリンは, 植物の環境ストレスに対する植物体内の一つのパラメーターとしての物質として知られている.本研究は, 生理生態的な違いをもつ植物の地下部に高・低温度ストレスを与えプロリンの植物体内での変化を検討したものである.用いた植物は冷涼な気候に適したヒマワリおよびアカザの一種と, 暖い気候に適応したヒヨコマメ, アオゲイトウ, およびキビの5種である.これらの植物を10, 18および28℃で地下部を2週間処理したとき, 冷涼な気候に適した植物は, 地下部, 地上部とも温度が高まるとともにプロリン含量が増加したが, 暖い気候に適した植物では減少した.一方地下部の温度を短時間, 高温から低温に, また逆に低温から高温に変化させたとき, 温度変化および植物種の違いのいかんにかかわらず, 地上部, 地下部ともプロリンが増加集積した.したがって一般に植物は, 短時間の温度ストレスを地下部に受けたとき, プロリンが植物体内に集積する傾向をもつと推定される.しかし, 低温ストレスを与えたとき処理時間のいかんにかかわらず, 冷涼な気候に適した植物は, 温暖な地域に適応した植物よりもプロリンの集積が著しいことが認められた.
  • 玉木 浩二
    1986 年24 巻3-4 号 p. 87-93
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    種子の状態から12日間, 同一条件の下で栽培したシュンギク苗を, 温度・光・養分条件を各種組み合わせた条件下で, 既報において開発した重量生長計測システムを用い, 栽培計測実験を行い以下の結果を得た.
    1) 収量の最大値は温度: 25℃, 養分: 159/10l, 光照度16kluxの一定条件18日間栽培した場合に得られ, 一個体平均重量は13.6gであった.この値を単純に10aについての収量に換算すると8, 510kgとなるが, 平均的な施設栽培の約3.5倍の収量である.
    2) シュンギクの重量生長データに, 指数生長式 (1) 式をあてはめると, 栽培したシュンギク25個体重量の和が50gを超えない範囲の生長については, 回帰曲線からの標準偏差の平均値は2.29g, すなわち重量50gに対する比は4.6%となり, あてはめは良好であると思われる.
    3) 同一の実験データにRobertsonの生長式 (3) 式をあてはめると, 対数生長期の生長が実際のデータより大きくなり, また計測した生長データはいずれの場合にも生長の上限値が見られず, (3) 式をあてはめるには無理があると思われる.
    4) 栽培計測実験の途中で光強度を弱くすると生長率は小さくなるが, 実験開始当初から光を弱く一定の条件で栽培した場合よりさらに小さくなる.
    5) 一日一定の光照射時間で栽培したとき得られる収量は, 大略24時間連続照射のとき得られる収量に照射時間の比の二乗を乗じた値と考えられる.
  • I.シダ配偶体における実験諸条件
    和田 正三, 清水 英幸, 安部 弘, 門田 明雄, 近藤 矩朗
    1986 年24 巻3-4 号 p. 95-102
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    植物細胞に対する二酸化硫黄の影響を調べるための諸条件, すなわち培地濃度, pH, 亜硫酸濃度などをホウライシダ配偶体をモデル系として検討した.K-リン酸緩衝液 (1mM, pH6.0) 中における亜硫酸濃度は, 二酸化硫黄の溶解や, 溶解してできた亜硫酸の酸化により実験期間中に容易に変動する.二酸化硫黄の液体培地中への溶解量は二酸化硫黄ガスの流速に関係しており, 培地表面の状態が大きく影響すると考えられた.Na2SO3を溶解した場合に得られる亜硫酸は酸化により溶解直後から急速に崩壊するが, 培地1ml当り1mgのシダ胞子を懸濁すると崩壊はおさえられた.試行された諸条件下で, ホウライシダ胞子に0.1ppmの二酸化硫黄を5日間暴露すると, 発芽およびその後の配偶体の発達は極度におさえられることがわかった.これらの事実に基づき, 大気汚染ガスである二酸化硫黄の植物細胞に対する影響を調べる場合, 実験条件を慎重に整える必要があることを論議した.
  • I.養液の濃度, pHおよび温度が生育に及ぼす影響
    小田 雅行, 野中 正義, 星野 和生
    1986 年24 巻3-4 号 p. 103-107
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    人工光下でリーフレタス‘グランドラピッド’を養液栽培し, 基本的な養液条件である濃度, pHおよび温度が生育に及ぼす影響を検討した.
