ミニトマトNFT栽培において, 毛細管現象による連結材を用いた新しい定植法を試みたところ, その有効性が明確となった.とくに, 従来法との差を収量のみならず, 生体計測法を利用することによって, 早期に, かつより定量的に明らかにすることができた.
1.新定植法が, 従来法よりも好結果となったのは, 苗の引き上げ作業がなくなり, 苗にストレスがかからなくなったためと考えられる.
2.連結材の有無や種類による生育差を, 茎径の生体計測により, 目視よりも早期に判断することができた.
3.生体計測による茎径の微視的挙動には, 次のような特徴がみられた.すなわち, 生育の順調な苗の茎径は日中膨張するのに対し, 生育の芳しくない苗の茎径は日中収縮することが確認された.
4.茎径の膨張あるいは収縮は, 光合成産物の転流による肥大要因と蒸散による収縮要因とのプラス・マイナスの結果としてとらえられるのではないかと推察される.
5.日射量変動と茎径変動との間には密接な関連がみられ, 苗の生育差を, 茎径の膨張・収縮といった定性面だけでなく, 日射量変動に対する応答性によっても定量的に示すことができた.すなわち, 茎径変動・日射量変動をスペクトル解析し茎径と日射量との相互相関関数を求めたところ, 生育の順調な苗では, 数分の遅れで日射量に敏感に応答していることが明確になった.
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