生物環境調節
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13 巻, 2 号
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  • 吉田 篤, 岡村 昭治, 菅野 延彦, 西 荒介
    1975 年 13 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 1975/06/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    キントキニンジンの細胞をMURASHIGE-SKOOGの培地中で液内培養したとき, 対数期における生長速度は炭素源や窒素源の増減によってはほとんど影響されないが, リン酸塩の濃度に依存し, 高リン酸培地では著しく増大する.しかし, 定常期における細胞の収量を上げるためには, 培養初期から高リン酸培地を用いるより, 対数期の終りにリン酸塩を補給する方が良い結果が得られる.カロチノイドの生成は細胞の生長期においてのみ見られ, リン酸濃度を上げることによって, 収量が増大する.
  • 鈴木 茂敏, 大川 勝徳, 牛島 忠広
    1975 年 13 巻 2 号 p. 55-64
    発行日: 1975/06/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    1) ベンジルアデニン (BA) 処理によって地上部の相対重量は増加し根部では減少した.水ストレス条件下では, 根部の相対重量は低濃度処理で減少せず, 高濃度処理で減少した.
    2) 水ストレスによって子葉は速やかに老化したが, カイネチン処理で抑えられた.
    3) 本葉が肉眼的に認められないごく若い植物では, 水ストレスによる老化は認められなかった.
    4) 根部切除により子葉の老化は促進されたが, この現象はカイネチン処理によって抑えられた.
    5) 子葉および根部からの抽出液中のサイトカイニン活性は水ストレスによって低下した.
  • 横山 隆三, 橋元 晧, 樋口 貞夫, 渡辺 和之
    1975 年 13 巻 2 号 p. 65-75
    発行日: 1975/06/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    開放型作物生育環境制御施設の気温分布を測定し, その結果を考察した.本施設は, 設計上開放型というところに特徴を持ち, 実験枠の上面は外気に開放されている.測定の結果, 実験枠内の平均気温可変範囲は, 外気温に対して±2℃程度であった.実験枠内の気温分布は, 必ずしも一様ではなく, 時には南北方向に顕著な温度勾配も見られた.これらの原因には, 日射, 外風, ダクト通過中に受ける供給空気の温度変化などが考えられる.
  • 古川 昭雄
    1975 年 13 巻 2 号 p. 77-85
    発行日: 1975/06/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    明・暗両条件下におけるポプラ葉のCO2交換速度に対する通気速度の効果を種々の光・温度・CO2条件下において調べた.純光合成速度に対する通気速度の効果は, 温度によってはほとんど影響されなかった.照射光強度が高い時は通気速度を高めると純光合成速度は著しく促進されたが, 光強度が低い時は通気速度の促進効果は低かった.明呼吸 (明条件下の呼吸) 速度は高い通気速度の時に高い呼吸速度を示したが, 暗呼吸速度はほとんど通気速度によって影響されなかった.明条件下においては光呼吸によって葉外に放出されたCO2が光合成の再固定作用のために再吸収されるが, 暗条件下においては光合成の再固定作用がない.すなわち, 通気速度を高めると再固定作用が阻害され, 見かけ上, 明呼吸速度が高められるからであろう.また, CO2補償点も通気速度によって影響されなかった.この原因は, CO2補償点下での光合成に対するCO2供給は細胞内で光呼吸によって放出されたCO2によっているためであろう.
    通気速度によって光合成速度が高められる一因は, 葉へのCO2供給を良好にするためと考えられる.CO2供給速度は, 今回の実験においては, CO2濃度と通気速度の1/3乗の積によって定められた.
  • 湿度制御系のシミュレーションからの検討
    船田 周, 橋本 康, 大政 謙次, 安保 文彰, 大塚 和夫, 野中 佳昭
    1975 年 13 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 1975/06/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究ではグロースキャビネットにおける湿度系の電算機制御の特性解明が, シミュレーションにより行われた.すなわち, グロースキャビネットの湿度系のモデル化が行われ, アナログコンピュータでシミュレーションされ, サンプリングPID制御がディジタルコンピゴータでシミュレーションされ, K, TI, TDの各種特性がτをパラメータとして求められた.
    1) Kの値は, 操作能力Pとτとの関連で定められるべきであり, 定常, 過渡による特性の差も考慮した電算機制御が行われるべきである.
    2) TIの値は, 過渡では200secが最適値であり, 定常ではより小さい値が効果的である.
    3) TDの値は定常, 過渡ともτの値によらず, 3≦TD≦20secが適値である.
    4) 検出器のおそい時定数は, 適切なKを選ぶことで系への評価が悪くなるのをある程度ふせげる.
  • 神徳 興甫, 村上 昭雄
    1975 年 13 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 1975/06/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    カイコ幼虫の走光性の発育過程での変化, またその遺伝的要因を分析するために, 営繭時 (上蔟期) に顕著な走 (避) 光性を示す4系統を実験に使用した.走光性を示したnbpe; okの2系統と, 避光性を示したZe; pe; restの2系統の, 1令期から熟蚕期までの全令の走光性反応を調べた.これら4系統の走 (避) 光性は熟蚕期において顕著に認められたが, それまでの令においては中立性に近いものであった.
    走光性系統と避光性系統を交配したF1の平均走光性は, 親の系統のやや中間になったが, 熟蚕期になると避光性の傾向を示した.しかしF1個体の走光性の分散は両親の系統の全域におよぶほど広いものであった.
    さらにF2個体の走光性は各令ともに避光性の傾向を示し, それらの分散は避光性の親の系統とほぼ同じであった.
    上記の結果から, カイコ幼虫の走光性はポリジーンによって支配されると考えられるが, 避光性ポリジーンがやや優性であることが示唆される.
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