カイコ幼虫の走光性の発育過程での変化, またその遺伝的要因を分析するために, 営繭時 (上蔟期) に顕著な走 (避) 光性を示す4系統を実験に使用した.走光性を示した
nbと
pe; okの2系統と, 避光性を示した
Ze; pe; reと
stの2系統の, 1令期から熟蚕期までの全令の走光性反応を調べた.これら4系統の走 (避) 光性は熟蚕期において顕著に認められたが, それまでの令においては中立性に近いものであった.
走光性系統と避光性系統を交配したF
1の平均走光性は, 親の系統のやや中間になったが, 熟蚕期になると避光性の傾向を示した.しかしF
1個体の走光性の分散は両親の系統の全域におよぶほど広いものであった.
さらにF
2個体の走光性は各令ともに避光性の傾向を示し, それらの分散は避光性の親の系統とほぼ同じであった.
上記の結果から, カイコ幼虫の走光性はポリジーンによって支配されると考えられるが, 避光性ポリジーンがやや優性であることが示唆される.
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