    作物の生育は, 養液の濃度が標準濃度の1.5~2.0倍, pHが約6, 温度が約25℃のときに最も優れた.これらの条件下で生育した作物の茎長, 葉長/葉幅比, 乾物率および葉色に異常は認められなかった.
  • 北野 雅治, 江口 弘美
    1986 年24 巻3-4 号 p. 109-115
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    植物の茎内水流量をオンライン・リアルタイムで計測するシステムを開発し, その特性解析を行った.このシステムでは, 茎の表面にメインヒーターを装着し熱量 (Q) を茎に与えた.Qは茎内水流に伴う熱流 (qf) , ヒーター表面から周囲への熱流 (qs) および熱伝導による茎の上下方向への熱流 (quqd) によって拡散され, 加熱部位での熱収支はQ=qf+qs+qu+qdで表される.このシステムではQを操作してqsを一定に制御し, さらに2つのサブヒーター (メインヒーターの上・下部に装着) の加熱量を操作してquqdも一定に制御した.これによって加熱部位の熱収支解析が簡略化され, 茎内水流によるqfの変動がQの変動としてとらえられた.そして, Qおよびメインヒーターの直上部と直下部の茎温差 (Tu-Td) を測定することによって, 理論式 ( (5) 式) により, 茎内水流量をキャリブレーションなしに直接求めることができた.これを熱流制御法 (Heat Flux Control method, HFC method) と呼ぶことにする.ガラス管を用いた茎のモデルと実際の植物においてオンライン計測を行った結果, 本システムは優れた動特性と静特性を示し, 茎内水流の定量的な解析に有効であり, 植物の水分動態に関する研究に応用しうることがわかった.
  • 鉢上げ時の植え方の影響
    加藤 徹, 楼 恵寧
    1986 年24 巻3-4 号 p. 117-122
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ナス・ピーマンの子葉展開したばかりの苗を鉢上げするときに, 種子根を次のように処理して育苗した.すなわち, 根を切らないように種子根を垂直に植えた根伸し植え区と, 根の先端を除去して植えた断根植え区と, 根を切らないがまるめて植えた根まるめ植え区を設けて育苗し, 苗の生育とその後の収量に及ぼす鉢上げ時の植え方の影響について調査した.
    (1) 定植時苗の生育: 根伸し植え区は生育がよく, 乾物重が多かった.根まるめ植え区は生育が不良であった.また, 根伸し植え区では, 根への乾物分配率が多く, 地上部への分配が少なく, T/R率の小さい苗となり, 断根植え区では, 地上部への分配が多く, 地下部への分配が少なく, T/R率が大きい苗となり, 根まるめ植え区はその中間であった.
    (2) 収量への影響: 収量は根伸し植え区が多く, 次いで断根植え区, 根まるめ植え区の順に少なかった.収穫終了時の根系を見ると, 根伸し植え区は太根型で, 太根が多く, 深く分布していたが, 根まるめ植え区が太根根数が少なく, 分布も浅かった.断根植え区はその中間であった.株元を中心に半径20cm, 深さ30cmの土壌内の1mm以上の太根根数と収量との間にかなり高い相関関係が見られた.
  • 小田 雅行, 野中 正義, 星野 和生
    1986 年24 巻3-4 号 p. 123-126
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    Top fresh weight of leaf bunching lettuces (Lactuca sativa L. cv. ‘Grand rapids’) in hydroponics were continuously measured under the conditions changing in relative humidity, air temperature and light intensity.
    Reversible fluctuations of top fresh weight were observed. The fluctuations started immediately after the changes in environment, and continued within 30 minutes after the changes. Light and air temperature were more effective on the fluctuation than relative humidity.
    The fluctuations were distinguished from long-term changes in fresh weight by its reversibility. The transpiration rate showed opposite pattern of the fluctuation caused by environmental change.
    These results suggest that short-term fluctuations reflect the balance of input and output of water which may be regulated by transpiration.
  • 1986 年24 巻3-4 号 p. 127-149
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 第24巻 (1986)
    1986 年24 巻3-4 号 p. 153-154
    発行日: 1986/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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